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相続人以外が寄与分を主張することは可能?「特別寄与料」とは

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

以前は、相続人でない親族が被相続人の介護をしていても、遺産を受け取ることができませんでした。しかし、令和元年の法改正により、相続人以外の親族にも「特別寄与料」が認められ、寄与に応じた額の金銭を受け取れるようになりました。

これにより、義理の親の介護等が金銭的に報われる可能性が高まりましたが、制度ができたからといって安心できるわけではありません。確実に財産を遺すためには、他の方法を検討しておく必要があります。

この記事では、特別寄与料を受け取れる人の範囲や受け取るための条件、請求方法、および特別寄与料以外の遺産を与える対策等について、わかりやすく解説します。

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相続人以外の寄与分は認められるのか?

寄与分とは、亡くなった方の財産の維持・増加について、生前に特別の貢献をした相続人が、遺産をより多く受け取ることができるようにするための制度です。

従来は、寄与分を受け取ることができるのは相続人だけでした。そのため、相続人以外の者が介護等をしたり、被相続人の事業に協力して多額の利益を生み出したりした場合でも、寄与分を受け取ることができませんでした。そこで、相続人でない者でも寄与分に相当する金銭を受け取れるようにするための法改正が行われました。

民法改正により寄与分の対象範囲が拡大された

令和元年の民法改正により、相続人でない親族も「寄与に応じた額の金銭」を請求する権利を主張できるようになりました。この「寄与に応じた額の金銭」を「特別寄与料」といいます。

特別寄与料は、いわゆる「長男の嫁」などが義父等を長期間に渡って介護していても、相続人ではないため遺産を受け取ることができなかった状況が不公平だったため、なるべく公平にするために導入されました。

これにより、「遺産は介護等を行っていない相続人だけに全額が配分されてしまった」等の事態に陥るリスクが低くなっています。

特別寄与料が認められるための条件

特別寄与料は、誰でも請求できるわけではなく、以下の条件を満たす者のみが請求できます。

  • ①被相続人の親族であること
  • ②療養看護やその他の労務の提供をしたこと
  • ③が被相続人の財産の維持または増加につながっていること
  • ④被相続人への療養看護等が無償であること

これらの条件のうち、②の「療養看護やその他の労務の提供」とは、介護等をしていたことだけでなく、被相続人の事業を手伝って、利益を生み出すことに貢献した等の行為も含まれます。また、労務の提供だけが特別寄与料の対象となるため、被相続人が介護サービスを受けるためにお金を支払っていた等の貢献は対象とされません。

特別寄与料を主張できる人

特別寄与料を請求できる「親族」とは、6親等内の血族、または3親等内の姻族に限られます。ここで、養子であっても血のつながった子と同様の扱いを受けられます。また、息子の配偶者等も含まれます。

ただし、相続放棄や相続欠格、相続人の廃除によって遺産を相続する資格を失った者は、特別寄与料を請求できる親族に含まれません。

内縁の妻(夫)やパートナーでも認められる?

内縁の妻(夫)や同性のパートナーには、特別寄与料を請求することは認められません。なぜなら、法律的に婚姻関係があるわけではないためです。

そのため、どれほど親しかったとしても相続人にはなれず、特別寄与料を請求できる一定範囲の親族(相続人の6親等内の血族、3親等内の姻族)にも該当しません。

なお、被相続人と内縁の妻の間に子(非嫡出子)がいる場合、被相続人が認知をしていれば法律上の親子関係が成立しているため、その子は相続人になることができます。

特別寄与料の計算方法・相場

特別寄与料の支払いについては、一次的には当事者間の協議により定められることになります。

特別寄与料の計算方法は、どのような「特別の寄与」をしたのかによって異なります。
最も典型的な類型である「療養看護型」であれば、一般的に以下の計算式を用います。

特別寄与料=付添介護人の日当額×療養看護日数×裁量的割合

例えば、日当額が6000円、看護日数が年200日、裁量割合が0.6の場合には、特別寄与料は以下のとおりです。

特別寄与料=6000円×200×0.6=72万円

ただし、寄与の時期や方法、程度、遺言内容等を考慮して、特別寄与料は変動します。
寄与分の計算方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

特別寄与料に上限額はあるのか?

特別寄与料は、被相続人の遺産の総額を上回ることができません。さらに、被相続人が遺言書を書いており、遺贈を行っていた場合には、遺産から遺贈された金額を差し引いた残りの金額を上回ることができません。

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特別寄与料を請求する方法

特別寄与料を請求する方法として、以下のものが挙げられます。

  • ①遺産を相続する相続人と直接交渉する
  • ②家庭裁判所に「特別の寄与に関する処分調停」を申し立てる
  • ③調停が不成立となった場合は審判へ移行してもらう

上記の流れで特別寄与料を請求するときに、相続人の全員が快く支払ってくれない場合には、特別な寄与を証明するための証拠(介護日誌、領収書、被相続人との連絡の記録、被相続人と撮影した写真等)が必要です。

特別寄与料の金額が大きくなれば、相続人の取り分が減ることになるため、対立が生じやすいと考えられます。相続人全員を説得できなければ、特別寄与料を満額受け取ることはできないので、なるべく多くの証拠を用意して説得材料にしましょう。

寄与分の存在を証明するための証拠について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

特別寄与料の請求に時効はあるのか?

特別寄与料は、請求できる期間が以下の時期に限定されているので注意しましょう。

  • 特別寄与者が相続開始及び相続人を知った時から6か月または相続開始の時から1年
  • 令和元年7月1日以降に発生した相続に適用される

相続の開始が令和元年7月1日以降であれば、それ以前の介護等の行為について適用されます。

相続人がいない場合の特別寄与料

特別寄与料を請求する相手は相続人であるため、相続人がいないと特別寄与料を請求できませんが、特別縁故者と認められれば遺産を受け取ることができます。

特別縁故者とは、被相続人と特に親しい関係だった者を指し、以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 被相続人と生計を同じくしていた者
  • 被相続人の療養看護につとめた者
  • その他特別密接な関係にあった者

特別寄与料の相続税について

特別寄与料は、相続税を計算するときには「被相続人からの遺贈」とみなされます。そのため、被相続人の遺産が相続税の基礎控除を上回る金額であった場合には、特別寄与料を受け取った者についても相続税を納める必要があります。さらに、特別寄与料を受け取った者は、基本的に相続税を2割増しで支払わなければなりません。

相続税の申告期限は、特別寄与料の金額が決まってから10か月以内です。

なお、特別寄与料を支払った相続人が納める相続税は、課税対象となる遺産の金額から、特別寄与料の金額を差し引いて計算します。

被相続人が生前にできる対策は?

被相続人が相続人以外にも遺産を与えたいと考えている場合には、当事者に特別寄与料を請求させるよりも、被相続人が生前に対策を行っておいたほうがよいでしょう。なぜなら、特別寄与料の主張は相続人との協議になるため揉めやすく、主張が通らないおそれがあるからです。

なお、特別寄与料や寄与分は遺言で指定できないため、以下に挙げる4つの対策を検討すると良いでしょう。

  • 遺贈をする
  • 養子縁組をする
  • 生前贈与をする
  • 生命保険金の受取人にする

これらの対策について、以下で解説します。

遺贈をする

遺贈とは、遺言によって誰かに遺産を与えることです。遺贈であれば、相続人以外の者にも遺産を与えることができます。
遺贈をしたい場合には、「寄与した分の遺産を与える」といった書き方はせずに、遺産そのものや遺産の割合を指定すると良いでしょう。

ただし、遺言で指定した内容がすべて認められるわけではありません。相続人に最低限残さなければならない遺産(遺留分)を侵害している場合には、遺贈の金額が減らされるおそれもありますので注意しましょう。

遺贈について、詳しい内容は以下の記事をご覧ください。

養子縁組をする

相続人以外の者と被相続人が養子縁組をすれば、法律上の親子関係が成立するため、養子は相続人として寄与分を主張することもできるようになります。

また、養子には、実子(血縁関係のある子)と同じ相続分が認められます。しかし、実子がいる場合には、養子縁組によって相続人が増えると、実子の遺産の取り分が減ってしまうので、実子と養子の間でトラブルが発生するおそれがあります。

そのため、被相続人が生きているうちに、実子に対して養子縁組することの説明をした方が良いでしょう。

生前贈与をする

生前贈与とは、自身の財産を、生きているうちに特定の者に対して贈与することです。
生前贈与は、年間110万円までであれば非課税となる枠が設けられています。その範囲内であれば、生前贈与を行っても贈与税がかかることは基本的にありません。そこで、毎年110万円以内の生前贈与を行えば、税負担なく「遺産の前渡し」が可能となります。

ただし、生前贈与したお金を、贈与を受けた者が自由に使えない状況が継続すると、「実質的には遺産の名義を変えただけ」とみなされて生前贈与が認められず、相続税の負担が生じるおそれがあるので注意しましょう。

生命保険の受取人にする

被相続人が加入する生命保険で、貢献してくれた人を受取人にすることにより、相続人でない者に保険金を受け取らせることができます。

生命保険金は受取人固有の財産なので、基本的には他の相続人に分配する必要がありません。ただし、遺産がわずかであり、生命保険金が巨額である場合には、分配する必要が生じることもあります。

また、生命保険金は相続税を支払う必要があるとされています。しかも、この方法では生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は利用できないので注意しましょう。

相続人以外の寄与分が認められた裁判例

民法改正前に、「相続人の配偶者の寄与」が、相続人の寄与分として考慮された審判例をご紹介します。

神戸家庭裁判所豊岡支部 平成4年12月28日審判

[事案の概要]
この事案では、被相続人の持病が悪化したため、被相続人の子3人のうちの1人である相続人(「相続人X」とします)に扶養されていました。そして、被相続人の付添介護は相続人Xの妻がもっぱら行っていました。

[裁判所の判断]
裁判所は、相続人Xの妻が被相続人に対して行っていた介護の状況について、「親族間の通常の扶助の範囲を超えるものがある」とし、これを理由に「被相続人は、療養費の負担を免れ、遺産を維持することができたと考えられるから、遺産の維持に特別の寄与貢献があったものと評価するのが相当である」と判断しました。

そして、相続人Xの妻の被相続人に対する看護は、相続人Xと協力してなされたものであるから、相続人Xの寄与分として考慮すべきであるとして、相続人Xの妻が行った寄与を、相続人Xの寄与分として考慮することを認めました。

相続人以外の寄与分でトラブルにならないよう、弁護士が最善のアドバイスをいたします

特別寄与料を認めてもらうのは、従来の寄与分と同様に簡単ではありません。
認めてもらうためには、被相続人の財産の維持・増加に対してどのような貢献をしてきたのか、貢献した内容が要件を満たしているかを適切に立証し、主張しなければなりません。主張をしても相続人全員の合意が得られなければ、調停や審判に至ってしまうこともあります。

そこで、弁護士に相談していただければ、寄与した方自身がどのような状況であれば寄与行為として認めてもらいやすいのか、特別寄与料を主張するための証拠の残し方等についてアドバイスをすることができます。

また、特別寄与料に期待するのではなく、被相続人に生前の対策をしてもらうことも検討するべきでしょう。例えば、遺言書を作成してもらって遺贈を受けることや、養子縁組をして相続人になることが考えられます。これらについてのアドバイスも、弁護士であれば可能です。

被相続人に寄与した方で、ご自身が相続人ではないためにお困りの場合には、まずは弁護士にご相談ください。