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遺産分割協議の流れと注意点

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

相続人全員で遺産の分け方について話し合う「遺産分割協議」ですが、実際にどのような手順で行えば良いのでしょうか?また、話し合ううえで気をつけるべき点などはあるのでしょうか? こうしたよくある疑問にお答えするべく、今回は、遺産分割協議の具体的な流れや注意点、話し合いで揉めてしまった場合の対処法などについて解説します。遺産分割協議に関する理解を深めていただくためにも、ぜひご覧ください。

目次

1分半でわかる!はじめての遺産分割協議

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遺産分割協議とは

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、被相続人(亡くなった人)の遺産の分割方法を決めるため、相続人が一人でも欠けることなく全員で行う話し合いのことです。
遺産分割協議は、遺言がないケースに加えて、遺言の内容に不備があるケースに、相続人全員が合意のうえ遺言の内容とは異なる遺産分割をするケースになどで行われることとなります。

遺産分割協議が必要ない場合

遺言書がある場合

遺言は、各相続人の遺産の取得分に関する民法の規定よりも優先されるため、遺言がある場合、指定されたとおりに遺産分割を行います。

しかし、遺言で指定された分割方法について不満があるなど、別の割合で分割したい場合は、相続人全員が合意すれば、遺産分割協議を行って遺言で指定された分割方法とは異なる遺産分割をすることができます。

遺言がある場合の遺産分割協議の注意点については、後ほど説明します。

遺言がある場合の遺産分割協議の流れ

法定相続人が一人しかいない場合

法定相続人が1人しかいない場合、その1人がすべての遺産を相続することになるため、遺産分割協議を行う必要はありません。
なお、相続開始の当初から法定相続人が1人しかいなかった場合には、自身の戸籍謄本等を提出することで、法定相続人が自分のみであることを証明し、相続登記等をすることができます。

遺産分割協議が必要である場合の流れ

遺産分割協議は、以下のような流れで行います。

  1. ①相続人調査
  2. ②相続財産の調査
  3. ③遺産の分割方法についての話合い(遺産分割協議)
  4. ④「遺産分割協議書」の作成(※話合いがまとまった場合)

次項より、これらの各手続について説明していきます。

相続人調査を行う

遺産分割協議は、相続人全員で行い、全員が合意しなければ成立しません。
しかし、自分たち以外に相続人はいないと思っていても、離婚した前配偶者との間に子供がいたり、いわゆる隠し子がいたり、疎遠になっている兄弟姉妹がいるということもあり得ます。
そのため、遺産分割協議を行う前にまずは相続人調査を行い、誰が法定相続人なのか、何人いるのか、漏れのないよう正確に調べる必要があります。

相続人調査は、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本をすべて集めて行います。
まずは被相続人の最後の戸籍謄本を、本籍地の市区町村役場で取得します。そこから遡っていき、最終的には出生時の戸籍謄本を取得します。結婚や転籍、養子縁組などによって戸籍は変遷するので、長生きした人であれば5~6つ程度になるのが一般的です。

このように戸籍をすべて集めることによって、兄弟姉妹、子供、養子などの存在を明らかにします。 なお、相続人調査の流れなど、さらに詳しい内容は下記のページで解説しています。こちらもぜひご一読ください。

相続人調査について

相続財産を調べる

相続人調査が完了して相続人が確定したら、次は相続財産(遺産)を調べ、分配する遺産がどれくらいあるのかを確認します。 相続財産の調査では、現金・預貯金・不動産・株式などのプラスの財産はもちろんのこと、借金・ローン・滞納している税金などのマイナスの財産も調べる必要があります。なぜなら、マイナスの財産も相続の対象に含まれるからです。

相続財産の調査方法としては、主に以下のような方法が挙げられます。

  • ・市区町村役場で名寄帳(個人が所有している不動産についてまとめたもの)を取得する
  • ・法務局で登記簿(地番、家屋番号ごとに不動産の権利関係をまとめたもの)を調べる
  • ・被相続人の自宅を探し、通帳、契約書、権利書、有価証券などがないか調べる
  • ・郵便物を調べ、銀行からのものがないか、投資信託の運用報告書や株主総会の案内などがないか調べる
  • ・パソコンやスマートフォンを調べ、ネット銀行やネット証券の口座がないか、株取引や不動産取引を行っていなかったか調べる

また、以下は特にマイナスの財産を調べる方法として挙げられるものです。

  • ・郵便物を調べ、金融機関などからの督促状が来ていないか調べる
  • ・家の中を探し、借用書などがないか調べる
  • ・通帳を調べ、定期的に引き落としがないか調べる
  • ・市区町村役場に問い合わせ、滞納している税金がないか調べる

相続財産の調査を終えたら、その後の話し合いや相続手続きをスムーズに進められるよう、財産を一覧にした財産目録を作成し、書面にまとめておきましょう。 下記のページでは、さらに詳しい相続財産の調査方法を解説しています。こちらもぜひご参照ください。

相続財産調査

話合いにより遺産の分け方を決める

相続人調査と相続財産の調査が完了したら、いよいよ相続人全員で遺産の分割方法に関する話し合い(遺産分割協議)を行います。 相続人全員が一堂に会することができればいいのですが、遠方に住んでいたり、仕事で都合がつかなかったりして難しいこともあるでしょう。遺産分割協議での話し合いの形式は特に決められていないため、電話やビデオ通話、メール等を利用して話し合ったり、相続人のうちの誰かが他の相続人をまわって承諾を得たりする方法も可能です。 相続人全員の合意を得るということが重要ですので、誰か1人でも反対すると遺産分割協議は成立しません。

遺産の分割方法

遺産の分割方法には、主に「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」の4種類があります。

①現物分割…財産をそのままの形で引き継ぐ方法
簡単に遺産を分けられる一方、それぞれの相続分に応じてきっちりと分けるのが難しいため、相続人間で不平等が生じる可能性が高いというデメリットがあります。
②代償分割…特定の相続人が財産を引き継ぐ代わりに、他の相続人に相続分に応じた代償金を支払う方法
例えば、4500万円の価値の不動産を3兄弟の長男が相続し、弟2人にそれぞれの代償金として、法定相続分(3分の1)にあたる1500万円ずつを支払うようなケースです。
平等に遺産を分けられる方法ですが、不動産などの遺産の評価方法で揉めてしまう可能性や、そもそも代償金を支払う金銭的な余裕がなければ利用できないというデメリットがあります。
③換価分割…財産を売却し、その代金を分け合う方法
不動産を売却するため、その評価方法で揉めることはありませんが、売却を急ぐと低額でしか売れない可能性があります。また、売却にかかった経費を差し引いた金額を分け合うので、受け取れるお金が想定よりも少なくなってしまう可能性があります。
④共有分割…財産を分けず、複数の相続人で共同所有する方法
共同所有(共有)している不動産は、基本的に共有者全員の同意がなければ処分できないので、自由に活用できません。また、共有者が亡くなり再び相続が行われると、さらに持分が細分化されるので、誰が権利者なのかわかりにくくなってしまいます。

このように、各分割方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。メリットとデメリットのバランスからすると 「現物分割→代償分割→換価分割→共有分割」 の順番で優先的に遺産の分割方法を決めていくと良いでしょう。
各分割方法の詳細については、下記の記事で説明しているので併せてご確認ください。

遺産を分割する方法

全員が納得したら「遺産分割協議書」を作成する

遺産の分割方法についてすべての相続人が納得し、話し合いがまとまったら、「遺産分割協議書」を作成することをおすすめします。 遺産分割協議書とは、遺産の分割について相続人間で合意した内容をまとめた書面です。「誰が」「どの財産を」相続するのかを細かく記載したうえで、相続人全員が合意した証として署名・捺印するので、遺産分割協議による合意内容を証明する証拠となります。

必ず作成しなければならないわけではありませんが、後になって合意内容と食い違う主張をする相続人が出てきた場合など、後々トラブルが発生したときに役立ちます。 遺産分割協議書の具体的な作成方法は、下記の記事で説明しています。ひな形(テンプレート)も載せているので、ぜひ参考になさってください。

遺産分割協議書の作成方法とひな形

遺言がある場合の遺産分割協議

遺言がある場合は、遺言の内容に従って遺産分割を行うのが基本です。そのため、遺産分割協議を行う必要はありません。 しかし、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議を行って、遺言の内容とは違う分割方法で遺産を分けることもできます。 ただし、遺言に「相続人以外の者に対する遺贈」や「遺言執行者の指定」といった内容が含まれている場合には、受遺者や遺言執行者の同意を得なければなりません。

遺贈とは、遺言によって、遺贈者(亡くなった人)の財産の全部または一部を、受遺者(遺贈を受ける人や団体)に贈与することをいいます。相続と違い、遺贈では、法律で定められた相続人以外の第三者にも財産を譲ることができます。 遺言の内容と異なる遺産分割をすると、受遺者の利益が損なわれる可能性があるので、遺言がある場合に遺産分割協議を行う際には受遺者の同意を得る必要があります。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする人を指します。遺言どおりに手続きを進める義務を負う遺言執行者の同意を得ずに、遺言の内容と異なる遺産分割をすることは認められません。 遺贈と遺言執行者についてより詳しく知りたい方は、下記の各記事をご覧ください。

遺贈とは 遺言執行者とは

遺産分割の禁止について

遺言で「遺産分割の禁止」が定められている場合も、設定された期間が過ぎるまでは、遺産分割協議をすることができません。 遺産分割の禁止とは、上限を5年とする一定期間、遺産分割を禁止することで、遺言による方法のほか、協議による方法、調停による方法、審判による方法があります。
相続人がまだ幼いケースや、被相続人が亡くなってすぐに遺産を分け合うとトラブルになることが予想されるケースで行われるのが一般的です。

遺言に相続の割合のみで具体的な内容が書かれていなかった場合

遺言があっても、遺産の分割方法について相続する割合しか指定されていなかった場合、遺産分割協議が必要になります。 例えば、「妻に遺産の2分の1、長男に遺産の4分の1、二男に遺産の4分の1を相続させる」と遺言書に書かれていても、各相続人が具体的に何を相続すればいいのかがわかりません。そのため、遺産分割協議を行い、各相続人がどの遺産を指定された割合で相続するのか、具体的に決める必要があります。

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遺産分割協議成立後に遺言書が見つかった場合

話し合いがまとまり、遺産分割協議が成立した後に遺言書(遺言を書面にしたもの)が見つかった場合、成立した遺産分割協議と遺言書では、どちらが優先されるのでしょうか? 遺言は故人の最後の意思表示であり、最大限に尊重されるべきものだと考えられているため、遺産分割協議で決めた分割方法が遺言書の内容に反する場合、成立した遺産分割協議は無効になるのが基本です。この場合、遺言書で指定されたとおりに遺産分割を行うことになります。 しかし、相続人全員が合意し、遺言書ではなく遺産分割協議で決めた分割方法を優先させることになった場合は、成立した遺産分割協議で決めた方法で遺産分割をすることができます。 なお、遺言書に「相続人の廃除」や「子供の認知」等について記載されていた場合、遺言執行者が指定されている場合、相続人以外の第三者が受遺者とされている場合には、成立した遺産分割協議が無効になる可能性があるので、注意が必要です。 遺言書の効力について、詳しい内容は下記の記事をご覧ください。

遺言書の効力について

遺産分割協議成立後に新たな遺産が見つかった場合

遺産分割協議が成立してから、それまで把握していた財産以外の新たな遺産が見つかることがあります。このようなケースでも、すでに成立した遺産分割協議は基本的に有効とされます。そのため、新たな遺産のみを対象に、追加で協議すれば足りると考えられています。なお、すべての相続人が合意すれば、協議をやり直すことは可能です。 ただし、新たな遺産が、他の遺産と比べて特に大きな価値を有しており、その遺産があることを知り得ていたら協議に合意しなかったと考えられる場合には、成立した遺産分割協議が無効になるおそれがあります。 このような事態を防ぐためにも、協議成立後に新たに遺産があることが判明した場合の取り扱い方を前もって決めておき、遺産分割協議書に記載しておくと良いでしょう。

遺産分割協議がまとまらない場合

相続人間の話し合いがまとまらず、遺産分割協議がなかなか成立しないときは、弁護士を介入させることで事態を動かせる場合があります。例えば、第三者である弁護士の法律知識に基づいた意見を聞くことで、相続人が納得しやすくなり、話し合いがまとまる可能性が高まります。 それでも遺産分割協議が成立しない場合には、遺産分割調停を行い、遺産分割調停も成立しない場合には、最終的に遺産分割審判に至ることになります。 遺産分割調停と遺産分割審判について、詳しくは次項より説明していきます。

遺産分割協議で決まらなければ遺産分割調停へ

遺産分割協議が成立しなければ、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立て、裁判所の手続きによって解決を目指していくことになります。 遺産分割調停とは、裁判官と2名以上の調停委員で構成される調停委員会が間に入り、公正中立な立場から話し合いを進行することによって、遺産分割について円満な解決を図ろうとする手続きです。 遺産分割調停を行うためには、管轄となる家庭裁判所に、遺産分割調停申立書をはじめとする必要書類や資料を提出して申し立てる必要があります。
調停内で相続人間の話し合いがまとまれば、遺産分割調停は成立し、合意内容をまとめた「調停調書」が作成されます。
一般的に1年程度で終了するケースが多いですが、争点が多い場合や、ひとりでも合意しない相続人がいる場合などには、手続きが長引いて1年以上かかることもあります。 遺産分割調停の詳しい流れや調停が利用できない場合の対処法など、詳細な説明をご覧になりたい方は、下記の記事でご確認ください。

遺産分割調停の流れ

遺産分割調停でも決まらなければ遺産分割審判へ

遺産分割調停は、調停委員会が「まとまる見込みがない」と判断すると不成立となり、自動的に「遺産分割審判」に移行します。 遺産分割審判とは、遺産の分割方法について、裁判所が審判の形で決定する手続きのことです。当事者の合意による解決を目指すのではなく、最終的な判断を裁判所に委ねる点で、遺産分割協議や遺産分割調停とは異なります。 遺産分割審判は、裁判所が遺産の分割方法を決定することで終了し、決定内容をまとめた「審判書」が作成されます。なお、審判の内容に不服があるときは、審判書を受け取った日の翌日から2週間以内であれば、不服申立て(即時抗告)をすることができます。 通常、遺産分割審判が終了するまでには1年以上かかります。また、争点が多いなど、期日の回数が平均以上になるケースでは、2~3年程度かかることもあります。 遺産分割審判の詳しい解説は、下記の記事でご確認いただけます。

遺産分割審判の流れ

遺産分割協議の注意点

遺産分割協議は原則やり直し不可

一度成立した遺産分割協議のやり直しはできないのが原則なので、安易に合意してしまわないようにご注意ください。
ただし、すべての相続人の合意が得られれば、やり直すことができます。

また、原則としてやり直しができない遺産分割協議ですが、成立後に無効になることはあります。
例えば、
・一部の相続人が協議に参加していなかった場合
・相続人以外の者が参加していた場合
・協議成立後に、かなりの価値を持つ遺産が見つかった場合
といったケースが挙げられます。

全員の合意がなければ成立しない

遺産分割協議を成立させるためには、協議内容について、相続人全員が合意する必要があります。 一人でも反対する人がいれば成立しないのはもちろん、一部の相続人が参加せずに成立した遺産分割協議も無効になります。例えば、認知されている隠し子の存在を知らずに行った遺産分割協議は無効となるので、隠し子も入れて協議をやり直す必要があります。 とはいえ、相続人のなかに、どうしても連絡が取れない人がいる場合もあります。この場合には、家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選任してもらい、連絡が取れない相続人に代わって協議に参加してもらうことができます。 また、行方不明で生死もわからない相続人がいる場合には、家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てて法律上死亡したものとみなしてもらい、遺産分割協議のメンバーから外すことができるケースもあります。

遺産分割協議でよく揉めるケース

遺産分割協議でよく揉めるケース

不動産がある場合

遺産に土地や家といった不動産が含まれているケースは非常に多いですが、この場合、「分割方法」や「評価方法」について揉めることが多いです。 例えば、不動産そのものを相続したい人が複数いたり、不動産を売って現金で取得したい人がいたりと、相続人のなかでも不動産の扱いに対する意見が分かれやすいので、不動産の分割方法を巡って揉めがちです。 また、不動産の分割方法では合意したものの、不動産の価値を把握するための評価方法について揉めることも少なくありません。例えば、不動産を取得する代わりに代償金を支払うことで合意した場合、代償金の額は不動産の評価額により増減します。そのため、代償金を支払う側は、なるべく評価額が低くなる評価方法を選ぶ一方、代償金を受け取る相続人は、できるだけ高い評価額が出る評価方法を選ぶので、なかなか話し合いがまとまらない可能性があります。 だからといって、複数の相続人で不動産を「共有」することは、問題の先送りになるだけなのでおすすめできません。共有状態の不動産は、リフォームする、貸家にするなど柔軟に活用することが難しいですし、共有者が亡くなれば、再び相続が起こり共有持分がどんどん細分化されてしまうので、さらなるトラブルの原因になるからです。

寄与分を主張する相続人がいる場合

「寄与分」を主張する相続人がいる場合も、遺産の平等な分割を巡って揉めやすいです。 寄与分_とは、被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした場合に、貢献度に応じてその人の相続分を増やす制度のことです。 例えば、通常ならヘルパーなどの手伝いが必要な程度の被相続人の介護を一手に担っていたようなケースや、被相続人の事業を無償で、または一般的な報酬よりかなり少ない報酬で手伝っていたようなケースでは、寄与分が認められる可能性が高いでしょう。 とはいえ、寄与分を主張して相続する遺産の増額を主張しても、他の相続人がすんなり受け入れてくれることは少ないのが現実です。寄与分を主張する相続人と認めない相続人が対立し、遺産分割協議がまとまらないケースは多く見られます。 寄与分の制度に関する詳細を知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

寄与分とは

特定の相続人が被相続人から生前に財産贈与を受けていた場合

特定の相続人が、被相続人から多額の生前贈与を受けていた場合など、「特別受益」を受けていたケースでも揉める可能性が高いでしょう。
特別受益を受けていない他の相続人からしてみれば、生前贈与などの分、相続財産が減ったため、自分の相続分も減ったと考えられるからです。
このようなケースでは、遺産分割の際に、特別受益を受けた相続人がいることを考慮してそれぞれの相続人の相続分を計算します。これを「特別受益の持ち戻し」と呼びますが、そもそも「何が特別受益にあたるのか」の判断が難しいことが多いため、特別受益を受けた相続人がいるケースではトラブルが起こりやすい傾向にあります。 特別受益の持ち戻しの具体的な仕組みなど、特別受益についてより詳しく知りたい方は、ぜひ下記の記事を併せてご覧ください。

特別受益について

内縁の妻や夫がいる場合

内縁の配偶者には相続権がないため、被相続人に法定相続人がいる場合、揉め事になりやすいです。 内縁関係にあるということは、事実上婚姻関係にあるということです。しかし、内縁関係(事実婚)はあくまで法律婚に準じた関係としか扱われません。そのため、たとえ法律婚の夫婦と同様に生活して共同で財産を築いたとしても、被相続人名義の財産は、法律婚の配偶者や、前配偶者との子供などの法定相続人のものとなってしまいます。内縁の配偶者にとってはとても納得できないことでしょう。 なお、遺言によって内縁の配偶者に遺贈する旨を定めておけば、内縁の配偶者も財産を失わずに済みます。とはいえ、法定相続人には遺留分があるので、場合によっては遺留分侵害請求をされるなど、トラブルに繋がるリスクはあります。

前配偶者との子供や認知した子供がいる場合

被相続人に、前配偶者との子供や認知している隠し子がいる場合も、トラブルになりがちです。 このような場合、相続人同士にはたいてい交流がありませんし、相続開始後初めて存在を知ることもあるでしょう。被相続人の現在の家族からしてみれば、縁遠い他人に遺産を渡すことに納得できないかもしれません。 しかし、前配偶者との子供や認知されている隠し子にとって被相続人は親ですし、法定相続人である以上は当然に相続権を主張できます。 お互いの意見が真っ向からぶつかり合う問題であり、感情的な対立を招く可能性が高いため、かなり揉めやすいケースだといえるでしょう。

弁護士へ遺産分割協議を任せる際の流れ

①遺留分の割合を算出

依頼を受けた弁護士は、まず、依頼者の代理人として、他の相続人に対して「遺産分割協議を行う旨の通知書」を送付します。なぜなら、法定相続人に最低限保障される遺産の相続分である「遺留分」を確認するため、「遺留分の割合」を算出する必要があるからです。 遺留分の割合は、「誰が、何人相続人となるのか」、「被相続人とどのような関係にあるのか」によって変わってきます。そこで、依頼者以外の相続人について調査する必要があります。 また、遺産分割協議は法定相続人全員で行わなければならないので、遺産分割協議に対する全員の意向を事前に確認する必要もあります。 こうした理由から、受任後、弁護士はまず初めに、遺産分割協議を行う旨の通知書を送付することになります。

②相続調査

次に、「相続人の調査」と「相続財産の調査」を行います。
具体的には、弁護士が職権に基づいて戸籍や住民票を取得し、被相続人の縁者を確認します。また、弁護士会照会制度を利用して、金融機関・保険会社・税務署などから情報を取得し、遺産について調べます。

③相続割合の計算

相続人と遺産の調査が終了したら、各相続人の相続割合を計算します。
その際、特別受益を受けた相続人や寄与分を主張する相続人がいる場合には、生前贈与等の金額や被相続人への貢献度などを考慮したうえで、それぞれの相続割合を算出します。

④遺産分割協議の代理交渉

相続割合の計算が完了したら、遺産分割協議に進みます。 遺産分割協議では、弁護士は依頼者の代理人として、依頼者に代わって他の相続人と交渉します。交渉では、どのような財産を取得するのが依頼者にとって一番有利になるのかを検討しながら、依頼者の希望を実現させることを第一に尽力します。 なお、当事者である相続人だけで遺産分割協議を行うことも可能ですが、煩雑な相続分の計算が必要なほか、対応によっては親族関係の悪化を招いたり、精神的に大きなストレスとなったりするおそれがあります。こうしたリスクを最小にするためにも、弁護士への相談をおすすめします。

相手方が交渉に応じない場合、調停を申し立てて解決を図ります

交渉では遺産分割の条件に折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立て、調停員会を通じて話し合いを行います。
調停では、調停委員会が当事者の間に入り、詳しい事情やそれぞれの言い分、希望などを聴き取り、場合によっては解決策を提案したり、助言をしたりして進めていきます。
それでも話し合いがまとまらない場合には、調停不成立として「遺産分割審判」に移行し、裁判官が適切な遺産の分割方法を判断します。
この判断に納得できなければ、2週間以内に即時抗告という手続きをとり、不服を申し立てます。
いずれの手続きでも、弁護士法人ALGでは、相続問題に詳しい相続チームが問題の解決に努めます。例えば、依頼者に有利な証拠を集め、説得力のある主張書面を作成するなどして調停委員会を味方につけ、依頼者の希望が実現できるように全力でサポートします。

遺産分割協議に関するQ&A

遺産分割協議の期限

相談者

遺産分割協議に期限はありますか?

弁護士

遺産分割協議に、いつまでに始め、いつまでに成立させなければならないといった期限はありません。 ただし、相続放棄や限定承認は相続開始後3ヶ月以内に行う必要がありますし、相続税の申告は相続開始後10ヶ月以内に行わなければなりません。 また、相続税には「配偶者控除」などの軽減措置がありますが、申告期間内に遺産分割協議をまとめ、実際に配偶者に遺産を分配しなければ受けられなくなってしまいます。

相続人の中に未成年がいる

相談者

未成年の相続人は遺産分割協議に参加できますか?

弁護士

未成年者は、遺産分割協議に参加できません。 そのため、親権者である親が代理人として協議に参加するのが基本ですが、親も相続人にあたる場合には親子の利害が対立するため、代理人になることはできません。 このような場合に、未成年者が成人するのを待たずに協議を進めるためには、家庭裁判所に申し立てて「特別代理人」を選任し、未成年者の代理人となってもらう必要があります。 なお、未成年者が成人となれば本人による協議への参加がかないますので、特別代理人の選任は不要となります。 特別代理人の選任方法や、具体的に誰がなれるのかといった解説は、下記の記事でご覧いただけます。ぜひ併せてご確認ください。

相続人に未成年がいる場合

相続人の中に認知症の人がいる

相談者

認知症の相続人がいる場合に遺産分割協議を行う方法は?

弁護士

認知症を患っているなど、判断能力のない相続人は遺産分割協議に参加できないので、代理人を立てる必要があります。
相続人に既に任意後見人などがいる場合には、この後見人に遺産分割協議に参加してもらうことで、話し合いを進めることができます。 これに対して、まだ後見人がいない場合は、家庭裁判所に「成年後見制度」の利用を申し立て、代理人を選任することになります。 成年後見制度の概要や、詳しい申立方法などについては下記の記事でご確認ください。

相続人に認知症の人がいる場合

相続人が海外にいる場合

相談者

海外在住の相続人も遺産分割協議に参加しないといけないのですか?

弁護士

遺産分割協議には、海外在住の相続人も参加しなければなりません。 とはいえ、実際に話し合いの場に出席するために帰国する必要はありません。テレビ電話やメールなど、意思の疎通ができるツールが利用できるのであれば、遠隔で遺産分割協議を行うことができます。 協議が終了し遺産分割協議書が作成されたら、送付してもらい、大使館や総領事館等で署名・拇印したうえで返送します。その際、サイン証明(署名証明)一式を同封する必要があるので注意しましょう。 詳しい手続の流れや、相続人に海外在住者がいる場合の注意点などについては、下記の記事で解説しているのでご覧ください。

相続人に外国(海外)在住者がいる場合

協議中の相続放棄

相談者

遺産分割協議で相続放棄はできますか?

弁護士

できません。
遺産分割協議のなかで「相続を放棄する」旨の取り決めをしても、相続放棄をしたことにはなりません。 例えば、遺産分割協議書に「○○は遺産相続をしない」旨を記載し、署名捺印をしたとしても、「相続分の放棄」をしたものとして扱われるだけです。 相続分の放棄とは、あくまで相続人の地位は維持しつつ、自分の相続分を他の人に譲ることであり、特別な方式は必要ありません。 これに対して、相続放棄は、相続人の地位を捨てて一切の財産の相続を拒否することです。家庭裁判所に放棄する旨を申述しなければ放棄できません。
相続放棄をした人は、遺産分割協議に参加する資格も必要もなくなります。
相続放棄の詳細や、相続分の放棄との違いが気になる方は、ぜひ下記の各記事をご覧ください。より理解を深めていただけます。

相続人に外国(海外)在住者がいる場合

遺産分割の交渉は弁護士にお任せください

相続問題がこじれて実際にトラブルになってから弁護士に依頼するのは合理的ではありません。問題をこじらせずに解決するためには、遺産分割協議を始める段階で、法律の専門家である弁護士のアドバイスを受けることが大切です。 例えば、ご依頼者様が「被相続人のために当然のこと」と思ってやったことが、法律的な観点や他の相続人からみると認められにくいものであることがしばしばあります。これが原因で相続人間の感情がこじれ、後々の親族付き合いにも深刻な影響を与えてしまうことも少なくありません。 トラブルに発展するのを未然に防ぎ、相続問題を迅速に解決するためにも、遺産分割協議を始める段階など、かなり早期の段階から弁護士のアドバイスを受けることが重要です。 蓄積された経験と磨き上げた調査能力を駆使し、ご依頼者様の希望に最も近い形での遺産分割をすすめてまいりますので、ぜひ弁護士法人ALGにご相談ください。