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遺産分割協議と認知症

相続における認知症の問題は、相続人に認知症の人がいる場合と、亡くなった人(被相続人)が認知症だった場合で異なります。本記事では、相続において起こり得る認知症の問題を、双方の場合に分けて説明していきます。

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認知症とは

相続における認知症の問題について説明していく前に、まずは認知症とはそもそも何なのかを確認してみましょう。 認知症とは、ある病気によって引き起こされる、記憶障害・認知障害・判断能力の低下といった症状や、このような症状が発生している状態の総称をいいます。認知症という病気があるわけではありません。 物忘れと混同してしまわれがちですが、認知症の場合、日常生活に支障を来すほどの記憶障害であること、症状が徐々に進行していくこと、症状について自覚がないこと等、物忘れとは異なる特徴があります。 認知症を引き起こす病気によって様々な認知症の種類がありますが、最も多く発症されているのが、アルツハイマー型認知症です。次いで、レビー小体型認知症と血管性認知症が多く、これらは三大認知症といわれています。

相続人に認知症の人がいる場合

相続人に認知症の人がいる場合の問題点

では、相続人に認知症の人がいる場合、相続においてどのような問題が起こり得るのでしょうか。 相続が発生したら、法定相続分どおりに遺産分割を行う場合や、遺言どおりに遺産分割を行う場合等を除いては、遺産の分割方法について相続人間で話し合う、遺産分割協議を行うことになります。しかし、相続人に認知症の人がいる場合、遺産分割協議ができません。 また、相続することになった遺産によっては、実際に遺産を引き継ぐために名義変更等の相続手続が必要になります。この相続手続において、遺産分割協議書の提出を求められることが多いのですが、相続人に認知症の人がいる場合には、遺産分割協議書が無効とされるといったトラブルが生じることもあります。

認知症の相続人が遺産分割協議できない理由

遺産分割協議は、相続人全員が参加して行う必要があります。しかし、認知症の人は判断能力が不十分であり、法律行為を行うことができないとされているため、認知症である相続人は、遺産分割協議という法律行為を行うことができません。したがって、相続人に認知症の人がいる場合、遺産分割協議ができないという事態になってしまうのです。 ただし、認知症の程度によっては、認知症の相続人が遺産分割協議に参加し、協議ができる場合もあります。

相続人に認知症の人がいる場合に遺産分割協議する方法

相続人に認知症の人がいるものの、遺産分割協議したい場合には、法定後見制度を利用するという方法があります。 法定後見制度とは、成年後見制度の一つです。成年後見制度は、認知症や精神障害等により判断能力が不十分な人が不利益を被らないように、保護・支援してくれる人をつけるという制度です。 すでに本人の判断能力が不十分である場合、本人や親族等が家庭裁判所に申し立てることで、保護・支援してくれる人を選任してもらうのが、法定後見制度です。 一方、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、本人があらかじめ保護・支援してくれる人として希望する人(任意後見人)と任意後見契約を結ぶという任意後見制度もあります。成年後見制度には、このような2つの種類があります。 さらに、法定後見制度は、判断能力の程度によって、「後見・保佐・補助」の3つの制度に分けられます。

後見制度を利用する場合

法定後見制度のうち、後見制度は、判断能力を常に欠く状況にある者(成年被後見人)が対象となります。相続人が重度の認知症である場合には、後見制度を利用し、代理人として成年後見人を選任してもらいます。重度の認知症の具体例としては、下記のような症状が挙げられます。

  • ・家族の顔がわからなくなる
  • ・表情が乏しくなる
  • ・歩行や食事といった日常生活の動作ができなくなる
  • ・歩行ができないこと等により、寝たきりになる
  • ・失禁することが多くなる

成年後見人の権限

成年後見人には、成年被後見人の財産に関する法律行為について、包括的な代理権が認められています。したがって、遺産分割協議を行う場合、成年後見人が相続人である成年被後見人に代わって協議に参加することになります。 ただし、成年被後見人が居住する建物または敷地については、売却・賃貸等の処分をする際に、家庭裁判所の許可を得なければなりません。なお、代理権を行使できるのは財産に関する法律行為ですので、婚姻・離婚等の身分行為については、代理権を行使することはできません。 その他、成年後見人には、成年被後見人が単独で行った法律行為を取り消すことができる、取消権も認められています。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、取消権を行使することはできません。

保佐制度を利用する場合

保佐制度は、判断能力が著しく不十分である者(被保佐人)が対象となります。相続人が中度の認知症である場合には、保佐制度を利用し、代理人として保佐人を選任してもらいます。中度の認知症の具体例としては、下記のような症状が挙げられます。

  • ・時間や場所がわからなくなる
  • ・他人の言うことを理解しにくくなる
  • ・買い物ができなくなる
  • ・道に迷って自宅へ帰れなくなる

保佐人の権限

保佐人には、被保佐人が行った特定の法律行為について、同意を与えることで有効とする、同意権が認められています。また、同意権と併せて、同意を与えていない特定の法律行為を取り消すことができる、取消権も認められています。 保佐人の同意を必要とする特定の法律行為は、民法13条1項で定められており、そのうちの一つに「相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること」が記載されています。したがって、遺産分割協議を行う場合、相続人である被保佐人本人が協議に参加し、保佐人が同意を与えることで有効になります。 ただし、被保佐人の同意を得たうえで、家庭裁判所に対して代理権付与の申立てを行い、受理された場合、申立ての範囲内の行為については代理権を行使することができます。そのため、遺産分割協議への参加について、代理権付与が認められれば、保佐人が被保佐人に代わって協議に参加することになります。

補助制度を利用する場合

補助制度は、判断能力が不十分である者(被補助人)が対象となります。相続人が軽度の認知症である場合には、補助制度を利用し、代理人として補助人を選任してもらいます。軽度の認知症の具体例としては、下記のような症状が挙げられます。

  • ・同じことを何度も聞いたり、話したりする
  • ・同じ物を何度も購入する
  • ・段取りが悪くなる
  • ・直前の出来事を忘れる
  • ・物事へのやる気や関心が低くなる

補助人の権限

成年後見人や保佐人と異なり、補助人は、代理権や同意権、取消権といった権限が当然に認められているわけではありません。個別の状況に応じて、必要な権限について、被補助人の同意を得たうえで、家庭裁判所に権限付与の申立てを行っていくことになります。そして、受理された後、申立ての範囲内の行為についてのみ、代理権や同意権、取消権を行使することができます。 原則として被補助人が単独で遺産分割を行うことができるため、遺産分割協議を行う場合、相続人である被補助人本人が参加することになります。ただし、家庭裁判所から補助人に付与された権限によっては、補助人が代理人として協議に参加したり、補助人の同意が必要になることがあります。

成年後見人・保佐人・補助人になれるのは誰か

成年後見人・保佐人・補助人(※以下、「成年後見人等」といいます。)は、家庭裁判所の判断によって選任されます。後見・保佐・補助の申立てを行った際に、申立人は候補者を申立書に記入することができますが、必ずしもそのなかから選ばれるわけではなく、候補者を考慮したうえで、個別の事情に応じて家庭裁判所が判断します。 また、成年後見人等になるために特別な資格は必要ありません。そのため、法人も成年後見人等になることができ、複数名が選任されることもあります。一般的には保護・支援を受ける本人(成年被後見人・被保佐人・被補助人)の親族が選任されることが多く、裁判所の判断によっては、弁護士・司法書士・行政書士・社会福祉士といった専門家が選任されることもあります。 ただし、一定の欠格事由に該当する者は、成年後見人等になることはできません。一定の欠格事由としては、下記のような事項が挙げられます。

  • ・未成年者
  • ・過去に成年後見人を含めた法定代理人・保佐人・補助人を解任されたことがある者
  • ・破産者
  • ・本人に対して訴訟を起こした者や、その者の配偶者・直系血族
  • ・行方不明者

後見・保佐・補助の申立てに必要な書類

後見・保佐・補助の申立ては、保護・支援を受ける本人の実際の居住地を管轄する家庭裁判所に対して行うことになります。その際、下記のような書類の提出が必要になります。

  • ・申立書
  • ・本人の戸籍謄本
  • ・本人の住民票、または戸籍の附票
  • ・家庭裁判所所定の診断書 (本人が、成年被後見人・被保佐人・被補助人、または任意後見契約の当人になっていないことを証明するもの。)
  • ・登記されていないことの証明書 (※医師に作成してもらう)
  • ・不動産の登記簿や残高証明書といった、本人の財産に関する資料
  • ・成年後見人等の候補者の住民票、または戸籍の附票
  • ・申立人の戸籍謄本 (※申立人が本人以外である場合)

その他、財産目録や収支予定表、親族関係図といった書類の提出を求められることもありますので、申立先の各裁判所に事前に確認しておきましょう。

後見・保佐・補助の申立てには、どのくらいの費用がかかる?

後見・保佐・補助の申立ての際には、手数料としての収入印紙代と、登記費用としての2600円分の収入印紙が必要です。手数料としての収入印紙代は、申立ての内容によって異なり、800円~2400円程度かかります。 また、連絡用としての郵便切手代も必要になりますが、裁判所によって異なりますので、申立先の各裁判所に事前にご確認ください。 その他、保護・支援を受ける本人の精神鑑定を行う場合には、鑑定費用も必要になります。なお、鑑定費用の金額は、個別の事情によります。 申立てを弁護士や司法書士等の専門家に依頼した場合は、別途専門家への報酬や手数料等が必要となります。

法定後見制度の注意点

法定後見制度を利用する際には、注意点があります。 まず、「報酬を支払わなければならない場合がある」ということです。 成年後見人等に専門家が選任された場合、保護・支援を受ける本人の財産から報酬を支払う必要があります。特に相続においては、相続人となっている親族が成年後見人等になると、本人と利益が相反してしまうため、専門家が選任される可能性が高いでしょう。報酬の金額は、本人の財産の状況や成年後見人等が行った行為といった個別の状況に応じて、家庭裁判所が判断しますが、基本的には月2~5万円程度かかります。 なお、相続手続が完了したら、成年後見人等の職務が終了するわけではありません。本人の死亡、本人の判断能力の回復、欠格事由により成年後見人等が解任されたといった事情がない限り、成年後見人等の職務は続きます。そして、職務が終了するまで、報酬を支払い続ける必要があります。 次に、「選任されるまでに時間がかかる」ということも注意点として挙げられます。通常、後見・保佐・補助の申立てを行ってから、成年後見人等が選任されるまでには、1~2ヶ月程度かかることが一般的です。また、個別の状況によっては、家庭裁判所が判断を下すまでに時間を要し、半年程度かかる場合もあります。成年後見人等が選任されるまでは、遺産分割を進めることはできないため、注意が必要になります。

法定相続分どおり、または遺言に従う場合、成年後見人等は不要

相続人に認知症の人がいる場合には、成年後見制度を利用するという方法があり、そのうちの法定後見制度(後見・保佐・補助制度)に特化してこれまで説明してきました。 しかし、相続人に認知症の人がいる場合には、必ずしも成年後見人等を選任しなければならないというわけではありません。そもそも遺産分割協議が必要なければ、成年後見人等も必要ありません。したがって、法定相続分または遺言どおりに遺産分割を行う場合等、遺産分割協議が必要ないケースでは、相続人に認知症の人がいたとしても、成年後見人等の選任は必要ないということになります。

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亡くなった人が認知症だった場合

相続人に認知症の人がいる場合については、以上のとおりです。 続いて、亡くなった人が認知症だった場合、相続においてどのような問題が起こり得るのかを確認してみましょう。

遺言書がない場合

遺言書がない場合には、亡くなった人が認知症だったからといって、相続において特に問題が起こることは少ないでしょう。法定相続分どおりに遺産分割を行うか、遺産分割協議を行うことになります。 遺産分割協議の流れ等については、下記の記事で詳しく説明していますので、ご覧ください。

遺産分割協議について

遺言書がある場合、効力が問題になる

一方、遺言書がある場合には、認知症の人が作成した遺言書の効力が問題になることがあります。認知症の人に、遺言の内容・遺言の結果としてもたらされる法的効力を理解し、判断する能力(遺言能力)があるかどうかが争われるためです。 しかし、判例上、遺言能力の有無は、遺言者の認知症の程度や遺言の内容等によって判断されています。したがって、亡くなった人(遺言者)が認知症だったからといって、必ずしも遺言能力がないと判断され、作成した遺言書が無効になるわけではありません。 遺言書の効力については、下記の記事で詳しく説明していますので、ご覧ください。

遺言書の効力について

遺言書の有効・無効はどう決まる?

認知症の人が作成した遺言書が有効であるか無効であるかは、遺言能力の有無によって判断されます。遺言能力の有無の判断は、個別の事情によって異なりますが、判例上、主に下記のような点が総合的に考慮されています。

  • ・遺言者の認知症の程度
  • ・遺言の内容 (遺言の内容が相当に簡単なものであるか、複雑なものであるか)
  • ・遺言書作成時における遺言者の状態
  • ・遺言書を作成した動機や、作成するまでの経緯

遺言書の効力を争う場合には、遺言無効確認請求を行う

遺言書が有効であるか無効であるか、遺言書の効力について争いが生じた場合には、「遺言無効確認請求」という民事訴訟を行い、裁判所に判断を下してもらうことになります。遺言書の効力については、遺産分割調停や遺産分割審判では基本的に取り扱ってもらえないため、遺産分割をする前に別途民事訴訟を行う必要があります。 訴訟の結果、遺言書が無効であると判断された場合には、遺言書はなかったことになるため、遺産分割協議を行うことになります。 遺産分割協議の流れ等については、下記の記事で詳しく説明していますので、ご覧ください。

遺産分割協議について

認知症が絡む相続の問題は弁護士にご相談ください

相続人に認知症の人がいる場合と、亡くなった人が認知症だった場合で、それぞれ相続においてどのような問題が起こり得るのか、ご理解いただけたでしょうか。 相続人に認知症の人がいる場合、成年後見人等を選任するかどうかは、報酬や手続の複雑さ、個別の事情等を考慮したうえで、判断していくことになります。しかし、ご自身の状況によっては、判断が難しいこともあるでしょう。 一方、亡くなった人が認知症だった場合、遺言書の効力が問題になることがあり、相続人間で争いが生じたら訴訟に至ってしまうこともあります。訴訟には法的知識を要し、個別の事情に応じて、適切にご自身の主張を行っていくことが重要になります。 弁護士に相談・依頼することで、個別の状況に応じた適切なアドバイスを受けることができ、手続や訴訟を代わりに行ってもらうこともできます。相続における認知症の問題でお困りの際には、まず弁護士にご相談ください。