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相続放棄後でも固定資産税の支払い義務はあるのか

相続放棄をした場合、固定資産税の扱いはどうなるのでしょうか? 固定資産税とは、土地や建物といった固定資産に対して課される、市区町村の税金をいいます。固定資産税の納税義務者は、その土地や建物の所有者です。 相続によって、相続人が土地や建物の所有者になると、固定資産税の納税義務者は当然に相続人になります。また、相続人が相続放棄をした場合には、相続人は土地や建物の所有者にはならないため、納税義務は発生しません。 しかし、相続放棄をしたにもかかわらず、固定資産税の支払いを請求されることがあるのです。

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不要な土地等の不動産を相続放棄したのに、役所から固定資産税の納税通知が来るのはなぜ?

相続放棄は、被相続人から相続する一切の権利を放棄する制度です。したがって、相続放棄をした場合には、相続財産である土地や建物といった固定資産も相続しないため、本来、固定資産税の支払い義務を負いません。 しかし、次のような理由により、役所から固定資産税の納税通知が来る場合があります。

相続人と推定され、固定資産課税台帳に登録された

固定資産課税台帳とは、固定資産税の課税の基準となる固定資産の評価を明らかにするために、所有者ごとの資産を一覧表にした帳簿です。土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳を総称して固定資産課税台帳と呼ばれます。 固定資産課税台帳は、土地や建物の所有権者が登録された登記簿に基づいて、市区町村により管理されます。この固定資産課税台帳に登録されたため、元相続人に固定資産税の納税通知が来るのです。 もっとも、固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日の時点における所有権者(=登記簿に登録された人)です。したがって、相続放棄をした人(=元相続人)は所有権者ではないため、登記簿に登録されないはずです。では、なぜ元相続人が固定資産課税台帳に登録されたのかというと、元相続人が固定資産を現に所有していると市区町村が推定したからです。 亡くなった人が所有権を持つことはできません。そのため、元所有権者である被相続人が亡くなると、通常はその相続人が新たに所有権を取得します。ですから、元相続人が相続放棄をしたことを知らない市区町村は、登記簿に相続放棄をした人が登録されていない場合でも、現に固定資産を所有している人(=法定相続人である元相続人)が新たに所有権を取得するだろうと推定して、固定資産課税台帳に元相続人を登録するのです。

そもそも登記制度とは

登記制度とは、第三者に対して、「私がこの土地や建物の所有者です」と所有権を証明するための制度です。登記簿と呼ばれる帳簿に記載されることで、登記されたことになり、所有権を証明できるようになります。 登記簿には土地や建物等の所有権者が記載されているため、市区町村は、登記簿の記載に基づいて固定資産課税台帳を管理します。

債権者代位登記をされた

固定資産課税台帳に登録された理由の一つとして、債権者代位登記をされた場合が挙げられます。 代位による登記(債権者代位登記)とは、債権者(=権利を持つ人)が自身の権利を守るために、債務者(義務を負う人)に代わって登記をすることをいいます。 通常、登記は、所有者の所有権を証明するためのものですから、するかしないかは所有権者に委ねられています。 しかし、債権者がその支払いを土地・建物に期待しているにもかかわらず、相続登記がされなければ、債権者はいつまでたっても、差し押さえ等の強制的な手続きができず、お金の回収が難しくなります。そのため、債権者が債務者の代わりに登記をすることができる制度が設けられています。

相続放棄後の納税通知、納税義務者は誰になる?

法律では、固定資産課税台帳に登録された人を納税義務者とする、台帳課税主義という原則が採用されています。そのため、固定資産税の納税通知書が届いた人=固定資産課税台帳に登録された人となりますから、納税義務者は納税通知が来た人となります。 したがって、たとえ相続放棄をしていても、固定資産課税台帳に登録されている限り、固定資産税を納税しなければなりません。

相続放棄後の固定資産税の支払いについて争った判例

ここで、相続放棄後の固定資産税の支払いについて争った、実際の裁判例をご紹介します。

横浜地方裁判所 平成11年(行ウ)第42号 課税処分取消請求事件

〈事案の概要〉

債務者である被相続人が亡くなった後、相続人である原告らは、相続財産である土地建物に登記をしていませんでした。そこで、被相続人の債権者が土地建物の仮差押えを行い、仮差押えに基づいて、債権者が原告らの代わりに原告らを土地建物の所有者とする登記(債権者代位登記)をしたため、原告らにに固定資産税等が課税されました。原告らは、固定資産税等が課された後に相続放棄をし、相続放棄をして元相続人となった原告らに固定資産税等を課税することは違法ではないかと主張して、市区町村に対して課税処分の取り消しを求めました。

〈判断の要旨〉

【台帳課税主義と原告ら(元相続人)に課税することの適否】 法律上、固定資産税の納税義務者は、課税の対象となる年度の1月1日時点における「固定資産の所有者」とされています。固定資産の所有者に課税する理由は、資産価値のある土地等を所有しているという事実に担税力(税金を支払うことができる能力)があると認めるからです。したがって、固定資産税は本来、本当の所有者に課税されるべきものです。しかし、法律では、徴税の便宜を図る必要があるため、固定資産税を課すべき「所有者」を、登記簿等の公簿上の所有名義人とする「台帳課税主義」を採用しています。 もっとも、所有者として登記されている人が、課税期日前に死亡しているときは、課税期日において固定資産を現に所有している人を「所有者」とするという例外を設けています。これは、死亡している人からは徴税できないため、やむを得ず例外を設けたものと解されます。したがって、このような例外の場合を除いては、原則どおり登記簿上の所有名義人を納税義務者とするのが法の考え方であるというべきであり、原則とわずかな例外を設けたことについて、相応の合理性も認められます。 本件では、課税期日である1月1日時点における登記簿上の所有名義人である原告らに、被告である市区町村が台帳課税主義に従って課税したものですから、適法であるというべきです。

固定資産税の請求が来た場合の対処法

台帳課税主義が採用されているからといって、自分のものではない固定資産にかかる税金を支払いたくはないですよね。 しかし、払い損というわけではなく、納税した税金が返ってくることがあります。

立替えたのち、求償をおこなう

相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものとして扱われます。つまり、初めから固定資産の持ち主ではなかったとされます。 したがって、固定資産の持ち主であったこともない元相続人が固定資産税を支払った場合、「本来の納税義務者が支払うべきものを立替払いした」こととなります。そのため、本来の納税義務者に対して、立替払いした分を返すよう請求することができます。これを求償権といいます。

不服申立てを行い、登記を取り消してもらう

私法である民法上では、相続放棄の効力は絶対的なので、相続放棄をした場合における債権者の代位登記は無効になります。しかし、固定資産税の課税処分は公法上の処分であり、民法上と同じ効果は生じませんので、固定資産税の課税処分は当然に無効とはなりません。 そこで、課税処分を無効にするためには、処分庁の上級庁である行政庁に対し、固定資産税の課税処分に対する不服申立て(再調査の請求または審査請求)を行う必要があります。この不服申立ての中で、債権者代位登記の無効を主張し、固定資産税を課税する法的な根拠がないことを示します。 なお、不服申立ては、処分の通知を受けた日の翌日から起算して3ヶ月以内に行う必要があるため、注意が必要です。

市区町村役場から還付は受けられる?

固定資産税の還付請求をするためには、「納付期限の翌日から5年以内であること」かつ「還付を求めることについて法律上の根拠があること」が必要です。 しかし、説明したとおり、法律上では台帳課税主義が採られています。そのため、1月1日の時点で相続放棄をしていたとしても、固定資産税課税台帳に登録されていたとすれば、相続放棄をしていた元相続人に対して課税をすることは適法であるとされる可能性があります。また、既にご紹介したように、相続放棄前の固定資産税の支払いについて適法とした裁判例がいくつもありますから、「還付を求めることについて法律上の根拠がある」と主張して納税義務を免れ、還付を受けることは難しいでしょう。

固定資産税の還付について争った判例

相続放棄の事案ではありませんが、登記名義人ではあるものの本当の所有者ではない人が納税義務を負うのか、還付請求の可否について争った裁判例をご紹介します。

大阪地方裁判所 昭和51年(行ウ)第17号 固定資産税等返還請求事件

〈事案の概要〉

土地の売買に伴い、原告を新たな所有者とする登記がなされましたが、後に錯誤を原因として契約が無効になりました。この登記に基づき固定資産税が徴収されていましたが、「売買契約の無効によって、はじめから所有者ではなかったとされる原告に固定資産税等を課税することは不当利得(法律上の原因なく利益を得ること)に当たるのではないか」と原告が主張し、固定資産税の徴収元である市区町村(被告)に返還を求めたため、争いになりました。

〈判断の要旨〉

固定資産税は、地方税法で、1月1日時点における固定資産の所有者、つまり土地登記簿に所有者として登記されている人に課税する旨定められています(台帳課税主義)。したがって、真実の権利関係にかかわらず、登記簿上で所有者として公示されている人が課税義務者となるのです。 よって、本例の場合、当該年度の1月1日時点における、固定資産の登記簿上の所有名義人であった原告に固定資産税を課税したことは適法であり、被告は法律上の原因なく利益を得たとはいえないと判断し、徴収した税金を返還する義務はないとして、請求を棄却しました。

登記の取消し等、知識の無いまま手続きを進めることは危険です。まずは弁護士へご相談下さい

債権者代位登記の取消しや、納税義務の有無や還付金の受給の可否を争う際の不服申立てや訴訟手続には、法律の専門知識が必要になります。そのため、ご自身だけで手続を行うのは難しいでしょう。 そこで、法律の専門家である弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。弁護士に依頼することで、ご自身の主張が認められる可能性を高めることができます。 弁護士に相談するのは気が引けるという方も多いでしょうが、弁護士は、依頼者の力強い味方となる存在です。ぜひお気軽にご相談ください。

注意!被相続人の財産からは支払わないこと

相続財産である固定資産にかかる税だからといって、相続財産から支払ってはいけません。 民法では、相続人が相続財産の一部でも処分してしまったときには、相続財産について無条件に相続をする「単純承認」をしたものとみなされます。つまり、相続財産から支払ってしまうと、もう相続放棄や限定承認をすることができなくなってしまう可能性があるため、安易に相続財産から支払いをするべきではありません。 単純承認について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

単純承認とは

相続放棄と固定資産税に関するQ&A

相続放棄をしていない相続人に支払いを任せることはできる?

相続放棄をしていない相続人に、相続放棄をした元相続人の分の支払いを任せることはできません。なぜなら、固定資産税の納税義務者は、あくまでも1月1日時点で固定資産税課税台帳に登録されていた人だからです。 ただし、市区町村は支払う人については関知しないので、相続放棄をしていない相続人が、任意で支払うことはできます。 また、本来払う必要のない元相続人が、本来の納税義務者である相続放棄をしていない相続人に代わって支払ったことに違いはないので、相続放棄をしていない相続人に対して、支払った分を請求することができます。

12月のうちに相続放棄手続をしたが受理されたのが1月だった。この場合の固定資産税の支払い義務は?

固定資産税の支払い義務は台帳課税主義を採り、1月1日を固定資産の納税義務者を決める基準日としています。また、相続放棄の手続は承認をもって完了するので、質問の場合、1月1日の時点では相続放棄が完了していません。したがって、1月1日時点における固定資産課税台帳に登録されていた人は、相続放棄をした元相続人となります。よって、固定資産税の支払い義務は元相続人にあります。

相続放棄したけれど、納税通知が来ないようにするには?

納税通知書は、固定資産課税台帳に登録された人の所に届きます。そのため、納税通知が来ないようにするためには、固定資産課税台帳から登録を抹消する必要があります。 相続放棄をすると、初めから固定資産を含む相続財産を相続しなかったとみなされます。固定資産の納税義務者は固定資産の所有者ですから、相続放棄をしたことを証明できれば、固定資産の所有者ではないことも証明できます。 そこで、どのように証明すれば良いのかというと、固定資産課税台帳を管理する市区町村に、相続放棄申述受理通知書や相続放棄申述受理証明書等、相続放棄が完了したことを証明する書類を提示します。 このように、相続放棄をしたことを市区町村に証明することで、納税通知が来ないようにすることができます。

支払いを求める場合等に相続人間で揉める可能性も。そうなる前に弁護士への依頼をお勧めします

相続放棄をした場合の固定資産税の納付義務について説明しましたが、理解を深めていただけたでしょうか? 相続放棄をしたからといって、1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されており納税通知書が届いた場合には、納税義務を免れるのは困難です。しかし、相続放棄をしたにもかかわらず固定資産税を支払った元相続人は、「本来の納税義務者が支払うべきものを立替払いした」のですから、本来の納税義務者に支払った分を返すよう請求することができます。 しかし、請求できるからといって、本来の納税義務者がそれに応じてくれるとは限りません。このように、相続をきっかけに相続人間でトラブルになることがあります。 相続人間でのトラブルを防ぐためにも、専門家である弁護士にアドバイスを受けると良いでしょう。弁護士に相談すれば、複雑な相続問題のスムーズな解決が図れます。  ぜひ弁護士にご相談ください。