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監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員
誰かが亡くなったときに、遺言書が作成されていなければ、亡くなった方の配偶者や子など、遺産を相続できる者が全員集まって遺産分割協議を行います。協議を経て「遺産分割協議書」を作成することにより、遺産に含まれる預貯金が使えるようになったり、不動産の名義を相続人に移転できるようになったりします。 ただし、協議のときには、注意点を押さえておかなければ「遺産分割協議書」が無効になってしまうおそれがあります。 そこで今回は、遺産分割協議の具体的な流れや注意点、話し合いで揉めてしまった場合の対処法などについて解説します。遺産分割協議に関する理解を深めていただくためにも、ぜひご覧ください。
1分半でわかる!はじめての遺産分割協議
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遺産分割協議とは、被相続人(亡くなった人)の遺産の分割方法を決めるため、相続人が全員で行う話し合いのことです。相続人が全員参加しなければ、協議が成立したことにはなりません。 遺産分割協議は、遺言がないケースに加えて、遺言の内容に不備があるケース、相続人全員が合意のうえ遺言の内容とは異なる遺産分割をするケース等で行われます。協議は、全員が合意することにより成立します。 なお、有効な遺言書がある場合や、法定相続人が1人しかいない場合等には遺産分割協議を行う必要はありません。
遺産分割協議は弁護士にお任せ下さい遺産分割協議は、以下のような流れで行います。
次項より、これらの各手続きについて説明していきます。
遺産分割協議は、相続人全員が合意しなければ成立しません。しかし、思わぬところに相続人がいるケースがあります。 例えば、以下のようなケースが考えられます。
これらのケースが考えられるため、遺産分割協議を行う前に相続人調査を行い、誰が法定相続人なのかを正確に調べる必要があります。相続人調査は、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本をすべて集めて行います。 まずは被相続人の最後の戸籍謄本を、本籍地の市区町村役場で取得します。そこから遡り、最終的には出生時の戸籍謄本を取得します。長生きした人であれば5つ~6つ程度になるのが一般的です。 このように戸籍をすべて集めることによって、兄弟姉妹、子、養子などの存在を明らかにします。 なお、相続人調査の流れなど、さらに詳しい内容は以下のページで解説しています。こちらもぜひご一読ください。
相続人調査の重要性と調査の流れ相続人調査が完了して相続人が確定したら、次は相続財産(遺産)を調べ、分配する遺産がどれくらいあるのかを確認します。 相続財産の調査では、現金・預貯金・不動産・株式などのプラスの財産はもちろんのこと、借金・ローン・滞納している税金などのマイナスの財産も調べる必要があります。なぜなら、マイナスの財産も相続の対象に含まれるからです。 相続財産の調査を終えたら、その後の話し合いや相続手続きをスムーズに進められるよう、財産を一覧にした財産目録を作成し、書面にまとめておきましょう。 資産も負債も見落とさないように、以下の表に記載したものを、様々な場所で慎重に探す必要があります。
財産 | 確認するもの (探す場所) | |
---|---|---|
資産 | 不動産 |
|
現金・預金・株など |
|
|
動産 | ●金庫・戸棚・引き出し(被相続人の自宅・トランクルーム) | |
そのほか | ●貸金庫(金融機関) | |
負債 | 借金・ローン |
|
滞納している税金 | ●郵送物 | |
そのほか | ●金庫・戸棚・引き出し(被相続人の自宅) |
以下のページでは、さらに詳しい相続財産の調査方法を解説しています。こちらもぜひご参照ください。
相続財産調査マニュアル|相続財産の調査方法や費用を解説相続人調査と相続財産の調査が完了したら、いよいよ相続人全員で遺産の分割方法に関する話し合い(遺産分割協議)を行います。 相続人全員が一堂に会することができればいいのですが、遠方に住んでいたり、仕事で都合がつかなかったりして難しいこともあるでしょう。遺産分割協議での話し合いの形式は特に決められていないため、そのような時には以下の方法を用いることが考えられます。
相続人全員の合意を得るということが重要ですので、誰か1人でも反対すると遺産分割協議は成立しません。
遺産の分割方法についてすべての相続人が納得し、話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成することをおすすめします。 遺産分割協議書とは、遺産の分割について相続人間で合意した内容をまとめた書面です。「誰が」「どの財産を」相続するのかを細かく記載したうえで、相続人全員が合意した証として署名・捺印するので、遺産分割協議による合意内容を証明する証拠となります。 必ず作成しなければならないわけではありませんが、後になって合意内容と食い違う主張をする相続人が出てきた場合など、後々トラブルが発生したときに役立ちます。 なお、以下の手続きを行う場合は、遺産分割協議書を提出する必要があります。
遺産分割協議書の具体的な作成方法は、以下の記事で説明しています。ひな形(テンプレート)も載せているので、ぜひ参考になさってください。
遺産分割協議書の作成方法とひな形相続人間の話し合いがまとまらず、遺産分割協議がなかなか成立しないときは、以下の対応が考えられます。
上の図のように、遺産の分割方法は、主に以下の4種類に分けられます。
「現物分割→代償分割→換価分割→共有分割」の順番で、優先的に遺産の分割方法を決めていくと良いでしょう。 各分割方法の詳細については、以下の記事で説明しているので併せてご確認ください。
遺産を分割する方法簡単に遺産を分けられる一方、それぞれの相続分に応じてきっちりと分けるのが難しいため、相続人間で不平等が生じる可能性が高いというデメリットがあります。
例えば、4500万円の価値の不動産を3兄弟の長男が相続し、二男と三男にそれぞれの代償金として、法定相続分(3分の1)にあたる1500万円ずつを支払うようなケースです。 遺産を平等に分けられる方法ではありますが、不動産などの遺産の評価方法で揉めてしまう可能性や、そもそも代償金を支払う金銭的な余裕がなければ利用できないというデメリットがあります。
不動産を売却するため、その評価方法で揉めることはありませんが、売却を急ぐと低額でしか売れないおそれがあります。また、売却にかかった経費を差し引いた金額を分け合うので、受け取れるお金が想定よりも少なくなってしまうかもしれません。なお、思い出のある自宅等を残したい場合は、この方法は適さないでしょう。
共同所有(共有)している不動産は、基本的に共有者全員の同意がなければ処分できないので、自由に活用できません。また、共有者が亡くなり再び相続が行われると、さらに持分が細分化されるので、誰が権利者なのかわかりにくくなってしまいます。大規模なリフォームについても、全員の同意が必要になってしまう等、後で困難に直面するおそれがあります。
遺産分割協議に関して特に注意するべき点について、以下で解説します。
一度成立した遺産分割協議のやり直しはできないのが原則なので、安易に合意してしまわないようにご注意ください。 ただし、すべての相続人の合意が得られれば、やり直すことができます。
また、遺産分割協議が成立後に無効になることはあります。
例えば、
・一部の相続人が協議に参加していなかった場合
・相続人以外の者が参加していた場合
・協議成立後に、かなりの価値を持つ遺産が見つかった場合
といったケースが挙げられます。
遺産分割協議を成立させるためには、協議内容について、相続人全員が合意する必要があります。一人でも反対する人がいれば成立しないのはもちろん、一部の相続人が参加せずに成立した遺産分割協議も無効になります。 以下のような相続人がいる場合は、特に気をつけましょう。それぞれのケースについて解説します。
認知症を患っている等、判断能力のない相続人は遺産分割協議に参加できないので、代理人を立てる必要があります。代理人には、本人が事前に選任しておいた「任意後見人」と、裁判所に選任してもらう「成年後見人」がいます。 相続人が認知症などに備えて任意後見人を選任していた場合には、この後見人に遺産分割協議に参加してもらうことで、話し合いを進めることができます。 これに対して、まだ後見人がいない場合には、家庭裁判所に「成年後見制度」の利用を申し立て、代理人を選任してもらいます。 なお、成年後見制度の概要や、詳しい申立方法などについては以下の記事でご確認ください。
相続人に認知症の人がいる場合行方不明の相続人は、戸籍の附票によって現住所を確認します。それでも所在が分からない場合には、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てます。この申立ては、他の相続人であれば可能です。 不在者財産管理人は、基本的には遺産分割協議に参加する権利を有しません。そのため、家庭裁判所の許可を得て協議に参加します。
未成年者は、遺産分割協議に参加できないので、本来であれば法定代理人である親権者が協議に参加します。ただし、親も相続人にあたる場合には親子の利害が対立するため、代理人になることはできません。 このような場合、未成年者が成人するのを待たずに協議を進めるためには、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立て、特別代理人に未成年者の代理人となってもらう必要があります。 被相続人が亡くなった時点で成人に近い年齢だった未成年者については、成人となれば本人による協議への参加がかないますので、特別代理人の選任は不要となります。 特別代理人の選任方法や、具体的に誰がなれるのかといった解説は、以下の記事でご覧いただけます。ぜひ併せてご確認ください。
相続人に未成年がいる場合海外在住の相続人については、テレビ電話やメール等、意思の疎通ができるツールが利用できるのであれば、遠隔で遺産分割協議を行うことができます。そのため、協議のために帰国してもらう必要はありません。 ただし、海外在住のために印鑑登録証明書が取得できない場合、協議が終了して遺産分割協議書が作成されたら、その相続人に送付し、大使館や総領事館等で署名・拇印のうえ、返送してもらいます。その際には、サイン証明(署名証明)一式を同封してもらう必要があるので注意しましょう。 詳しい手続きの流れや、相続人に海外在住者がいる場合の注意点等については、以下の記事で解説しているのでご覧ください。
相続人が外国(海外)にいる場合相続税は、基本的に、相続が開始されたことを知ってから10ヶ月以内に収めなければなりません。10ヶ月を過ぎると、以下の不利益を受けるおそれがあります。
相続税には、以下のような軽減措置が設けられています。申告が遅れると、軽減措置を受けられなくなるおそれがあるので注意しましょう。
相続放棄は、相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内に行わなければなりません。3ヶ月が経過してしまうと、基本的に借金等も含めた遺産を相続することになってしまいます。 以下のようなケースでは、相続放棄を検討するべきでしょう。
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遺言がある場合は、基本的にその内容に従って遺産分割を行うので、遺産分割協議を行う必要はありません。しかし、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議により、遺言の内容とは違う方法で遺産を分けることもできます。 このとき、遺言に「相続人以外の者に対する遺贈」や「遺言執行者の指定」といった内容が含まれていたならば、受遺者(遺贈をされる人)や遺言執行者の同意を得なければなりません。 遺贈とは、遺言によって、亡くなった人の財産の全部または一部を、特定の人や団体に贈与することです。相続と違い、遺贈では、相続人でない者にも財産を譲ることができます。 遺産のうちの●割を贈与するといった包括遺贈の場合、遺言の内容と異なる遺産分割をすると、受遺者の利益が損なわれるおそれがあるので、受遺者の同意が必要です。 遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする人です。遺言どおりに手続きを進める義務を負う遺言執行者の同意を得ずに、遺言の内容と異なる遺産分割をすることは認められません。 遺贈と遺言執行者についてより詳しく知りたい方は、以下の各記事をご覧ください。
遺贈とは 遺言執行者とは「遺産分割の禁止」が定められると、設定された期間が過ぎるまでは、遺産分割協議ができません。 遺産分割の禁止とは、一定期間(上限5年)遺産分割を禁止することで、主に以下の方法で定められます。
遺産分割の禁止が行われるのは、次のようなケースです。
遺言があっても、遺産の分割方法について相続する割合しか指定されていなかった場合、遺産分割協議が必要になります。 例えば、「妻に遺産の2分の1、長男に遺産の4分の1、二男に遺産の4分の1を相続させる」と遺言書に書かれていても、各相続人が具体的に何を相続すればいいのかがわかりません。そのため、遺産分割協議を行い、各相続人がどの遺産を指定された割合で相続するのか、具体的に決める必要があります。
遺産分割協議で揉めやすいケースについて、以下で解説します。
遺産に土地や家といった不動産が含まれているケースは非常に多いですが、この場合、「分割方法」や「評価方法」について揉めることが多いです。 例えば、不動産そのものを相続したい人が複数いたり、不動産を売って現金で取得したい人がいたりすると揉めがちです。 また、不動産の分割方法では合意したものの、不動産の価値を把握するための評価方法について揉めることも少なくありません。特に、誰かが不動産を相続し、他の相続人に代償金を支払うケースでは、評価額についての意見が合わずに揉めるおそれがあります。 だからといって、複数の相続人で不動産を「共有」することは、問題の先送りになるだけなのでおすすめできません。共有状態の不動産は活用することが難しいですし、共有者が亡くなれば、再び相続が起こり、共有持分が細分化されてしまうので、さらなるトラブルの原因になるからです。
寄与分とは、被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした場合に、貢献度に応じてその人の相続分を増やす制度です。自身の寄与分を主張する相続人がいる場合には、遺産の分割を巡って揉めやすいです。 例えば、通常ならヘルパーなどの手伝いが必要な被相続人の介護を一手に担っていたようなケースや、被相続人の事業を無償で、または低額の報酬で手伝っていたようなケースでは、寄与分が認められる余地が出てきます。もっとも、寄与分の認定は遺産分割調停や審判でも難しいです。 しかも、寄与分を主張して相続する遺産の増額を求めても、他の相続人がすんなり受け入れてくれることは少ないでしょう。寄与分を主張する相続人と認めない相続人が対立し、遺産分割協議がまとまらないケースは多く見られます。 なお、寄与分の制度に関する詳細を知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
寄与分とは特定の相続人が、被相続人から多額の生前贈与を受けていた場合など、「特別受益」を受けていたケースでも揉めるおそれがあります。 特別受益を受けていない他の相続人にとっては、生前贈与などの分だけ相続財産が減ったことになるため、自分の相続分も減ったと考えるからです。 この場合、遺産分割の際に特別受益を受けた相続人がいることを考慮して、それぞれの相続人の相続分を計算します。これを「特別受益の持ち戻し」と呼びます。しかし、「何が特別受益にあたるのか」の判断は難しいので、特別受益を受けた相続人がいるケースではトラブルが起こりやすいと言えます。 特別受益の持ち戻しの具体的な仕組みなど、特別受益についてより詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事を併せてご覧ください。
特別受益について内縁の配偶者には相続権がないため、被相続人に法定相続人がいる場合、揉め事になりやすいです。 内縁関係にあるということは、事実上婚姻関係にあるということです。しかし、内縁関係(事実婚)はあくまで法律婚に準じた関係としてしか扱われません。そのため、たとえ法律婚の夫婦と同様に生活して共同で財産を築いていたとしても、被相続人名義の財産は、法律婚の配偶者や、前配偶者との子などの法定相続人のものとなってしまいます。内縁の配偶者にとっては、とても納得できることではないでしょう。 ただ、遺言によって内縁の配偶者に遺贈する旨が定められていれば、内縁の配偶者も財産を失わずに済みます。とはいえ、法定相続人には遺留分があるので、場合によっては遺留分侵害請求をされるなど、トラブルに繋がるリスクはあります。
被相続人に、前配偶者との子や認知している隠し子がいるケースも、トラブルになりがちです。 このような場合、相続人同士にはたいてい交流がありませんし、相続開始後に初めて存在を知ることもあるでしょう。被相続人の現在の家族からしてみれば、縁遠い他人に遺産を渡すことになるので、納得できないかもしれません。 しかし、前配偶者との子や認知されている隠し子にとって被相続人は親ですし、法定相続人である以上は当然に相続権を主張できます。 お互いの意見が真っ向からぶつかり合う問題であり、感情的な対立を招く可能性が高いため、かなり揉めやすいケースだといえるでしょう。
被相続人の介護が長年に渡って続いたケースや、多額の生前贈与を受けた相続人がいるケース等、トラブルが予想されるケースでは早めに弁護士に相談するのが望ましいでしょう。 早い時点で弁護士に相談するメリットとして、以下のことが挙げられます。
遺産分割協議に、いつまでに始め、いつまでに成立させなければならないといった期限はありません。 ただし、相続放棄や限定承認は相続開始後3ヶ月以内に行う必要がありますし、相続税の申告は相続開始後10ヶ月以内に行わなければなりません。 また、相続税には「配偶者控除」などの軽減措置がありますが、申告期間内に遺産分割協議をまとめ、相続税の申告書を提出しなければ受けられなくなってしまいます。 ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出することによって、期限を延長することが可能であり、遺産分割協議成立後4ヶ月以内に更正の請求をすれば、軽減措置を受けることができます。
遺産分割協議の場で申告するだけでは、相続放棄をすることはできません。 例えば、遺産分割協議書に「○○は遺産相続をしない」旨を記載し、署名捺印をしたとしても、「相続分の放棄」をしたものとして扱われるだけです。 相続分の放棄とは、あくまで相続人の地位は維持しつつ、自分の相続分を他の人に譲ることです。ただ、相続分の放棄は債権者に対しても主張できるものではないので、被相続人にお金を貸していた人などから「借金を返せ」と言われてしまうリスクがあります。 これに対して、相続放棄は、相続人の地位を捨てて一切の財産の相続を拒否することです。家庭裁判所に放棄する旨を申述すれば相続放棄が可能であり、債権者から取り立てを受けることもなくなります。 相続放棄をした人は、遺産分割協議に参加する資格も必要もなくなります。相続放棄の詳細や、相続分の放棄との違いが気になる方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。より理解を深めていただけます。
相続分の放棄と相続放棄の違いとは?遺産分割協議に応じない相続人がいる場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てて話し合いを行います。 調停では、調停委員会が当事者の間に入り、詳しい事情やそれぞれの言い分、希望などを聴き取り、場合によっては解決策を提案したり、助言をしたりして話し合いを進めていきます。 それでも話し合いがまとまらない場合には、調停不成立として「遺産分割審判」に移行し、裁判官が適切な遺産の分割方法を判断します。この判断に納得できなければ、2週間以内に即時抗告という手続きをとり、不服を申し立てます。 「遺産分割調停」は、ほとんどの人にとって慣れない手続きであるため、不安であれば事前に弁護士に相談することをおすすめします。
遺産分割協議で決めた分割方法が、遺言書の内容に反するのであれば、成立した遺産分割協議は基本的に無効となります。この場合には、遺言書で指定されたとおりに遺産分割を行います。 しかし、相続人全員が合意し、遺言書ではなく遺産分割協議で決めた分割方法を優先させることになったときは、成立した遺産分割協議で決めた方法で遺産分割をすることができます。 なお、遺言書に「相続人の廃除」や「子の認知」等の身分関係について記載されていた場合、遺言執行者が指定されている場合、相続人以外の第三者が受遺者とされている場合には、成立した遺産分割協議が無効になる余地があるので注意が必要です。
新たな遺産が発見された場合には、その遺産のみを対象に、追加で協議すれば足りると考えられています。なぜなら、すでに成立した遺産分割協議は基本的に有効だからです。なお、すべての相続人が合意すれば、協議をやり直すことは可能です。 ただし、新たな遺産が、他の遺産と比べて特に大きな価値を有しており、その遺産があることを知り得ていたら協議に合意しなかったと考えられるケースでは、成立した遺産分割協議が無効になるおそれがあります。 このような事態を防ぐためにも、協議成立後に新たに遺産があることが判明した場合の取り扱い方を前もって決めておき、遺産分割協議書に記載しておくと良いでしょう。
相続問題をこじらせずに解決するためには、遺産分割協議を始める段階で、法律の専門家である弁護士のアドバイスを受けることが大切です。 例えば、被相続人のためを思っての行動であっても、法律的な観点や、他の相続人の価値観においては認められにくいものであることが少なくありません。これが原因となって相続人間の感情がこじれ、後々の親族付き合いにも深刻な影響を与えてしまうケースがあります。 トラブルに発展するのを未然に防ぎ、相続問題を迅速に解決するためにも、遺産分割協議を始める段階等、早期から弁護士のアドバイスを受けることが重要です。 蓄積された経験と磨き上げた調査能力を駆使し、ご依頼者様の希望に最も近い形での遺産分割をすすめられるよう努めていきますので、ぜひ私たちにご相談ください。