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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
令和6年4月より、不動産を相続した場合、相続登記が義務化されました。 相続登記とは、不動産の所有権が相続によって移転したことを「登記」という形で記録してもらい、明らかにする手続きです。 相続登記をする際には、「登録免許税」という税金がかかります。この税金は、登記を申請するときにはほとんどの場合に支払わなければなりませんが、場合によっては免税を受けることができます。 この記事では、相続登記のときに支払う登録免許税について、計算方法や計算例、免税措置、納付方法等について解説します。
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登録免許税とは、土地や建物等の不動産について、登記をしたときにかかる税金です。登録免許税を納付して相続登記をすることで、その不動産の所有者であることを示せます。 登記によって不動産の所有者とされることにより、他人に対して不動産の権利(所有権)を主張できるようになるため、登録免許税はその利益に対して課される税金だと考えられます。 登録免許税を支払うのは、新たに所有者となる相続人です。 なお、相続登記について詳しく知りたい方は、こちらの記事を併せてご覧ください。
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相続の場合の登録免許税は、以下の計算式を用いて求めます。
登録免許税の税額=課税標準×税率(0.4%)
課税標準とは、不動産の評価額のことであり、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」によって決められます。そのため、不動産を購入したときの金額や、売却することを想定した見積額などとは異なる金額になります。 不動産の評価額を基準にして、登録免許税や固定資産税等の税金が課されます。
相続登記の登録免許税を計算するときの土地の評価額は、固定資産税課税明細書または固定資産評価証明書で確認することができます。 固定資産税課税明細書は毎年4~6月に送付されますが、手元にない場合には、都税事務所または市町村役場で固定資産評価証明書を取得します。 いずれかの書類の「評価額」または「価格」と記載された金額を確認して、すべての不動産の評価額を合算した金額を用いることにより、登録免許税額を計算します。
準備した書類から評価額が確認できたら、複数の不動産の評価額を合計し、税金の計算の基礎となる「課税標準額」を算出します。課税標準額は、1000円未満を切り捨てた金額です。 各不動産の評価額を切り捨てるわけではないことに注意しましょう。
1000円未満を切り捨てた課税標準額に、登録免許税の税率をかけて税額を算出します。相続登記における登録免許税の税率は0.4%です。 計算した登録免許税のうち、100円未満の金額は切り捨てます。 なお、遺贈や売買、贈与等による所有権移転登記の税率は2%です。
不動産の相続で考えられるケース別の、登録免許税の計算例について、次項より解説します。
登録免許税がいくらかかるのかを、以下の評価額である不動産(土地と家)を1人で相続した場合について考えます。
まず、土地と建物の評価額を合算します。
評価額の合計=土地の評価額(825万600円)+建物の評価額(570万420円)=1395万1020円
さらに、登録免許税を計算するために、不動産の評価額の下3桁を切り捨てます。
登録免許税の計算に用いる評価額:1395万1000円
相続登記の登録免許税は、この評価額の0.4%です。ただし、下2桁は切り捨てます。
評価額(1395万1000円)×0.4%=5万5804円
よって、登録免許税額は5万5800円となります。
マンションを相続した場合、所有している部屋の専有部分だけでなく、土地の持分割合に応じた敷地部分を合算しなければなりません。 建物(専有部分)の評価額は、固定資産税課税明細書の固定資産税評価額を確認します。また、土地(敷地)の評価額は、マンションの敷地全体の評価額に、敷地権割合をかけて算出します。 敷地権割合は、マンションの登記簿で確認しましょう。 例えば、以下のような事例について考えます。
不動産の評価額は、部屋と敷地を併せて次のとおりです。
1000万円+1億円×5%=1500万円
このマンションを相続したときの登録免許税は、「1500万円×0.4%=6万円」によって6万円となります。
土地を相続するときに支払う登録免許税には、平成30年の税制改正により免税措置が設けられました。 その後、適用範囲が拡大される等して、現在では以下の2つの免税措置があります。
これらの免税措置について、次項より解説します。
相続登記をする前に相続人が亡くなり、再び相続が発生した場合には、1回目の相続についての登録免許税は免除されます。この免除が受けられるのは、1回目の相続の登記を一定の期間(平成30年4月1日から令和7年3月31日までの間)に行った場合です。 例えば、登記名義人Aが死亡して相続人Bが土地を相続し、相続登記をする前にBが亡くなって再相続人Cが土地を相続した場合には、AからBへの相続登記を一定の期間に行えば登録免許税が免除されます。ただし、BからCへの土地の相続については、登録免許税が免除されません。 なお、この免除を受けるためには、申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載する必要があります。
価額が100万円以下の土地については、令和4年4月1日から令和7年3月31日までの間、登録免許税が免除されます。以前は対象となる土地が限定されていましたが、法改正により対象が全国の土地に拡大されました。 なお、この免除を受けるためには、申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により⾮課税」と記載する必要があります。
登録免許税を納付する方法は、主に以下の3つがあります。
登録免許税を現金で納付するためには、金融機関または税務署で、納付書に記載をした上で窓口に提出し、登録免許税額を支払います。そして、交付された領収書を登記申請書に貼付し、法務局で申請を行います。 税額が3万円を超える場合には、基本的に現金での納付が必要です。
登録免許税を収入印紙で納付するためには、法務局の印紙売り場や郵便局等で購入した収入印紙を登記申請書に貼付して、法務局に提出します。 税額が3万円以下の場合には、収入印紙での納付が可能とされています。とはいえ、手続きが簡単になることから、3万円を超える税額であっても収入印紙を用いることが認められることもあるようです。
相続登記をオンラインで行う場合には、登録免許税の納付をインターネットバンキングで行うことができます。また、金融機関が対応していれば、ATMで登録免許税を振り込むことも可能です。
登録免許税には納付期限がありません。ただし、基本的には登記申請の際に、現金で納付するか、申請書に収入印紙を添付する等して納付します。 また、登録免許税の金額は「固定資産評価証明書」に記載されている評価額を基準に決まります。「固定資産評価証明書」は年度が変わると新しくなるため、最新の年度の証明書を用いるようにしましょう。
更正登記を申請する場合にも、登録免許税がかかります。 更正登記とは、登記を申請したときに誤りがあった場合に、その誤りを修正するために行う登記です。例えば、氏名や住所を間違えて申請したために、誤った氏名や住所が登記されてしまったケース等で更正登記が行われます。 ただし、間違った土地に登記をしてしまった等、更正登記で正しい状態に直すことができない登記については、抹消して正しい登記を行う等の対応をしなければなりません。 不動産の更正登記にかかる登録免許税は、不動産の評価額にかかわらず、不動産1件につき1000円です。
不動産の相続登記を行うときには、登録免許税を支払わなければなりませんが、控除や特例は受けられるのか、ご自身で判断するのは難しいでしょう。 相続手続きには、専門知識が不可欠です。弁護士は法律の専門家であり、相続についての知識も豊富なため、遺産分割協議を誤りなくまとめてもらうことや、相続手続きを任せること、相続に関する税金のアドバイスを受けることもできます。 相続手続きや相続に関する税金についてお困りの方は、弁護士にお気軽にご相談ください。