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監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員
相続登記とは、亡くなった方が所有していた土地や家屋等の不動産の名義を、その不動産を相続した人に移転する手続きです。 相続登記の手続きは、不動産を相続した人が自分で行うこともできますが、書類の収集や作成の手間がかかり、ミスをすると修正するための負担が生じることから、専門家に依頼することをお勧めします。
相続登記には、主に以下の3つのパターンがあります。
上記のどのパターンであるかによって、相続登記に必要な書類は異なります。 この記事では、各パターンの相続登記において必要な書類を解説します。 なお、相続登記について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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必要書類 | 内容 | 取得場所 |
---|---|---|
所有権移転登記申請書 | 相続登記の申請をするための書類です。遺産分割の方法によって、記載する内容が異なります。 | 法務局 |
対象不動産の固定資産評価証明書 | 登録免許税の算出のために必要な書類です。相続登記の申請を行う年度のものである必要があります。 | 不動産がある市区町村役場または市税事務所 |
対象不動産の登記事項証明書 | 土地の面積や所有者等を証明する書類です。 | 法務局 |
不動産取得者の戸籍謄本 | 不動産の相続人が生きていることを証明する書類です。そのため、被相続人の死後のものが必要です。 | 本籍地の市区町村役場(コンビニ) |
不動産取得者の住民票 | 不動産を取得する方の住所を証明するために必要な書類です。被相続人が死亡した日以降に発行されたものでなければなりません。 | 市区町村役場(コンビニ) |
被相続人の出生から死亡までの戸籍除籍謄本 | 被相続人の家族関係を証明し、相続人を明らかにするための書類です。 | 出生から死亡までの居住地の市区町村役場 |
被相続人の住民票の除票 | 登記簿上の名義人と被相続人が同一人物であることを証明するための書類です。 | 被相続人が最後に住んでいた地の市区町村役場 |
遺産分割協議によって相続を行う場合には、遺産分割協議書が必要です。また、遺産分割協議書には、法定相続人全員の捺印が必要で、捺印した全員の印鑑証明書の提出も求められます。 遺産分割協議について詳しく知りたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。
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必要書類 | 内容 | 取得場所 |
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遺産分割協議書 | 協議した結果を書面にしたものです。相続人全員で協議して不動産を相続する人を決めたことを証明するため、相続人全員が自書で署名し、実印を押します。 | - |
相続人全員の印鑑証明書 | 遺産分割協議書の内容を証明するため必要です。 | 各相続人の住民票のある市区町村役場(コンビニ) |
相続人全員の戸籍謄本 | 相続人が相続発生時に生存していることを証明するための書類です。 | 各相続人の本籍地の市区町村役場(コンビニ) |
なお、各相続人の印鑑証明書に記載されている住所と遺産分割協議書に記載した住所が異なる場合には、改めて現住所を管轄する市区町村で印鑑登録証明書を申請し直す必要があります。 遺産分割協議書の作成方法等について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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法定相続分による相続を行う際に、特別な書類が必要となるわけではありません。ただし、法定相続人であれば、そのうちの1人だけでも登記申請が可能であるという特徴があります。 法定相続人の1人が単独で登記申請をした場合、相続した不動産を売却するとき等に用いる「登記識別情報(パスワードのようなもの)」を受け取れるのは申請人だけです。そのため、申請人以外の相続人は、次回以降の登記の際に、土地の所有者であることを証明するための書類を作成する必要が生じるため、なるべく相続人全員で登記申請するべきでしょう。 法定相続人、法定相続分について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
必要書類 | 内容 | 取得場所 |
---|---|---|
被相続人の出生から死亡までの戸籍除籍謄本 | 被相続人の家族関係を証明し、相続人を明らかにするための書類です。 | 出生から死亡までの居住地の市区町村役場 |
被相続人の住民票の除票 | 登記簿上の名義人と被相続人が同一人物であることを証明するための書類です。 | 被相続人が最後に住んでいた地の市区町村役場 |
不動産取得者の住民票 | 不動産を取得する方の住所を証明するために必要な書類です。被相続人が死亡した日以降に発行されたものでなければなりません。 | 市区町村役場(コンビニ) |
対象不動産の固定資産評価証明書 | 登録免許税の算出のために必要な書類です。相続登記の申請を行う年度のものである必要があります。 | 不動産がある市区町村役場または市税事務所 |
遺言書の内容に基づいて登記を行う場合には、その遺言書の内容が「法定相続人に不動産を相続させる」というものであれば相続登記が可能です。 ただし、遺言書の内容が「法定相続人でない者に不動産を遺贈する」というものであれば、相続登記ではなく、遺贈登記が必要になります。なお、遺贈とは、遺言によって財産を誰かに送る行為のことです。 遺言書について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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必要書類 | 内容 | 取得場所 |
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遺言書 | 被相続人の遺言内容を証明するために必要な書類です。自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合は検認済みであることが必要です。 | 遺言者自らが作成するか、公証役場で作成してもらう |
被相続人の死亡時の戸籍除籍謄本 | 相続が発生したことを証明するために必要な書類です。 | 死亡時の居住地の市区町村役場 |
被相続人の住民票の除票 | 登記簿上の名義人と被相続人が同一人物であることを証明するための書類です。 | 被相続人が最後に住んでいた地の市区町村役場 |
不動産取得者の戸籍謄本 | 相続人が相続発生時に生存していることを証明するための書類なので、被相続人が死亡した日以降に発行されたものであることが必要です。 | 相続人の本籍地の市区町村役場(コンビニ) |
不動産取得者の住民票 | 不動産を取得する方の住所を証明するために必要な書類です。被相続人が死亡した日以降に発行されたものでなければなりません。 | 市区町村役場(コンビニ) |
なお、遺言書によって相続人ではない第三者に不動産を遺贈する場合には、必要な書類が異なります。 第三者への遺贈の場合について、次項で解説します。
相続人ではない第三者に遺贈する場合、遺言執行者がいるか否かで必要書類が変わります。 遺言執行者がいる場合といない場合について、必要書類はそれぞれ以下のとおりです。 なお、遺贈登記は、受遺者と遺言執行者又は相続人全員で共同申請する必要があります。
必要書類 | 内容 | 取得場所 |
---|---|---|
遺言書 | 被相続人の遺言内容を証明するために必要な書類です。自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合は検認済みであることが必要です。 | 遺言者自らが作成するか、公証役場で作成してもらう |
遺言者の除籍謄本 | 遺言者が死亡したことを証明するために必要な書類です。 | 死亡時の居住地の市区町村役場 |
遺言者の住民票の除票 | 遺言者の死亡時の住所を証明するために必要な書類です。 | 死亡時の居住地の市区町村役場 |
当該不動産の登記済証もしくは登記識別情報 | 登記義務者(不動産を失う者)の同意があることを証明するために必要な情報です。 | 遺言者が所有権を取得した際に発行される |
対象不動産の固定資産評価証明書 | 登録免許税の算出のために必要な書類です。相続登記の申請を行う年度のものである必要があります。 | 不動産がある市区町村役場または市税事務所 |
受遺者の住民票 | 受遺者の住所を証明するために必要な書類です。 | 市区町村役場(コンビニ) |
受遺者の身分証明書の写し | 受遺者が本人であることを証明するための書類です。運転免許証等を用います。 | 自身でコピーをとる |
遺言執行者の印鑑証明書 | 発行されてから3ヶ月以内のものを用います。 | 市区町村役場(コンビニ) |
遺言執行者選任の審判書 | 家庭裁判所が遺言執行者を選任した場合にのみ必要になります。 | 家庭裁判所 |
必要書類 | 内容 | 取得場所 |
---|---|---|
遺言書 | 被相続人の遺言内容を証明するために必要な書類です。自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合は検認済みであることが必要です。 | 遺言者自らが作成するか、公証役場で作成してもらう |
遺言者の除籍謄本 | 遺言者が死亡したことを証明するために必要な書類です。 | 死亡時の居住地の市区町村役場 |
遺言者の住民票の除票 | 遺言者の死亡時の住所を証明するために必要な書類です。 | 死亡時の居住地の市区町村役場 |
当該不動産の登記済証もしくは登記識別情報 | 登記義務者(不動産を失う者)の同意があることを証明するために必要な情報です。 | 遺言者が所有権を取得した際に発行される |
対象不動産の固定資産評価証明書 | 登録免許税の算出のために必要な書類です。相続登記の申請を行う年度のものである必要があります。 | 不動産がある市区町村役場または市税事務所 |
相続人全員の戸籍謄本 | 相続人全員が登記義務者になるため必要です。 | 各相続人の本籍地の市区町村役場(コンビニ) |
相続人全員の印鑑証明書 | 発行されてから3ヶ月以内のものを用います。 | 市区町村役場(コンビニ) |
受遺者の住民票 | 受遺者の住所を証明するために必要な書類です。 | 市区町村役場(コンビニ) |
受遺者の身分証明書の写し | 受遺者が本人であることを証明するための書類です。運転免許証等を用います。 | 自身でコピーをとる |
相続人の中に相続放棄をした人がいる場合、相続登記を行う際に「相続放棄申述受理証明書」が必要になります。この書面は、家庭裁判所で発行してもらうことができ、相続放棄をした本人はもちろん、他の相続人でも発行してもらえます。
代理人に相続登記手続きを依頼する場合には、委任状が必要となります。委任状には、誰に、どの不動産の相続登記を委任するのかを明記してください。 曖昧な内容の委任状を作成すると、悪用されてしまうリスクがあるので注意しましょう。
相続登記を行わないまま放置してしまった等の理由により、何世代も相続登記を行っていない場合であっても、相続登記に必要な書類の種類に違いはありません。ただし、戸籍謄本や住民票等を取得しなければならない人数が増えてしまいます。 また、数次相続は死亡の前後などを確認する手間がかかり、状況によっては代襲相続(子が先に死亡し、孫が相続人になる等)が発生することも考えられます。 これらの理由から、手続が複雑になってミスを犯しやすくなるため、数次相続が発生したら専門家に相談するのが望ましいと言えます。
相続登記の必要書類は、その多くについて有効期限がありません。そのため、たとえ古い書類であっても有効に用いることが可能です。 ただし、不動産の相続人の戸籍謄本は、被相続人が死亡した後のものでなければなりません。なぜなら、被相続人が死亡した後に生きていた者でなければ、不動産を相続することができないからです。 また、不動産の価額を証明するための書類である「固定資産評価証明書」は最新の年度のものが必要です。なぜなら、登記の際に支払う「登録免許税」という税金を徴収するために、最新の価額を用いるからです。
「法定相続情報一覧図」とは、亡くなった方と相続人の情報を1枚の紙にまとめ、相続関係を法務局に証明してもらうための書面です。この、「法定相続情報一覧図」を法務局で作成してもらえる制度のことを「法定相続情報証明制度」といい、2017年5月29日から開始されています。 「法定相続情報証明制度」が開始する前は、相続手続きのために必要な相続関係を証明する書類はかなりの枚数になることがあったため、手続きに時間がかかることが少なくありませんでした。しかし、「法定相続情報一覧図」を用いることにより、提出書類が少なくなることから、手続きの時間も短縮されるようになっています。 「法定相続情報一覧図」を発行してもらうときに、手数料はかかりません。提出書類は以下のものです。
相続登記のために提出した書類の多くは、原本還付を受けることができます。 原本還付が受けられる書類として、戸籍謄本や住民票、印鑑証明書等が挙げられます。これらの書類は、亡くなった方が複数の土地や口座を所有していた場合には、多数の法務局や金融機関等に提出する必要があるため、還付を受けることで手数料や手間がかからずに済みます。 また、遺言書や遺産分割協議書も還付を受けられるため、原本を失わずに済みます。ただし、原本還付を受けられるのは相続登記が終わった後ですので、遺言書等については、念のためコピーを手元に置いておくなどすると良いでしょう。 原本を還付してもらうためには、還付してほしい書類をコピーして、余白部分に「原本と相違ありません」と記載し、署名捺印して原本と共に提出します。
相続登記を行う際には、ぜひ弁護士にご相談ください。相続登記は、パターンによって必要書類が異なる等、慣れない方にとってはミスをしやすい手続きです。また、平日の日中に登記所に行ける人でなければ負担が大きいでしょう。 特に、相続人が多い場合や相続人の仲が悪い場合、被相続人が繰り返し転居している場合、相続登記を行わないまま長年に渡って放置していた場合等、専門家に任せた方が良い状況が考えられます。相続登記が負担だと感じた方は、まずはお電話をいただければ幸いです。