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相続放棄の手続きについて解説!

相続というと、親から財産を譲り受けることのできる制度だと思われている方が多いと思います。確かにそのとおりなのですが、譲り受ける財産には預貯金や株式といった積極財産(プラスの財産)だけでなく、借金等の負債といった消極財産(マイナスの財産)も含まれます。 このようなマイナスの財産を相続したくない場合には、「相続放棄」の手続きをとることができます。 本記事では、相続放棄とその手続き方法等について詳しく説明します。相続の際にぜひお役立てください。

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相続放棄の手続きを自分でする場合と弁護士代行でする場合

弁護士に依頼した場合/司法書士に依頼した場合 弁護士に依頼した場合 司法書士に依頼した場合

相続放棄の手続きは、ご自身で行うこともできます。しかし、煩雑な処理をご自身だけで行うのは大変ですから、弁護士に依頼することをおすすめします。

【手続き開始】 相続放棄に必要な書類と費用を用意する

相続放棄をするためには、書類や費用等、用意しなければならないものがいくつかあります。 以下、相続放棄の手続きに必要なものを説明します。

➀相続放棄申述書

相続放棄をするためには、被相続人(=亡くなった方)の遺産を相続したくない相続人が相続の権利を放棄する手続きのために、家庭裁判所に提出する書類である「相続放棄申述書」が必要です。 相続放棄申述書には、以下のような項目を記載します。

  • ・申述書を提出する裁判所と申述人の名前
  • ・申述の趣旨 相続の放棄をすると記載します
  • ・相続の開始を知った日 通常は被相続人の亡くなった日ですが、異なる場合には、相続の開始を知った日を記載してください
  • ・相続放棄をする理由該当する項目にチェックマークを入れます該当する理由がない場合には、「その他」にチェックマークを入れ、理由を記載します(例:他の相続人が相続財産を譲り受けるため)
  • ・相続財産の概略被相続人が亡くなった時点で有していた財産について、プラスの財産かマイナスの財産かを問わず記載します

➁被相続人の住民票の除票または戸籍の附票

相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。そこで、被相続人の最後の住所地を証明するため、被相続人の住民票の除票または戸籍の附票が必要です。 住民票の除票とは、死亡等により削除された住民票のことで、死亡年月日が記載されており、被相続人が住民登録をしていた市区町村役場へ申請することで取得可能です。 また、戸籍の附票とは、その戸籍が作成されてから(またはその戸籍に入籍してから)除籍されるまでの住所が記載されている書類で、本籍地の登録がある市区町村役場へ申請することで取得可能です。

➂申述人本人の戸籍謄本

申述人の身分と、被相続人と申述人との相続関係を証明するために、戸籍に記載されている人の身分を証明する書類である戸籍謄本が必要です。戸籍謄本は、本籍地の登録がある市区町村役場へ申請することで取得可能です。

④被相続人の戸籍謄本

亡くなった方を家庭裁判所に示し、申述人との相続関係を証明するために、被相続人が亡くなったという記載のある戸籍謄本が必要です。戸籍謄本は、被相続人の本籍地の登録がある市区町村役場へ申請することで取得可能です。 なお、結婚や養子縁組等によって転籍(違う戸籍に移ること)しているために、出生時から死亡時までの複数の戸籍が必要なことがあります。親や子が申述人である場合には現在の戸籍のみで問題ありませんが、代襲相続者や兄弟姉妹が申述人の場合には被相続人の現在の戸籍のみでは相続関係を証明できないため、被相続人の転籍前の複数の戸籍謄本や、相続に関係する方の戸籍謄本が必要になります。 どのような戸籍謄本が必要になるのか、被相続人と申述人との相続関係別にリストアップしました。

申述人が被相続人の配偶者の場合

申述人が被相続人の配偶者の場合 申述人が被相続人の配偶者の場合
  • ・被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

申述人が被相続人の子の場合

申述人が被相続人の子の場合 申述人が被相続人の子の場合
  • ・被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

申述人が被相続人の孫(代襲者)の場合

申述人が被相続人の孫(代襲者)の場合 申述人が被相続人の孫(代襲者)の場合
  • ・被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • ・被代襲者(子)の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

なお、代襲相続については以下の記事をご覧ください。

代襲相続について

申述人が被相続人の両親や祖父母(直系尊属)の場合

申述人が被相続人の両親や祖父母(直系尊属)の場合 申述人が被相続人の両親や祖父母(直系尊属)の場合
  • ・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • ・被相続人の子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

被相続人の祖父母が相続する場合は、これに加えて、

  • ・被相続人の親の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

が必要になります。

申述人が被相続人の兄弟姉妹や甥姪の場合

申述人が被相続人の兄弟姉妹や甥姪の場合 申述人が被相続人の兄弟姉妹や甥姪の場合
  • ・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • ・被相続人の子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • ・被相続人の直系尊属の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

甥姪が代襲相続する場合は、これに加えて、

  • ・被相続人の兄弟姉妹の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

が必要になります。

➃収入印紙800円分と郵便切手

相続放棄の申立てには、申述人一人当たり800円の手数料が必要になります。この手数料は、収入印紙で支払います。 また、申立てをすると、相続放棄照会書及び回答書や相続放棄申述受理書といった書類が家庭裁判所から送られてくるため、その郵送費用として郵便切手が必要になります。目安としては1000円程度ですが、申述先の家庭裁判所によって必要となる郵便切手の額が異なるため、確認が必要です。 このように、相続放棄には800円分の収入印紙と郵送費用相当額の郵便切手が必要です。

家庭裁判所に必要書類を提出する

すべての必要書類が揃ったら、管轄の家庭裁判所に提出し、相続放棄の申立てを行います。 管轄とは、特定の事件についてどの裁判所が担当するかという分担の定めのことです。相続放棄の場合の管轄裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所となります。 相続放棄の申立てには、実際に管轄の家庭裁判所に出向いて必要書類を提出する方法と、郵送で提出する方法の2種類があります。

家庭裁判所から届く「照会書」を記入、返送する

申述書を送ってしばらくすると、申立てをした家庭裁判所から、相続放棄の申述をした事情に関する質問が記載された相続放棄照会書と、回答を記載するための回答書が送られてきます。 相続放棄照会書には、主に次のような質問が記載されています。

  • ・相続放棄をするのは真意に基づくか
  • ・相続の開始を知ったのはいつか
  • ・相続財産の存在を知ったのはいつか
  • ・すでに相続した財産はあるか
  • ・相続放棄をする理由は何か
  • ・被相続人との関係について
  • ・相続放棄をすることの意味や、相続放棄により権利がなくなることを知っているか
  • ・(被相続人が亡くなってから3ヶ月以上経過している場合)3ヶ月以内に相続放棄の手続きができなかった理由は何か

相続放棄照会書の郵送は省略されたり、逆に家庭裁判所での面談を要求されたりすることもあり、運用は家庭裁判所により異なるといえます。 なお、すでに一部の財産を相続している、または相続の開始を知った日から3ヶ月以上経過してから相続放棄をしようとしている場合には、その理由や背景についてきちんと説明しないと認められないおそれがあるため注意が必要です。

【手続き終了】 「相続放棄申述受理通知書」が届く

回答書を送った後10日前後で、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。 相続放棄申述受理通知書は、「相続放棄の申立てが受理されたこと」、つまり相続放棄が認められたことを意味します。 なお、相続放棄申述受理通知書は、再発行することはできません。しかし、仮に相続放棄申述受理通知書を紛失してしまった場合でも、「相続放棄申述受理証明書」という相続放棄を証明する証明書の発行が可能ですので、問題ありません。

相続放棄後、「相続放棄申述受理証明書」が必要になる場合もある

相続放棄申述受理証明書は、説明したとおり、相続放棄をしたことを証明するための書類で、何度でも発行が可能です。また、相続放棄申述受理証明書は、第三者に対して相続放棄をしたことを証明してくれます。相続放棄申述受理証明申請書等の必要書類と150円の収入印紙を、相続放棄を申し立てた家庭裁判所に提出することで申請できます。  相続放棄申述受理証明書が必要になる場合としては、次のようなものがあります。

  • ・不動産の相続登記(名義変更)
  • ・金融機関等、債権者が支払いを請求してきたとき
  • ・相続時の銀行預金解約

相続放棄のすべての手続きを代行できるのは弁護士だけ

相続放棄をするためには、相続財産の調査や戸籍等必要書類の収集等をしなければならないため、時間や手間がかかります。また、書類の不備等で相続放棄が認められないこともあります。相続放棄の申立ては一度しかできないため、確実に相続放棄するためにも、専門家に依頼するべきでしょう。 相続放棄を依頼する場合、弁護士に依頼すべきか、司法書士に依頼すべきか迷われるかもしれません。 しかし、相続放棄のすべての手続きを代行できるのは弁護士だけですから、弁護士に依頼すべきでしょう。 なぜ弁護士ならすべての手続きを代行できるのかというと、弁護士には完全な代理権があるからです。これに対し、通常、司法書士には書類作成の代理権しかありません。したがって、司法書士に依頼した場合、書類作成はしてくれるものの、すべての書類に相続放棄を希望する相続人本人の署名・押印が必要になり、申述手続きも相続人本人が申し立てたものとして扱われます。そのため、相続人本人の住所に送られてきた相続放棄の意思を確認する相続放棄照会書や回答書にも、署名・押印が必要になります。このように、司法書士には相続放棄のすべての手続きを任せることはできないのです。

相続放棄の手続きを弁護士に依頼した場合

司法書士には、相続放棄のすべての手続きを任せることはできません。 一方、弁護士には完全な代理権があるため、すべての手続きを任せることができます。 相続放棄を弁護士に依頼した場合の相続人の手間は、最初に委任状を書くことだけです。その後の相続放棄の申述手続きは弁護士名で行われますから、司法書士の場合とは異なり、相続人が書類に署名・押印する必要はありません。そして、相続放棄照会書及び回答書は相続放棄の意思を本人に確認するための書類であるため、相続人本人の住所に送られてくるものの、弁護士が回答書の代筆を行うことが可能なので、相続人本人の労力を要しません。 したがって、相続放棄を依頼する場合には、すべての手続きを代行してくれる弁護士に依頼するべきでしょう。

相続税にも強い弁護士が豊富な経験と実績であなたをフルサポート致します

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相続放棄手続きにかかる日数

通常、裁判所に必要書類をすべてまとめて提出するまで1~2週間程度、その後、照会書や面談で相続放棄の意思を確認されるまで10日程度、さらに資料提出から郵送で相続放棄申述受理通知書が届くまで10日程度かかることが多いです。おおむね1ヶ月程度で手続きは完了するでしょう。

相続放棄の手続きの期限は「3ヶ月」

相続放棄は、「自己のために相続の開始があったこと(自分が相続人になったこと)を知った時から3ヶ月以内」にしなければ、被相続人の遺産を無条件に相続する「単純承認」をしたものとみなされてしまいます。この3ヶ月間を、熟慮期間といいます。 単純承認をしたものとみなされた後は、原則として相続放棄はできないため注意が必要です。

3ヶ月の期限を過ぎそうな場合は

相続財産の調査に時間がかかり、相続放棄をすべきかどうか判断するに足る資料を入手できていない場合等には、家庭裁判所に「相続の承認または放棄の期間の伸長の申立て」をすることができます。家庭裁判所が認めた場合に限り、1~3ヶ月程度期限が延長されます。

3ヶ月の期限を過ぎてしまったら

3ヶ月の熟慮期間内に相続放棄しなかった場合、単純承認(無条件に被相続人の遺産を譲り受けること)したものとみなされ、相続放棄をすることはできなくなると説明しました。 しかし、相続する遺産(借金等)がないと信じ込んでいて、かつ信じてしまったことについて合理的な理由があると裁判所が判断した場合には、例外的に時効の起算点がずれ、相続放棄の期間が延長されます。 また、通常は「自己のために相続の開始があったことを知った時」=「被相続人が亡くなった日」とされますが、被相続人と疎遠で亡くなったことを知らなかった場合等にも、例外的に時効の起算点がずれ、相続放棄の期間が延長されるケースがあります。

相続放棄の申立ては一度限り

相続放棄の申立てが家庭裁判所で却下された場合には、高等裁判所へ抗告を申し立てることができますが、高等裁判所でも却下されると、申請却下が確定し、再度相続放棄の申立てを行うことはできません。つまり、相続放棄の申立ては一度限りで、やり直すことはできません。 ですから、専門家に相談することなくご自身で手続きを行い失敗してしまう前に、相続財産の調査、必要書類の収集といった初期の手続きから、専門家である弁護士に一括して代行を依頼することをおすすめします。 弁護士に依頼することで、時間のかかる必要書類の収集といった煩雑な手続きをすることなく、的確に相続放棄をすることができるでしょう。

相続放棄は相続人全員でした方がいい理由

相続人には順位があり、同順位の相続人全員が相続放棄をすると、後順位の相続人に相続人の資格が移動します。相続人の順位は、①子→②直系尊属(親等)→③兄弟姉妹の順に下がります(なお、配偶者は必ず相続人になるため順位はありません)。マイナスの財産が多い場合、相続放棄をすれば、自分は相続人ではなくなり借金の負担を免れますが、相続人ではなかった後順位の人が借金の負担を被ることになってしまいます。 また、一人が相続放棄をすると、放棄された一人分の相続財産は他の相続人の相続財産となるため、一人分の取り分が増えます。プラスの財産が多い場合はともかく、マイナスの財産が多い場合には借金の負担が増えることになるので、問題になってしまいます。 こうした事態を防ぐためにも、相続放棄をするときにはその旨を相続人全員に伝え、できれば相続人全員で相続放棄をすると良いでしょう。

Q&A

Q1. 相続放棄の申述が家庭裁判所で却下されました。もう放棄することはできないのでしょうか?

相続放棄の申述が却下された場合、再度相続放棄の申立てをすることはできません。しかし、2週間以内であれば「即時抗告」という不服申立ての手段をとることができます。 即時抗告とは、相続放棄を認めないという家庭裁判所の判断が不当であるとして、上級裁判所である高等裁判所に対して不服申立てをすることです。 この不服申立てが認められれば、相続放棄をすることができます。

Q2. 相続放棄受理後、他に財産が見つかりました。相続放棄を取り消すことはできないのでしょうか?

できません。たとえ熟慮期間内であっても、一度した相続放棄の意思表示を撤回することはできません。 ただし、実際にはプラスの財産があるにもかかわらず、他の相続人に「マイナスの財産しかない」と嘘をつかれ、騙されて相続放棄の意思表示をした場合等には、相続放棄の撤回が認められる可能性があります。

Q3. 相続放棄をすると、その財産(負債)はどうなってしまうのですか?

相続放棄をすると、相続放棄された遺産を相続する権利は、他の相続人へ移動します。 例えば、被相続人の子(第1順位の相続人)が相続放棄をすると、相続する権利は被相続人の親(第2順位の相続人)に移動します。さらに被相続人の親が相続放棄をすれば、被相続人の兄弟姉妹(第3順位の相続人)に相続する権利が移動します。 このように、放棄に伴い相続する権利が移動しますが、相続人が誰もいない状況になると、相続財産法人が創設され、相続財産管理人によって清算等の処分がなされることになります。そして、処分後も相続財産が残っている場合は国庫に引き継がれることになります。

相続放棄の手続きについては、早めに弁護士に相談しましょう

相続放棄の申立ては、一度しかすることができません。不服申立ての手段として即時抗告の制度がありますが、この申立てが認められることはまれです。 慣れない作業に戸惑って、期限である3ヶ月を超過してしまったり、書類の不備等で申述を却下されてしまったりしては取り返しがつきません。こうした事態を防ぐためにも、はじめから専門家である弁護士に一括して代行を依頼することをおすすめします。 弁護士に依頼すれば、相続財産の調査や必要書類の収集といった煩雑な手続きから申述の申立てまで、すべての手続きを任せることができます。また、相続放棄が認められる確実性も高くなるでしょう。 相続放棄を考えられている方は、お早めに弁護士にご相談ください。弁護士は、ご依頼者様の力強い味方となります。