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銀行口座の相続手続き│流れや日数・期限は?必要書類など詳しく解説

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

亡くなった人の遺産には、高い確率で「銀行口座の預金」が含まれています。銀行口座の預金を引き継ぐためには、一定の「相続手続き」が必要です。 この記事では、銀行口座の相続手続きについて、手続きにかかる日数や期限、流れを詳しく解説していきます。銀行口座の相続手続きに関してよくある質問にもお答えしていますので、ぜひ参考になさってください。

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銀行(預貯金)の相続手続きの流れ

亡くなった人(=被相続人)の銀行口座の預金は、相続人の共有財産となるため、一定の「相続手続き」が必要です。 銀行口座の相続手続きは、まず銀行に名義人が亡くなったことを知らせて、口座を凍結してもらいます。その後、遺産分割協議等を経て相続人が決まったら、凍結を解除して解約手続き等を行うのが一般的です。 具体的な手順は次の通りです。

  1. ① 被相続人の銀行口座を特定する
  2. ② 名義人が亡くなったことを銀行に連絡する
  3. ③ 残高証明書の発行を依頼する
  4. ④ 遺産分割協議を行う
  5. ⑤ 銀行で解約手続きを行う

①被相続人の銀行口座を特定する

まずは、被相続人の銀行口座を特定します。 特定方法としては、被相続人の遺品から預金通帳やキャッシュカードを探すのが簡単です。 銀行からの郵便物、パンフレット、メール、ノベルティ、ネットバンキングなども、口座を特定する手がかりになります。 手がかりがみつからない場合は、生活圏内や行動範囲内で心当たりのある銀行に直接問い合わせてみましょう。「全店照会」を依頼すると、その銀行の全支店での口座の有無が一括で確認できます。 全店照会は、相続人であれば単独での依頼が可能です。

②名義人が亡くなったことを銀行に連絡する

被相続人の口座が特定できたら、口座のある全ての銀行に名義人が亡くなったことを連絡しましょう。 銀行の窓口や電話、ウェブサイト等から連絡できます。 銀行への連絡後、被相続人の口座は凍結され、相続手続きが完了するまで入出金ができなくなります。 これは、第三者が勝手に預金を引き出す等のトラブルを防ぐためです。 市区町村役場へ死亡届を提出するだけでは銀行口座は凍結されないため、なるべく早く銀行へ連絡することをおすすめします。 銀行に連絡すると、相続手続きの方法や必要書類についても案内が受けられます。

③残高証明書の発行を依頼する

口座の名義人が亡くなったことを銀行に連絡する際は、「残高証明書」の発行も依頼しておきましょう。 残高証明書とは、被相続人が亡くなった時点での預金残高を証明する書類です。 被相続人の預金残高を正確に把握し、手続きを円滑に進めるためにも、忘れずに取得しておきましょう。 残高証明書の取得には、次のような書類が必要になります。

  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本等
  • 相続人であることが確認できる戸籍謄本等
  • 残高証明書の発行を依頼する相続人の実印・印鑑証明書
  • 対象口座の通帳、キャッシュカード
  • 発行手数料(1通あたり1000円前後)

④遺産分割協議を行う

全ての銀行から残高証明書を取得できたら、遺産分割協議を行いましょう。 遺産分割協議とは、相続人全員で被相続人の遺産の分け方を話し合って決めることです。 銀行口座の預金を含め、被相続人の全ての遺産について、誰が何をどのように相続するのか話し合い、合意した内容で「遺産分割協議書」を作成します。 遺産分割協議書があれば、銀行で相続手続きを行う際、相続人全員が揃って窓口に行く必要がありません。代表者のみが出向き、協議書に基づいて手続きを進められます。 遺産分割協議について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

⑤銀行で解約手続きを行う

遺産分割協議書と、相続手続きに必要な書類が準備できたら、銀行の窓口で解約手続きを行いましょう。 相続手続きに必要な書類は銀行によって異なるため、提出前に不足や不備がないかしっかり確認することが重要です。 提出書類に問題がなければ、口座の凍結が解除され、遺産分割協議書の内容に従って口座の解約や名義変更、預金の払い戻しが行われます。

銀行の相続手続きにかかる日数は?

銀行口座の相続手続きにかかる日数は、おおむね2週間~1ヶ月程度が目安です。 ただし、書類に不備があれば修正に時間がかかります。繁忙期等で処理が滞っている場合も、通常より時間がかかるでしょう。

銀行の相続手続きはいつまでにする?期限は?

銀行口座の相続手続きは、「いつまでにしなければならない」といった明確な期限はありません。 遺言書で指定されていなければ、なるべく早く遺産分割協議によって相続人を決めるのが良いでしょう。 法律上、5年間(金融機関によっては10年間)預貯金を放置してしまうと、金融機関は時効を主張して預貯金の払い戻しを拒めるようになります。 実際に時効を主張されるケースはほとんどないようですが、あくまでも金融機関の好意によるものなので、リスクを避けるためにも早めの対応が重要です。

銀行(金融機関)の相続手続きに必要な書類

銀行口座の相続手続きに必要な書類は、相続の方法によって異なります。 主なケースは次の3つです。

  • 遺言書がある場合
  • 遺言書がなく遺産分割協議書がある場合
  • 遺言書がなく遺産分割協議書もない場合

ケースごとに必要書類を紹介していきますが、銀行によっては追加で提出が求められる書類もあるので、事前に確認しておくと安心です。

遺言書がある場合

被相続人の遺言書がある場合、次のような書類が必要になります。

遺言書(原本) 誰がどのような割合で預貯金を相続するのかが明確な遺言書
検認調書または検認済証明書 遺言書を家庭裁判所が確認したことを証明する書類
※公正証書遺言である場合や、自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は不要
被相続人の戸籍謄本(原本) 被相続人が生まれてから死亡するまでの全ての戸籍謄本
預貯金を取得する相続人の印鑑登録証明書 預貯金を相続する者の印鑑登録証明書
各金融機関所定の書類 各金融機関によって個別に定められたもの
被相続人の預貯金通帳 証書、キャッシュカード、貸金庫の鍵等も含む

申請書類等への押印には実印を使用します。 遺言執行者がいる場合は、遺言執行者の実印や印鑑証明書等も必要です。

<遺言書の種類に注意>
被相続人自筆の遺言書(=自筆証書遺言)は、改ざん防止と相続人への通知のため、開封前に裁判所での「検認」という手続きが必要になります。
公証人が作成し、公証役場で保管されている遺言書(=公正証書遺言)は、正本または謄本の原本が必要です。 ※「自筆証書遺言保管制度」を利用して法務局に保管されている自筆証書遺言は、検認不要です。

遺言書がある場合の相続手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

遺言書がなく遺産分割協議書がある場合

遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合は、次のような書類が必要になります。

遺産分割協議書 誰がどのような割合で預貯金を相続するのかが明確な遺産分割協議書
被相続人の戸籍謄本(原本) 被相続人が生まれてから死亡するまでの全ての戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本(原本) 法定相続人の全員のもの
相続人全員の印鑑登録証明書 法定相続人の全員のもの
各金融機関所定の書類 各金融機関によって個別に定められたもの
被相続人の預貯金通帳 証書、キャッシュカード、貸金庫の鍵等も含む

申請書類等への押印には、実印を使用します。

遺言書がなく遺産分割協議書もない場合

遺言書も遺産分割協議書もない場合は、次のような書類が必要になります。

被相続人の戸籍謄本(原本) 被相続人が生まれてから死亡するまでの全ての戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本 法定相続人の全員のもの
相続人全員の印鑑登録証明書 法定相続人の全員のもの
各金融機関所定の書類 各金融機関によって個別に定められたもの
被相続人の預貯金通帳 証書、キャッシュカード、貸金庫の鍵等も含む

銀行預金が少額であれば相続手続きは不要?

被相続人の預貯金が少額でも口座は凍結されてしまうため、相続手続きが必要です。 少額だからと相続手続きをせずに放置すると、後で引き出したくても手続きが複雑になったり、無断で引き出されたりするなどトラブルが生じるリスクがあります。 相続手続きの手間を省くため、少額の預貯金口座は生前に解約してもらうのもひとつの方法です。 なお、ゆうちょ銀行等では、口座残高が100万円以下などの少額であれば、代表相続人のみで貯金を引き出せる「簡易手続き」も設けられています。簡易手続きの詳細は金融機関によって異なるため、確認してみると良いでしょう。

銀行の相続手続きを放置するリスク

銀行口座の相続手続きには手間がかかりますが、放置してしまうと主に以下のようなリスクが生じます。

  • 休眠口座となり手続きが煩雑になる
  • 遺産分割前に預金を引き出してしまうと相続放棄できなくなる
  • 相続人との間でトラブルになる可能性がある

休眠口座となり手続きが煩雑になる

休眠口座とは、2009年1月1日以降の取引から、10年以上に渡って入金や出金がない口座です。休眠預金等活用法により、休眠口座にある預貯金は民間公益活動に活用されます。 休眠口座になっても利息はつきますが、ATM等では預貯金を引き出せなくなります。 その場合、銀行窓口での払い戻しや口座復活手続きが必要となるため、余計な手間がかかるでしょう。

遺産分割前に預金を引き出してしまうと相続放棄できなくなる

金融機関への連絡や口座凍結の手続きをしないと、預貯金がそのまま引き出せる状態になります。 遺産分割前に被相続人名義の預貯金を引き出してしまうと、被相続人のプラスの財産やマイナスの財産を全て相続したとみなされ、相続放棄できなくなる可能性が高いです。 被相続人に多額の借金等があれば、それらの負債も全て相続しなければならず、大きなリスクを負うことになります。 相続放棄について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

相続人との間でトラブルになる可能性がある

銀行の相続手続きを放置していると、親族等が預貯金を勝手に引き出し、使い込まれてしまうリスクがあります。 使い込みのトラブルを防ぐためにも、早めに銀行に連絡して口座を凍結してもらいましょう。

銀行口座の相続手続きに関してよくある質問

相続開始前に故人の預金から葬儀費用を引き出すことは可能ですか?

口座凍結前であれば引き出し可能ですが、相続放棄ができなくなったり、ほかの相続人から使い込みを疑われたりするリスクがあるため、行わないようにしましょう。 葬儀費用の捻出に困る場合は、「遺産分割前の払い戻し制度」を利用するのがおすすめです。 遺産分割前の払い戻し制度とは、遺産分割協議が成立する前に、一定額以下の預貯金を引き出せる制度です。払い戻せる金額の上限は、以下のいずれか低い方とされています。

  • 口座預金残高×1/3×払い戻しを受ける人の法定相続割合
  • 150万円

より多くの引き出しが必要なときは、家庭裁判所に「保全処分の申立て」を行います。 遺産分割前の払い戻し制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

銀行口座の相続手続きにかかる費用はどのくらいですか?

銀行口座の相続手続きでは、戸籍謄本や残高証明書の取得に数百円~数千円程度(1通あたり)の費用がかかります。 相続人や銀行口座の数が多いほど、必要な書類の数も増えるため、費用も高額になりがちです。

  • 戸籍謄本:450円(1通)
  • 印鑑登録証明書:300~400円(1通)
  • 残高証明書:1000円前後(1通)

遺産分割協議書の作成を弁護士などの専門家に依頼した場合は、10万~20万円程度の費用がかかるのが一般的です。遺産分割協議や交渉等も依頼すると、30万円以上かかるケースもあります。 遺産の内容や相続人との関係性など、さまざまな事情を考慮したうえで、「どこまで専門家に依頼するのか」を検討することが重要です。

銀行の相続手続きでお困りの際は弁護士にご相談ください

銀行口座の相続手続きは、かなりの手間と時間がかかります。制度を利用すれば、遺産分割前でも払い戻しは可能ですが、トラブルを防ぐためにも早めに遺産分割協議を成立させなければなりません。 弁護士であれば、必要書類の収集等をスムーズに進め、金融機関における手続きも代理できます。口座の凍結を解消するために必要な遺産分割協議についても、早期にまとまるようしっかりサポートします。 銀行口座の相続手続きでお困りの際は、ぜひ私たち弁護士法人ALGにご相談ください。