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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
亡くなった方(被相続人)が残した遺言書について、「どうしてこうなっているの?」と納得いかないケースはよくあります。 自分の取り分が極端に少なかったり、よく知らない人に多額の財産が渡ったりする内容だと、被相続人の望みとはいえ、受け入れにくいのも無理はありません。 遺言書がある場合、基本的にその内容が優先されますが絶対ではありません。 この記事では、遺言書に納得いかない場合の対処法や注意点をわかりやすく解説します。
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遺言書がある場合、基本的にその内容に従って相続財産を分割することになります。 遺言書の内容に納得できない場合は、以下の3つの対処法によって、遺言の内容とは異なる方法で遺産分割ができる可能性があります。
遺言書は「被相続人の最後の意思」として最も優先されますが、遺言書に問題があって無効となるケースでは、遺言書の内容に従う必要はありません。 遺言書の内容に納得できず、「本当にこの遺言書は正しいのだろうか?」と疑問を感じたら、遺言書の無効を主張することも検討しましょう。 どのようなときに遺言書が無効になるのか、遺言書の無効を主張するにはどうすればいいのか、次項より詳しく解説します。
遺言書が無効になるのは、以下のようなケースです。
遺言書が無効になるケースなどは、以下のページもご覧ください。
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遺言書の無効を主張する方法は、主に「交渉」「調停」「訴訟」の3つがあります。
交渉や調停・訴訟で遺言書の無効が認められた場合、遺産分割協議によって遺産分割の方法を話し合うのが基本的な流れです。 遺言無効確認訴訟に関して、詳しくは以下のページをご覧ください。
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遺言書の内容と異なる方法で相続財産を分けたい場合、以下の条件を満たせば遺産分割協議による変更が可能です。
相続人全員の合意があれば、遺言書に従う必要はありません。遺言書で遺言執行者が指定されている場合や受遺者がいる場合は、その人たちの同意も必要です。 また、遺言書に「遺産分割協議をしてはいけない」と書かれている場合は、協議自体ができないため注意しましょう。 条件を満たして全員の合意で遺産分割協議が成立したときは、後々のトラブルを防ぐためにも遺産分割協議書を作成し、合意した証拠を残すようにしましょう。 遺産分割協議に関して、詳しくは以下のページをご覧ください。
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遺言書が有効であっても、その内容が不公平で自分の取り分が極端に少ない場合は、「遺留分侵害額請求」によって最低限の相続分を取り戻せる可能性があります。 遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された「最低限の相続財産の取り分」です。 取り分が遺留分を下回っている相続人は、侵害者(遺言書により遺留分を侵害する利益を得た相続人や受遺者)に対して、不足分の金銭を請求できます。 ただし、遺留分侵害額請求権には時効があり、「相続が始まって自分の遺留分が侵害されていることを知ったときから1年以内」に行使する必要があります。 以下、遺留分侵害額請求を行う手順を確認していきましょう。
遺留分侵害額請求を行う場合、「まずは当事者間の話し合いで合意を目指し、難しい場合は裁判所の手続きを利用して解決を目指す」というのが基本的な流れになります。 具体的な手順は、以下のとおりです。
遺留分侵害額請求権に関して、詳しくは以下のページをご覧ください。
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遺言書に納得いかない場合の注意点は、以下のとおりです。
後のトラブルを防ぐためにも、これらの注意点について事前にしっかり確認しておきましょう。
遺言書の内容に納得いかないからといって、遺言書を偽造、変造、破棄または隠匿すると、相続権を失うおそれがあります。これを「相続欠格」といいます。 相続欠格となった相続人は、被相続人との関係では永久に相続権を失い、相続財産をまったく受け取れなくなるため注意が必要です。 そのため、不服があっても遺言書を書き換えたり、捨てたりするのではなく、遺言書の無効や遺留分について主張するのが賢明です。 なお、公正証書遺言については、公証役場に元本が保管されているため、被相続人の手元にあるのは写しとなります。他の相続人の目に付かないようにしても、後で存在を知られるリスクが高いため、隠すべきではありません。 相続欠格に関して、詳しくは以下のページをご覧ください。
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遺言書の内容に従ってすでに相続登記を行っていても、遺言が無効になったり、新たな遺産分割協議を行ったりすると、相続登記のやり直しが必要になります。 相続登記のやり直しには、登録免許税や専門家に依頼した場合の報酬などが必要になる点に注意が必要です。 また、相続税の申告や納税を済ませていた場合は、相続税の修正申告が必要になることもあります。 修正申告により還付を受ける相続人もいますが、取得する財産が増えた相続人は、差額の相続税を追加で納めなければなりません。 相続登記に関して、詳しくは以下のページをご覧ください。
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遺産分割後に遺言書が見つかった場合でも、基本的に遺言の内容が優先されます。 そのため、通常は遺言の内容に従って相続手続きをやり直さなければなりません。 とはいえ、相続手続きをやり直すのは大きな負担が生じます。 相続人全員で話し合い、遺言に従うのではなく、成立した遺産分割協議の内容をそのまま有効とする方向で合意することも可能です。 見つかった遺言書で遺言執行者が指定されている場合や受遺者がいる場合は、これらの関係者の意思も踏まえ、改めて協議を行うか、裁判所の手続きを利用して適切な解決を図りましょう。
遺言書を勝手に開封されただけでは、遺言書の無効を主張することはできません。 勝手に開封した人には過料が科される可能性がありますが、遺言そのものの効力には影響しないためです。 被相続人が保管していた自筆証書遺言を開封するためには、事前に家庭裁判所で「検認」という手続きを受ける必要があります。 検認とは、家庭裁判所が遺言書の状態を確認する手続きです。主に「相続人全員に遺言書の存在を知らせること」や「検認以降に遺言書が偽造・変造されるのを防止すること」を目的として行います。 なお、遺言書が法務局の「自筆証書遺言の保管制度」を用いて保管されていた場合は、偽造・変造の心配がないため検認の手続きは必要ありません。 遺言書の検認に関して、詳しくは以下のページをご覧ください。
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遺言書の無効確認調停や訴訟は、立証のハードルが高く難しい手続きです。 特に、「認知症で遺言能力がなかった」、「偽造された可能性がある」と主張するには、医師の診断書や認知症検査の結果、筆跡鑑定、関係者の証言など多くの証拠が必要になります。 遺言者はすでに亡くなっているため、作成時の状況を客観的に証明するのは容易ではありません。 また、時間の経過とともに証拠が散逸しやすいのも、ハードルが高いと言われる理由のひとつです。 裁判所は遺言者の意思を尊重するため、多少の不備だけでは無効と判断しないのが一般的です。 訴訟になると、解決までに1~2年、場合によってはそれ以上かかることも珍しくないため、精神的・経済的な負担も大きくなるでしょう。
遺言無効確認調停の申立て費用は、裁判所費用(実費)が数千円~1万円程度です。 弁護士に依頼した場合は、別途30万~50万円程度の着手金と、獲得した経済的利益の10~20%程度の報酬金などの弁護士費用がかかります。 具体的な金額は、依頼する弁護士や事案の複雑さにより変動しますが、一般的な目安は以下のとおりです。
【裁判所費用】
【弁護士費用】
公正証書遺言に不満があり、従わなかったからといって、罰金や刑事罰を受けることはありません。 ただし、公正証書遺言は法的効力が強いため、無視すると他の相続人から訴訟を起こされたり、遺言執行者によって強制的に手続きが進められたりする可能性があります。 また、遺言書により不公平な遺産配分となった場合でも、遺留分権者が請求しない限り遺留分は守られません。不満があるからと放置すると、損をするおそれがあります。 公正証書遺言は証拠力と信用性が高い遺言書です。 不満がある場合は、まず専門家に相談し、遺言の有効性や遺留分侵害の有無などをしっかり確認しましょう。
遺言書に納得いかない場合、相続人同士で話し合おうとすると感情的な対立が生じ、協議が停滞することが少なくありません。 問題を円滑に解決するためにも、早めの段階で相続問題に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。 弁護士であれば、遺言書の有効性や遺留分侵害の有無を確認し、適切な対応策についてアドバイスできます。 また、調停や訴訟で代理人になれるのは基本的に弁護士だけであり、紛争が深刻化した場合も一貫したサポートが受けられるのもメリットです。 遺言書に納得いかない方も、将来に備えて相続人間の対立を招きにくい遺言書を作成しようと考えている方も、まずは弁護士にご相談ください。