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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
遺産分割協議が成立したら、相続人全員の合意内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成するのが一般的です。これは、遺産の分け方を正式に記録する書類であり、不動産の相続登記や相続税の申告など、多くの相続手続きで必要になります。 遺産分割協議書を作成しないと、手続きが進まないだけでなく、後に相続人間で認識の違いによるトラブルが発生するリスクがあります。 この記事では、遺産分割協議書の作成手順、書き方、注意点をわかりやすく解説します。
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遺産分割協議書とは、遺産分割協議で決まった内容をまとめた書面です。また、遺産分割協議とは、亡くなった方(被相続人)の遺産の分割について法定相続人全員で行う協議のことです。 協議による合意によって遺産分割協議書を作成すれば、合意内容を証明することができます。 遺産分割協議書は自分で作成することも可能ですが、不備が生じやすく、トラブルの原因になるおそれがあります。なるべく、弁護士などの専門家に作成を依頼することをおすすめします。
遺産分割協議書の作成が必要になるのは、次のような場合です。
遺産分割協議書が必要な手続きと、提出先を下表にまとめたのでご覧ください。
| 遺産分割協議書が必要な手続き | 遺産分割協議書の提出先 |
|---|---|
| 預金の名義変更・払い戻し | 金融機関 |
| 株式の名義変更 | 証券会社 |
| 不動産の相続登記 | 法務局 |
| 自動車の名義変更 | 運輸支局 |
| 相続税の申告 | 税務署 |
特に注意すべきなのが「不動産の相続登記」です。相続登記は、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きです。2024年4月1日から義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記しなければならず、怠ると過料が科される可能性があります。 登記を進めるには、誰がどの不動産を取得するかを明確にする必要があります。遺言書があればその内容に従って手続きできますが、遺言書がない場合や法定相続分と異なる分割を行う場合は、相続人全員で話し合い、遺産分割協議書を作成しなければなりません。 協議書がなければ登記ができず、期限内に義務を守れないリスクが生じます。 遺産分割協議書の提出先について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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遺産分割協議書は多くの相続手続きで必要とされる重要な書類ですが、すべてのケースで必ず作成が求められるわけではありません。次のようなケースでは、遺産分割協議を行う必要がないため、遺産分割協議書の作成も不要です。
遺産分割協議書は、主に次の流れで作成します。
遺産分割協議書を作成するには、まず相続人を正確に確定することが重要です。 遺産分割協議は、法定相続人全員の参加と合意がなければ成立しません。一部の相続人を欠いた協議は無効となり、後に手続きをやり直す必要が生じるため、慎重な確認が求められます。 相続人を確定するには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せる必要があります。この戸籍をもとに、配偶者、子や孫、親や祖父母、兄弟姉妹、認知された子や養子までもれなく確認します。 相続人調査の方法について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
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遺産分割協議書を作成する際は、被相続人の財産を正確に確定することが不可欠です。 現金や預貯金、不動産、株式などのプラスの財産だけでなく、借入金といったマイナスの財産も漏れなく調査しなければなりません。これを怠ると、後に新たな財産が発覚して協議をやり直す必要が生じ、トラブルの原因となります。 調査には銀行の残高証明や証券会社の報告書、固定資産税評価証明書、登記事項証明書、借入契約書などを用いて、資産と負債を整理します。その情報をもとに財産目録を作成しておけば、相続人間で財産の全体像を共有でき、遺産分割協議もスムーズに進められます。 相続財産の調査方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければなりません。 法律上、協議自体に期限はありませんが、相続税の申告には期限があります。 相続税の申告・納付は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。この期限までに協議がまとまらないと、配偶者控除や小規模宅地等の特例などの相続税優遇措置を受けられなくなる可能性があります。 さらに、2024年4月からは不動産の相続登記が義務化され、取得を知った日から3年以内に登記をしなければ過料の対象となります。こうした期限を考慮すると、遺産分割協議はできるだけ早く開始することが重要です。 遺産分割協議の進め方について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
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遺産分割協議で遺産分割について合意が得られたら、その取り決めを「遺産分割協議書」にまとめます。 協議書には被相続人の氏名や死亡日、相続財産の詳細、分割方法、相続人全員の氏名・住所を記載し、実印を押して印鑑証明書を添付するのが基本です。記載内容に誤りや不備があると無効になる可能性があるため、作成時には弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
遺産分割協議書には決まった書式や形式がないため、パソコンで作成する方法でも、手書きでも問題ありません。用紙の種類やサイズ、使うペンの種類も好きに決められます。 ただし、以下に挙げる事項は明確に記載する必要があります。
遺産分割協議書が複数ページになる場合は、すべてのページに相続人全員が実印で割印を押す必要があります。 以下に、遺産分割協議書の記載例をご紹介しますので、作成時の参考にしてください。
初めて作成する場合は、ひな形を参考にするとスムーズです。以下の国税庁のホームページには遺産分割協議書のサンプルが掲載されていますので、ご確認ください。
遺産分割協議書の記載例【国税庁】(PDF36ページ目)預貯金を相続する場合、遺産分割協議書には「どの相続人が、どの金融機関の口座を相続するのか」を明確に記載することが重要です。具体的には、銀行名、支店名、預金の種類、口座番号、名義人を記載します。ただし、口座の残高は変動するため、詳細な金額は明記しない方が良いでしょう。その代わり、金額が変動しても全額を相続できる旨を明記しておくと安心です。 一つの口座を複数人で分ける場合、銀行が対応しないケースがあるため、代表者を決めて払い戻し後に分配するか、代償分割を検討する必要があります。記載方法にはいくつかのパターンがあり、以下のひな形を参考にしてください。
ALG太郎は以下の遺産を取得する。
(1)預貯金
○○銀行○○支店 普通預金 口座番号:1234567
口座名義人 ALG一郎
残高 1000万円及びに相続開始後に生じた利息
ALG太郎は以下の遺産を取得する。
(1)預貯金
○○銀行○○支店 普通預金 口座番号:1234567
口座名義人 ALG一郎
以下の遺産については、相続人ALG太郎が3分の2、相続人ALG花子が3分の1の割合でそれぞれ取得する。 なお、以下の遺産について甲野太郎は相続人を代表して以下の遺産の解約および払い戻しまたは名義変更の手続きを行い、このうちALG花子の取得分について、別途指定する口座に振り込んで引き渡すものとする。このときの振込手数料については、甲野花子の負担とする。
(1)預貯金
○○銀行○○支店 普通預金 口座番号:1234567
口座名義人 ALG一郎
不動産を相続する場合、遺産分割協議書には、どの相続人が、どの不動産を取得するのかを明確に記載することが重要です。 法務局で取得できる登記事項証明書に記載された「所在」「地番」「家屋番号」などを正確に転記しましょう。住所のみの記載では不十分で、登記簿と一致しない場合、相続登記が受理されない可能性があります。 なお、相続登記だけが目的であれば、不動産のみを記載した協議書でも問題ありません。しかし、後のトラブル防止や相続税申告などを円滑に進めるには、現金や預貯金などのすべての相続財産を含めた協議書を作成することをおすすめします。 不動産のみの遺産分割協議書の詳細やテンプレートは、こちらのリンクで確認できます。
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また、以下の法務局の公式サイトでもPDF形式のひな形をダウンロード可能ですので、作成時にご活用ください。
法務局テンプレ自動車を相続する場合、遺産分割協議書の必要性は車の種類や査定額によって異なります。 査定額が100万円を超える普通自動車を相続し、名義変更をする場合は、遺産分割協議書が必要となります。一方、査定額が100万円以下の普通自動車や軽自動車であれば、遺産分割協議書は不要です。簡易的な遺産分割協議成立申立書の提出で対応することが可能です。 遺産分割協議書には、車検証を確認しながら「自動車登録番号」「車台番号」「車名・型式」を正確に記載しましょう。自動車のみを対象とした遺産分割協議書のひな形は、以下のとおりです。
自動車の相続手続きについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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遺産分割協議書の作成に法律上の期限はありませんが、相続開始から6ヶ月程度を目安に作成することをおすすめします。 理由は、相続税の申告期限が10ヶ月以内と定められているためです。この期限までに遺産分割が完了していないと、配偶者控除などの優遇措置を受けられず、結果として相続税が高額となるリスクがあります。 なお、協議書自体に有効期限はなく、何年経過しても利用できますが、相続手続きを進めるには相続人全員の有効な印鑑証明書が必要です。実印の変更や住所変更がある場合、住民票や除票など追加書類が求められることもあります。こうした手間を避けるためにも、協議書を作成したら速やかに相続手続きを行うことが重要です。
遺産分割協議書を作成する際には、下記の書類が必要になります。
遺産分割協議書の作成を、弁護士や行政書士などの専門家に依頼する場合には、大体5万~15万円程度の費用がかかります。そのため、自分で作成する方法や、より低額で作成してもらえる専門家を探す方法を検討する方が少なくありません。 しかし、なるべくトラブルを招かない遺産分割協議書を作成するためには幅広い知識が必要です。また、書類を作成することだけでなく、相続についての相談に一括して応じられる専門家として、最も相応しいのは弁護士だといえるでしょう。
遺産分割協議書を作成する際は、相続人全員が署名し、実印で押印することが必要です。一人でも署名や押印が欠けると協議書は無効となり、相続手続きが進められません。 認印で押印しても協議書自体は無効になりません。しかし、不動産の相続登記、預貯金や有価証券の名義変更、相続税の申告などの手続きでは、実印で押印した協議書と印鑑証明書の提出が求められるのが一般的です。本人確認を確実に行い、後々のトラブルを防ぐためです。 そのため、遺産分割協議書を作成する際は、最初から実印で押印し、印鑑証明書を添付することを強くおすすめします。こうすることで、相続手続きがスムーズに進み、余計な手間やリスクを避けることができます。
遺産分割協議書が複数ページになる場合は、ページ間に契印を押すことが望ましいです。
契印は法律上の義務ではありませんが、ページの抜き取りや差し替えによる改ざん防止に有効です。契印は相続人全員が実印で行い、印鑑証明書を添付すると信頼性が高まります。
ページ数が多い場合は、製本テープで袋とじにし、表紙と裏表紙の製本テープと用紙にまたがるように契印を押す方法がおすすめです。
また、遺産分割協議書を2部以上作成する場合には割印が必要です。割印は複数の書類が同一内容であることを証明するために押す印鑑で、書類を少しずらして重ね、印影がまたがるように押します。
遺産分割協議書は相続手続の際に提出を求められる場合が多いので、相続人の人数分作成し、各相続人が1通ずつ保管します。そうすることで、手続きが支障なく行えますし、後になって合意内容を覆すような主張をする相続人が出ることを防ぐ効果も期待できます。 さらに、遺産分割協議書には、相続人全員の印鑑証明書を添付して保管することになるため、作成した遺産分割協議書の部数だけ、相続人全員の印鑑証明書も必要になります。
遺産分割協議書には、生命保険金や死亡退職金を原則として記載する必要はありません。これらは民法上、相続財産ではなく、保険契約や会社規程に基づき受取人が直接取得する固有の財産とされるためです。生命保険金は指定された受取人が、死亡退職金は遺族が生活保障として受け取るため、遺産分割の対象外となります。 ただし、保険金の受取人が被相続人本人である場合や、退職金の受取人が定められていない場合には、相続財産として記載が必要です。また、税法上は生命保険金や死亡退職金が「みなし相続財産」として相続税の課税対象になるため、税務面での確認は欠かせません。
遺産分割協議書を作成した後に、新たな財産が見つかるケースは珍しくありません。この場合、原則として相続人全員で再度遺産分割協議を行い、新しい協議書を作成しなければなりません。しかし、再協議は手間や時間がかかり、税務上の修正申告や贈与税の問題が発生する可能性もあります。 こうした負担を避けるためには、遺産分割協議書に、後日判明した財産の取り扱いを明記しておくことが重要です。例えば、「記載されていない財産が見つかった場合は、法定相続分で分割する」や「後日判明した財産は特定の相続人が取得する」といった条項を加えておけば、再協議の必要がなくなります。
遺産分割協議書には法定の書式がなく、役所や法務局で用紙をもらうことはできません。自分で用紙を準備し、内容を作成する必要があります。 国税庁や法務局のホームページにはひな型や記載例が公開されており、無料でダウンロードできます。ただし、相続財産や分割方法は家庭ごとに異なるため、そのまま使うのではなく必要に応じて修正することが必要です。 遺産分割協議書の作成に不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
遺産分割協議書を無効にするためには、基本的には遺産分割協議に無効となる理由があったことが必要です。遺産分割協議が無効になる理由として、次のようなものが挙げられます。
遺産分割協議書は、将来的にトラブルになることを防ぐためにも、きちんと作成しておくことが大切です。しかし、作成する際には様々なポイントに注意する必要がありますし、それぞれの具体的な事情に応じて、作成する遺産分割協議書の内容を細かく変えていくことも重要です。 遺産分割協議書の作成でお困りの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。 相続問題に強い弁護士なら、遺産分割協議書が個別の事情に応じた適切な内容になっているか、しっかりと確認することができます。さらには、ご依頼者様に代わって遺産分割協議書を作成することも可能です。 後々大きなトラブルに発展してしまうことを回避するためにも、遺産分割協議書の作成で悩んだ場合は、まずは私たちにご相談ください。