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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
相続登記とは、家屋などの不動産の名義を、被相続人(亡くなった方)から相続人に移すための手続きです。この手続きは法務局で行います。 相続登記をしないと、相続人全員が家屋の持ち主であるかのような状態が続いてしまい、後にトラブルが生じるおそれがある等、様々なデメリットがあります。したがって、家屋を相続することになったら、できるだけ早めに相続登記をしましょう。 本記事では、遺産のうち、家屋を相続することになった場合に焦点を当て、どのような手続きが必要なのかを確認していきます。
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家屋などの不動産を相続するときの流れは、以下のようになります。
もしも、家屋の登記名義人が被相続人の親などになっている場合には、基本的に被相続人への相続登記も必要となります。 登記手続きは、基本的に家屋を相続する者が行います。共同で相続する場合には、代表者による手続きでも問題ありません。 相続登記の手続きにかかる期間は、相続人が1人であるようなケースでは1週間程度で済む可能性があります。しかし、相続人が多い等、複雑なケースでは数ヶ月かかることもあります。 なお、相続方法によって、手続きや提出書類などが異なります。これについては次項より解説します。 家屋や土地などの不動産の相続について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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遺言書によって家屋の相続人が指定されており、その遺言書に従って相続する場合には、相続登記のために次の書類が必要となります。
なお、遺言書には自筆証書遺言や公正証書遺言といった種類があります。これらの遺言書の種類について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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家屋を法定相続分に従って相続する場合には、相続登記のために次の書類が必要となります。
なお、法定相続分について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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家屋を遺産分割協議によって相続する場合には、相続人全員で話し合ってだれが家屋を相続するのか決めて、遺産分割協議書を作成します。 そして、この場合には、相続登記のために次の書類が必要となります。
なお、遺産分割協議について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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相続登記について、家屋の種類別に必要となる手続きを以下で解説します。
相続する家屋が戸建ての場合には、一般的に建物と土地の両方において相続登記の手続きが必要になります。 戸建てでは、家屋(建物)と、その建物が建っている土地の両方を相続することになるケースが一般的です。建物と、その建物が建っている土地の所有者が異なるケースもありますが、第三者に売却するときにトラブルになる等の弊害があるため、建物と、建物が建っている土地の所有者は同一である方が良いといえます。
相続する家屋が分譲マンションで、さらに敷地権付き区分建物である場合、敷地権付き区分建物の相続登記を行います。このとき、土地の相続登記をする必要はありません。 相続する家屋が分譲マンションの場合、登記簿謄本上では「敷地権付き区分建物」とされていることがほとんどです。分譲マンションとは、一棟のマンションを一室ごとに分けて販売するマンションのことで、敷地権とは分譲マンションが建っている土地を利用する権利のことです。 戸建ての場合は、建物と、建っている土地は別々に登記されます。しかし、分譲マンションの場合には、建物と土地を別々に登記しようとすると、記録が数百ページに達してしまうおそれがある等、管理が非常に大変です。そのため、敷地権と建物の専有部分を一体化するという扱いがなされています。
被相続人が賃料を支払って賃貸アパートに居住していた場合、被相続人は家屋を所有していないため、相続登記とは異なる手続きが必要です。 民法上、賃借人(被相続人)が亡くなったからといって、賃貸人と結んだ賃貸借契約は終了せず、賃借人の地位は、相続の対象になります。そして、賃借人の地位を相続することになった相続人は、賃貸借契約を継続してその賃貸物件に住み続けることも、賃貸借契約を解約することもできます。 相続人が賃貸物件に住み続ける場合と、賃貸借契約を解約する場合には、それぞれどのような手続きが必要になるのか、次項より確認していきます。
賃借人の地位を相続する相続人が、賃貸借契約を継続してその賃貸物件に住み続ける場合、まずは賃貸人に賃借人の変更を通知します。賃貸借契約において義務とされている場合もありますし、義務とされていない場合でもしておいた方がよいでしょう。 また、賃貸借契約の契約者名義を、被相続人から相続人に変更しておいた方が良いでしょう。後々トラブルにならないよう、賃料の支払い義務が誰にあるのかを明確にしておいた方が無難です。
賃貸人や管理会社に連絡し、解約手続きを行います。 解約しない限り賃料の支払い義務は発生し続けてしまうため、解約の手続きは早めに行いましょう。 未払賃料が発生している場合、相続人に支払う義務が生じます。相続開始前の未払賃料は、本来であれば法定相続分に応じて支払うことになります。ただし、当事者間で異なる取り決めをすることもできます。 また、相続開始後から遺産分割協議の成立までの賃料は、各相続人がそれぞれ全額の支払義務を負うと考えられます。 なお、敷金の返還請求権は、通常であれば法定相続分に応じて相続されます。
相続登記をすると、以下のようなメリットがあります。
一方で、相続登記をしないと、以下のようなデメリットがあります。
なお、2024年4月1日から相続登記は義務化されます。この義務化によって、不動産が相続されたことを知ってから3年以内に相続登記を行わなければならなくなります。 相続登記を放置するデメリットについて、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。
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不動産の相続登記について、1000万円の家屋の相続登記を専門家に依頼した場合には、おおむね15万~25万円程度かかります。なお、数次相続など複雑な事案では、調査などのために追加の費用がかかることがあるでしょう。 この家屋について、専門家に依頼せず、自分で登記を行うと5万円程度で済みます。 ただし、登記は必要な書類などが多い手続きであるため、ミスが生じやすいので注意しましょう。数次相続などの事案では、自分で対応することは難しいため、専門家に相談する方がよいでしょう。 なお、相続登記のときには「登録免許税」という税金を支払います。これは、基本的に不動産の固定資産評価額の0.4%を支払います。 例えば、1000万円の家屋ならば4万円、3000万の家屋ならば12万円かかることになります。
相続登記に必要な書類は、不動産を取得する者をどうやって決めたのかによって異なります。
遺言による場合 |
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法定相続分による場合 |
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遺産分割協議による場合 |
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さらに細かい状況に分けた場合の必要書類について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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相続税にも強い弁護士が豊富な経験と実績であなたをフルサポート致します
家屋を相続すると、以下の税金がかかります。
【必ずかかる税金】
・登録免許税(相続登記にかかる)
・固定資産税
【場合によりかかる税金】
・相続税(控除される金額を超えた場合)
・所得税(不動産を賃貸した場合)
・譲渡所得税(不動産を売却した場合)
不動産の相続にかかる税金について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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家屋を相続したくない場合には、相続放棄という方法をとることができます。 相続放棄とは、被相続人のすべての遺産を相続しない手続きです。相続放棄をすれば、要らない家屋についても相続することはありません。 しかし、相続放棄をしてしまうと、遺産に含まれている他の財産についても放棄してしまうため、「家屋は要らないが株や自動車は欲しい」といった場合には、よく考える必要があります。 また、相続放棄は、相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内に行わなければなりません。さらに、相続財産である家屋を売る等の行為をしてしまうと、相続放棄はできなくなってしまうので注意しましょう。 相続放棄についての詳しい内容は、以下の記事をご覧ください。
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改正前において、民法には、相続放棄をおこなったとしても、次順位の相続人が遺産の管理を開始するまでは、自己の財産と同一の注意をもって遺産の管理を継続する義務が定められていました。 そのことから、相続人全員が相続放棄をしたとしても家屋の管理義務が残ってしまう場合がありました。 しかしながら、2023年4月1日より施行された改正民法により、相続放棄者の管理義務が見直されました。 改正後の変更点としては、相続放棄をおこなった者が、放棄したときに現に占有している相続財産についてのみ、その財産を保存していかなければならないことになりました。 つまり、相続放棄をおこなった者が今まで管理していなかった相続財産については、管理義務は発生しません。
親などの家屋を兄弟で相続する場合には、家屋を相続する者を兄弟のいずれか一人に定め、家屋を相続する者から他の兄弟にお金を払うか、家屋が不要であれば売却して代金を等分するなどの解決を図るのが望ましいでしょう。家屋を兄弟の共有とする方法はおすすめできません。なぜなら、家屋を共有してしまうと、兄弟の1人が売却したくなったとき等に、意見が対立してトラブルになるリスクがあるからです。
配偶者居住権とは、家屋を所有していた者が死亡したときに、残された配偶者が要件を満たせば、その家屋を相続しなくても死ぬまで住み続けることのできる権利です。配偶者居住権が認められる要件として、次のものが挙げられます。
なお、配偶者居住権を第三者に主張するためには、登記を備える必要があります。また、配偶者居住権は家屋にのみ設定できるものであり、土地には設定できないことに注意しましょう。
家屋の評価額は、一律では決められないので、状況によって使い分ける必要があります。もっとも簡単な決め方として、「固定資産評価額」によって決める方法が挙げられます。固定資産税評価額とは、固定資産税を支払うときに用いられる評価額です。この評価額は、固定資産税の「納税通知書」によって確認できるので、簡単に把握することができます。ただし、固定資産税評価額は、公示価格の70%程度が目安とされており、売却価格と大きく乖離するおそれがあります。他の決め方として、取引業者や不動産鑑定士に評価額を計算してもらう方法が挙げられます。この場合には、鑑定費用を誰が負担するのかについて争いが生じるおそれがあります。
相続した家屋を空き家にしてしまった場合、倒壊のおそれがある状態等に陥ると、自治体によって「特定空き家」に指定されるリスクがあります。相続した家屋が「特定空き家」に指定された場合、家屋が建っている土地の固定資産税を軽減する「住宅用地の特例」が適用されなくなり、土地の固定資産税は6倍になるおそれがあります。また、自治体からの勧告に従わず、命令を受けても改善しなかった場合には、「行政代執行」により強制的に空き家の撤去や解体が行われ、撤去や解体にかかった費用を請求されます。他にも、空き家によって景観や治安を悪化させてしまい、周辺住民とのトラブルが生じるおそれがあります。空き家によって第三者に損害を生じさせると、損害賠償を請求されるリスクもあります。このように、空き家の放置には様々なデメリットがあります。家屋を相続したら適切に管理しなければならず、場合によっては売却や解体などを検討するべきでしょう。
遺産のうち、家屋を相続することになった場合は、相続登記が必要になります。 相続登記をするときには多くの書類を提出しなければなりません。そのため、ご自身で相続登記の手続きを行うと、提出書類の収集・作成作業に時間や労力を要することになるでしょう。 状況によっては必要書類が増えてしまうため、負担はとても重くなります。 私たちは、相続問題について豊富な経験を有する弁護士が多く在籍しており、「相続チーム」を設けています。家屋の相続手続きに悩まれた場合には、まずは私たちにご相談ください。