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遺言書にはどのような効力があるのか?法的に認められる遺言書とは

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

遺言書は、法律で定められた方式・書式に則ってきちんと書けば、強い効力を持ちます。反対に言えば、方式・書式に誤りがあれば、苦労して思いを込めて作成した遺言書でも、無効になってしまうということです。

法的に有効な遺言書を作成することで、亡くなった後、遺族が相続で揉めてしまわないよう配慮することができますし、自身の希望どおりに遺産が分けられるよう指定することもできます。

この記事では、遺言書に記載すると効力を持つ事項、書いても効力は持たない事項、無効になってしまう遺言書など、遺言書とその効力について、詳しく解説していきます。

目次

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遺言書で法的効力が認められる事項とは

遺言書の効力

遺言書は、どんなふうに書いても効力を持つというわけではありません。民法で定められた方式・書式を守った遺言書でなければ、法的に有効な遺言書とはならず、効力は発生しません。

また、遺言の内容についても、遺言書に書くと効力を持つ事項(=遺言事項)が、民法等の法律で定められています。それ以外のことを書いてはいけないわけではありませんが、法的な効力は発生しません(=付言事項)。

以降、遺言事項について、具体的にどんな内容が遺言に書かれると効力を持つのか、解説していきます。

なお、遺言事項を、

  • ・財産に関すること
  • ・身分に関すること
  • ・遺言執行に関すること
  • ・その他

の4つに大きく分け、それぞれ順に説明します。

遺言書の効力:財産に関すること

誰に、何の財産を、どれだけ残したいかという自身の財産に関する内容が、遺言書のメインとなります。

具体的に、どのような記載がどのように効力を持つのか、解説していきます。

相続分の指定

各相続人に、それぞれどれくらいの割合で遺産を相続させるか、遺言で相続分を指定することができます

例えば、配偶者と子供がいる場合、民法で規定されている法定相続分は「配偶者:2分の1、子供:2分の1(複数いる場合は人数で割る)」ですが、遺言によって法定相続分とは違った、「配偶者に財産の4分の3を、長女に8分の1を、長男に8分の1を相続させる」というような指定ができます。

財産処分(遺贈)

遺言では、法定相続人でない特定の人に財産を譲ること(=遺贈)ができます

遺贈を受ける人(=受遺者)は法律で限定されてはいないので、内縁関係にある妻や夫、生前お世話になった遠い親戚、親しくしていた友人など、法定相続人ではない人に遺産を渡したい場合、遺言書に遺贈する旨を書きます。

なお、個人宛だけでなく、公共団体や慈善団体、NPO法人などの団体にも遺贈(寄付)が可能です

法定相続人に関しては、以下のページで詳しく説明しています。こちらもぜひご一読ください。

遺産分割方法の指定・分割の禁止

遺言では、どの財産を誰に残すのか、遺産分割の方法を指定することができます

例えば、「土地と家は妻に、預貯金は長女に、美術品は次女に」という遺言を残した場合、その内容どおりに遺産を分けることになります。相続人の人数や財産の数が多い場合はトラブルになりやすいため、細かく指定しておくと争いを防げます。

また、遺言では遺産分割の禁止もできます

例えば、相続人の中に未成年がいるので成人するまで待ちたい、死後すぐに相続を開始すると揉めてしまいそうなので期間を置きたいというような場合、遺言者が亡くなってから5年間の範囲で、遺産の分割を禁止できます。なお、「預貯金のみ分割を禁止する」など、どの遺産か特定されていれば、一部のみを分割禁止の対象とすることもできます

相続人相互間の担保責任の指定

相続人が複数いて、ある相続人が相続した財産に問題や欠陥があって財産の価値が被相続人の想定よりも低かったとき、ほかの相続人が、その損害分を補填する責任を負います。これを「共同相続人間の担保責任」といいます。

例えば、相続人A、B、Cがそれぞれ土地を相続したものの、Aが相続した土地の土壌が汚染されており、B、Cが相続した土地よりも価値が低くなってしまったとします。その低くなってしまった価値の分をBとCが補填するというものです。

この共同相続人間の担保責任を、遺言により、相続人の中で誰が負うのか、各相続人がどの程度の割合で負うのかといったことを指定できます。あるいは、「担保責任は負わないものとする」とすることも可能です

遺言書の効力:身分に関すること

遺言書には、遺族の身分に関することを記載できます。

具体的にどのようなことを記載すればそれが効力を持つのか、以下、解説していきます。

未婚で生まれた子供(非嫡出子)の認知

遺言により、非嫡出子を認知することが可能です。

非嫡出子とは、結婚していない男女のあいだに生まれた子供のことで、例えば内縁関係にある女性・事実婚の関係にある女性とのあいだに生まれた子供、あるいは愛人の女性とのあいだに生まれたいわゆる「隠し子」というような存在などです。

非嫡出子と父親は、父親が認知をしないかぎり親子関係がありません。しかし、遺言で認知することにより親子関係が発生するため、ほかの子供(嫡出子=結婚している男女のあいだに生まれた子)と同様に、相続人になり、遺産を相続する権利を持つことになります。

なお、遺言で子供を認知する場合は遺言執行者(後ほど説明します)が手続きを行うことになるため、遺言執行者の選任が必要になります。

未成年後見人の指定

遺言によって、未成年の子供の未成年後見人を指定することが可能です

未成年の子供がいて、かつ、遺言者が亡くなると親権者となる人が誰一人としていなくなってしまう場合、遺される子供のためにも未成年後見人を選任する必要があります。未成年後見人とは、親権者がいない未成年者の、財産管理や、生活にかかわる法律行為を本人に代わって行う者のことです。

未成年者本人か親族が家庭裁判所に申し立てて選任するほか、最後の親権者が遺言で指定することが可能です。親族に手続きを委ねることもできますが、あらかじめ準備できるのであれば、遺される未成年の子供の不安や負担を考えても、遺言による未成年後見人の指定は有用といえます。

生命保険の受取人の変更

生命保険の死亡保険金の受取人を変更したい場合、通常は契約者本人が直接保険会社と手続きをする必要がありますが、平成22年4月1日施行の保険法により、遺言により死亡保険金の受取人を変更することもできるようになりました

ただし、保険法の施行前に締結した契約については、遺言で変更できるかどうかは保険会社の判断によります

また、受取人が死亡保険金を受け取った後に、受取人変更の旨が記載されている遺言書が見つかり相続人が申し出たとしても、保険会社には対応してもらえません。このような場合、当事者間の話し合いによって解決するしかなく、トラブルになることも考えられるため、遺言で死亡保険金の受取人を変更する際は注意が必要です。

相続人の廃除

遺言者が亡くなったら相続人になる予定の者について、遺言書で、遺留分を含めた相続権をすべて失わせる「相続廃除」の意思表示ができます

ただし、相続廃除は必ず認められるわけではなく、該当の相続人から被相続人に対し、虐待、重大な侮辱、著しい非行があった場合のみ認められます。遺言書に相続廃除の意思表示があった場合、家庭裁判所が個々の事情を鑑みて審査し、判断します。

例えば、暴力を振るったり、お金を肩代わりさせたりといった事情があれば、相続廃除が認められる可能性がありますが、100%というわけではなく、相続廃除の判断の基準は厳しくなっています。

相続廃除については、以下のページで詳しく解説しています。こちらもぜひ併せてご一読ください。

遺言書の効力:遺言執行に関すること

遺言書のとおりに事を進めてもらうため、遺言を執行してくれる人が必要になります。遺言内容を執行するために一切の義務・権利を持つ人のことを、「遺言執行者」といいます遺言により、この遺言執行者を指定できます

相続人だけですべての手続きを行うことも不可能ではありませんが、非嫡出子の認知や、相続廃除の手続きは遺言執行者でなければ行えないため、その場合、遺言執行者は必須となります。利害関係者を指定するとトラブルになる可能性があるため、弁護士などに事前に依頼しておき、遺言執行者に指定するといいでしょう。

遺言書に非嫡出子の認知や相続廃除について書かれているのに遺言執行者の指定がない場合は、家庭裁判所に申し立てて選任してもらうことになります。あるいは、遺言により遺言執行者の指定を行うのではなく、「長女に遺言執行者の指定を任せる」というように、遺言執行者の指定を遺言により委託することも可能です

以下のページで、遺言執行者について、必要なケース、不要なケース、その権限でできること、指定の方法などを詳しく解説しています。こちらもぜひ併せてご参照ください。

遺言書の効力:その他

ここまで説明してきた、財産・身分・遺言執行に関することのほか、以下のような内容も、遺言書に記載した場合、遺言事項として効力を持ちます。

祭祀承継者の指定

祭祀承継者とは、墓石・墓地・仏壇・位牌などの祭祀財産を引き継ぐ人のことです。遺言により、「長女を祭祀承継者として指定する」というように、指名することが可能です。

遺言で指定されていない場合は、一般的には、その地域や家の慣習によって引き継がれます。

一般財団法人の設立

一般財団法人とは、財産に法人格を与え、その財産を運用する組織のことをいいます

相続に関連する場合は、相続税対策として行われることがほとんどです。生前に設立する人もいますが、遺言により一般財団法人を設立することも可能です

遺言者が亡くなった後に一般財団法人を設立するには、遺言執行者でなければ手続きを行えません。そのため、遺言執行者を生前に選任するか、遺言書で指定しておく必要があります。

特別受益者の相続分の指定

特別受益を受けた相続人に対して、持戻しを行わないよう、遺言で意思表示することができます

特別受益とは、遺言者から受けた生前贈与のことをいいます。例えば、開業資金、家を建てる資金などを援助してもらうことなどです

遺言者の子供2人のAとBがいて、そのうちAのみがこの特別受益を受けていると、遺産相続の際にもう1人の子供Bにとっては不公平になってしまいます。そのため、Aが受けた特別受益分を、遺産相続の際に差し引き、Bの取り分を多くすることを、「特別受益の持戻し」といいます

遺言によって持戻しの免除を意思表示できますが、特別受益分が遺留分を侵害する場合は、遺言者の意思どおりにはならない可能性もあります。

以下のページでは、特別受益を動画でわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。

信託の設定

遺言により、信託を設定することができます

信託とは、自身の財産をほかの人に託して、運用や処分をしてもらうことをいいます。例えば、父親(委託者)が、息子(受託者)にマンションの管理を任せ、その家賃収入を妻(受益者)に渡すようなことをいいます。受益者は第三者ではなく、自分自身でもかまいません。

一般的には、信託は存命中に委託者と受託者が信託契約を結びますが、遺言で信託を依頼することも可能です。ただし、受託者に指定された人は拒否することもできます。

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法的効力を持たない「付言事項」について

「付言事項」とは、民法で定められている、遺言書に記載すると効力を持つ遺言事項以外のことをいいます

法的に効力を持たないことを、遺言書に書いてはいけないという決まりはありません。遺言書は、遺言者の最後の意思表示ですので、伝えたいことがあれば自由に書くことができます。特に、家族への思いや、遺言書を書いた理由・経緯などを記しておくことによって、相続がスムーズに進む可能性もあります。

また、介護をしてくれた息子の妻に遺贈したい場合や、複数いる子供のうちのひとりに多めに財産を残したい場合などは、その理由とともに感謝の気持ちをつづっておくと、ほかの相続人も納得し、争いになることを防げるケースもあります。

逆に、相続廃除を望む理由や、特定の家族の相続分を少なくした理由など、恨み・怒りなどにつながるマイナスの付言事項を残すと、争いの種となりかねませんので、おすすめしません。

付言事項の例としては、以下のようなものがあります。

  • ・遺言書を書いた理由、経緯
  • ・遺贈や相続分の指定の理由
  • ・家族やお世話になった人への感謝の気持ち
  • ・葬儀やお墓に関する希望(家族葬にしてほしい、直葬にしてほしい、永代供養にしてほしいなど)
  • ・臓器提供の意思表示

民法で定められている遺言書の方式

法的に有効な遺言書を作成し、効力を発生させるためには、民法で定められている方式・書式が守られている必要があります。 法で定められている方式は、遺言書の種類によって異なります。

遺言書の種類は、大きく分けて以下の4つがあります。

  • 自筆証書遺言

    財産目録を除いて、全文が自筆で書かれている必要があります。自身での保管も可能ですが、法務局で保管してもらうこともできます。自筆のため、書式の不備により無効になりやすい、自宅で保管していた場合、紛失や発見されない可能性があるなどのデメリットがあります。

  • 公正証書遺言

    公証役場で、証人立会いのもと、遺言者が口述した内容を公証人に筆記してもらう形式の遺言書です。書式の不備の心配がなく、原本は公証役場で保管されるため、紛失や偽造・変造の心配がありません。また、検索システムがあるため、発見されない可能性は低いといえます。

  • 秘密証書遺言

    自筆である必要はなく、パソコンでの作成や代筆も可能です(署名・押印は本人のみ)。封をして公証役場に持っていき、証人と公証人に遺言書が存在することを証明してもらいます。内容を開封まで秘密にできますが、書式による不備や、自身で保管するために紛失の可能性などのデメリットがあります。

  • 特別方式の遺言書

    命の危機にあったり、一般社会から隔絶された状況にいたりして、①~③の遺言書が作成できないときに用いられます。「一般危急時遺言」、「難船危急時遺言」、「一般隔絶地遺言」、「船舶隔絶地遺言」の4つがあり、それぞれ定められた方式が異なります。

以下のページで、特別方式を除くそれぞれの遺言書について、定められた方式、メリット・デメリットなどを詳しく解説しています。こちらもぜひご一読ください。

どのような遺言書が無効となるのか

遺言書が無効になるケース

遺言書が無効になり、効力を持たないケースとして、具体的に以下のような例があります。

  • ・自筆証書遺言の場合……遺言者の手書きではない(パソコンによる作成、代筆、音声、動画など)、日付の記載がない、遺言者の署名・捺印がない等
  • ・公正証書遺言の場合……証人となった者が、本来は証人の資格がなかった等
  • ・作成時、遺言者に遺言能力がなかった……精神障害や重度の認知症などの場合、遺言書があっても「作成時に遺言能力がなかった」として無効になるおそれがあります。軽度の認知症で意思能力に問題はない場合などは、医師による診断書を添えることで無効になることを防げる可能性があります。
  • ・2人以上が共同で作成した遺言書
  • ・第三者による詐欺や強迫によって書かれた遺言書

遺言書が無効になるケースについては、以下のページで詳しく解説しています。こちらもぜひ併せてご参照ください。

遺言に書いても「遺留分」の侵害はできない

遺留分とは、法定相続人(兄弟姉妹とその子供を除く)に、最低限保障されている遺産の取り分のことをいいます

遺産全体の2分の1(法定相続人が親や祖父母などのみの場合は3分の1になります)が遺留分となり、例えば法定相続人が配偶者と子供1人の場合、遺産全体の4分の1ずつを遺留分として取得する権利があります。

この遺留分を侵害する遺言は無効となる可能性があり、法定相続人が「遺留分侵害額請求」をすることで遺留分を取得できます(自動的に取得できるということはありません)。

例えば、「長男だけにすべての財産を相続させる」、「友人の〇〇にすべての財産を残す」というような遺言書は、配偶者や子供の遺留分を侵害しているため、認められない可能性があります。法定相続分とは違った遺言を残す場合は、トラブルを避けるため、遺留分を侵害しないよう配慮する必要があります

遺留分侵害額請求については、以下のページで詳しく解説しています。こちらもぜひご一読ください。

 

必ずしも遺言書のとおりに分割されるとは限らない

遺言書を残したとしても、相続人全員の合意があれば、遺言書で指定された内容とは違う分割をすることが可能になります。相続人以外の友人などに財産を譲る記載があった場合は、その人(受遺者)の合意も必要になります。

ただし、遺言書に遺言執行者に関する記載があった場合、遺言と違う内容で遺産を分割するには、遺言執行者の同意も必要になります。そのため、必ず遺言書のとおりに分割を行ってほしい場合は、遺言書で弁護士などの信頼できる遺言執行者を指名しておくことをおすすめします。

勝手に開封された場合の遺言書の効力

勝手に開封すると過料があります

遺言者が亡くなり、遺言書を開封するときは、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要になります。検認は、遺言書の存在を相続人に知らせるとともに、形状・署名・日付などを明らかにし、遺言書の偽造や変造、隠匿を防ぐ目的で行われます。検認手続きをせずに勝手に遺言書を開封した場合、5万円以下の過料が科せられる可能性があります。

ただし、検認手続きをせずに開封されたからといって、その遺言書が無効になるわけではありません。また、勝手に開封した者の相続権が失われることもありません。

なお、法務局で保管されていた自筆証書遺言と、公正証書遺言は、検認の手続きが不要です。遺言書を残すときは、検認のことも考慮に入れるようにしましょう。

なお、検認については以下のページで詳しく解説しています。こちらもぜひご参照ください。

遺言書の効力が発生する期間はいつからいつまで?

遺言書の効力が発生するのは、基本的に、遺言者が亡くなったときです。

また、遺言書に有効期限はありません。何十年前に書かれた遺言であっても、方式や書式に不備がなければ有効となります。

ただし、遺言書の効力については例外があります。「Aが成人したら不動産を相続させる」、「Aが大学を卒業したら●●銀行の預金を相続させる」といった、条件つきの遺言です。このような遺言を、「停止条件付遺言」といい、条件が成立するまでは効力は停止します。

なお、遺言者が亡くなる前にすでに条件が成立している場合は、無条件の遺言と同じ扱いになりますので、効力の発生は亡くなった時点となります。条件が成立しないことが確定した場合には、その遺言は無効になります。

遺言書の効力に関するQ&A

遺言書を書き直すと無効になってしまいますか?

遺言書は、民法で定められている方式を守っていれば、何度でも書き直すことができます

基本的に記載されている日付が新しい遺言書が優先されますので、書き直した遺言書において、ある財産に対して別の相続人や受遺者を指定している場合(例:前の遺言書では自宅を長男に相続させると書いたが、新しい遺言書では長女に変えている等)、その部分については前の遺言を撤回したものとされ、後の遺言が有効になります。

なお、書き直し前後の遺言書で同じ方式をとる必要はなく、前回は自筆証書遺言で、書き直したものは公正証書遺言とすることも可能です。

また、遺言書は作成日の新しいものが優先されますが、古い遺言書の内容すべてが無効になるわけではなく、新しいものに記載のない財産について、新しい遺言書にさしさわりない部分に関しては古い遺言内容も効力を持ちます。遺言書を新しく作成し直す際には、記載漏れがないようにしましょう。

遺言書を紛失してしまった場合、遺言の効力はどうなりますか?

作成した遺言書を紛失してしまった場合、対応は遺言書の種類によって異なります

法務局で保管せず自身で保管していた自筆証書遺言、または秘密証書遺言の場合、紛失により効力はなくなりますので、新しく作成し直す必要があります

公正証書遺言の場合は、公証役場に原本が保管されているため、遺言者が交付された正本や謄本をなくしても、効力が失われることはありません。手数料を支払えば、新たに謄本を交付してもらうことができます。

なお、<遺言書を書き直すと無効になってしまいますか?>で説明したように、古い遺言書も、新しい遺言書に記載されていない部分、抵触しない部分は効力を持ちますので、紛失した遺言書が見つかる可能性も考慮し、新たに作成する際には注意しましょう。

遺贈を受ける人が遺言者よりも先に死亡した場合、その遺贈は無効になりますか?

遺言者が亡くなる前(停止条件付遺言の場合は、条件の成立前)に、受遺者(遺贈を受ける人)が亡くなった場合、遺贈の効力は発生しません

相続人が亡くなった場合、その子供が相続人になる「代襲相続」が起こりますが、遺贈の場合、受遺者の子供が遺贈を受けることにはならず、遺贈を受ける権利は一代かぎりということになります。遺贈の対象となっていた財産は、相続人で分配することになります。

ただし、遺言書に「遺言者より先に受遺者が死亡した場合は、受遺者の子供に遺贈する」というような記載(予備的遺言)があった場合、その遺言には効力が発生し、子供が受遺者になります

相続問題に詳しい弁護士が、法的に有効となる遺言書の作成をサポートします

法的に有効な遺言書を作成し、効力を発生させるためには、多くの注意点があります。

せっかく遺言書を作成したにもかかわらず、不備があって無効になってしまっては、遺言の内容を実現してもらえないだけでなく、残された遺族が争うことになってしまう可能性もあります。

法的に有効であり、確実な遺言書を残したいとお考えの際は、ぜひ弁護士にご相談・ご依頼ください。万が一にも無効になることがないよう、細心の注意を払いながら、遺留分などにも配慮した遺言書の作成をサポートいたします。どのように分配を指定すれば問題ないかというご相談にも、細かくお答えいたします。

また、大きく分けて4種類ある遺言書の方式のうち、公正証書遺言は無効になる可能性が低く、紛失したり、亡くなった後に発見されなかったりという事態を防ぐことができますので、有効な遺言書を作成するのに適しているといえます。この公正証書遺言を作成する際にも、弁護士のアドバイスやサポートを受けたり、手続きを弁護士に代行してもらったりすることができます。

弁護士法人ALGには、相続問題を扱ってきた経験が多数あり、知識と実績が豊富な弁護士が在籍しています。遺言書の作成にご不安をお持ちの方、遺言書に関してお悩みがある方は、小さなことでも、ぜひ弊所までご相談ください。