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相続人以外でも遺産が欲しい…寄与分を認めて貰うことはできる?

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寄与分は、相続人以外でも受け取れるよう考慮することはできる

相続人間の公平性を図るため、生前に被相続人(亡くなった人)の財産の維持・増加に特別の貢献をした相続人には、寄与分として、遺産を多く受け取ることができるようにしよう、という制度があります。寄与分を受け取ることができるのは、基本的には相続人のみですが、相続人以外の者が寄与した場合でも、寄与分を受け取ることができるように考慮してもらえることがあります。

基本的に受け取れるのは相続人のみ

寄与分が認められるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。その要件の一つに、「相続人であること」という項目があります。寄与分は、相続人間の公平性を図るためにある制度なので、特別の貢献をした人は、遺産を受け取ることができる相続人である必要があります。 寄与分の要件について、詳しい内容は下記の記事をご覧ください。

寄与分請求の要件

相続人の寄与分として主張することができる

寄与分を受け取ることができるのは、基本的には相続人のみです。しかし、相続人の配偶者や子が寄与した場合、その相続人の寄与分として考慮してもらえることがあります。これは、相続人の配偶者や子は履行補助者であり、相続人の代わりに相続人の配偶者や子が寄与したとして、履行補助者の行為を相続人の行為と同視できる、と考えられるためです。したがって、相続人の配偶者と子は、相続人ではないため、自身の寄与分を主張することはできませんが、相続人が、相続人の配偶者と子の寄与を、相続人の寄与分として主張することができます。

相続人以外の寄与分が認められた判例

相続人の配偶者の寄与が、相続人の寄与分として考慮された判例をご紹介します。

神戸家庭裁判所豊岡支部 昭和62年(家)第224号 遺産分割申立事件

この事案では、被相続人は、高血圧と心臓病が悪化したことから、被相続人の子3人のうちの1人である相続人(「相続人X」とします。)に扶養されていました。その後、被相続人は、老衰も加わって寝たきりの状態になり、自宅療養し、相続人Xの妻が専ら付添看護を行っていました。そして、被相続人の病状の進行に伴い、相続人Xの妻が行っていた付添看護の負担は増大し、慢性的な睡眠不足となり、被相続人の死後、長期間の看病疲れから自律神経失調症を患ったほどでした。 裁判所は、このような相続人Xの妻が被相続人に対して行っていた介護の状況について、「親族間の通常の扶助の範囲を超えるものがある」とし、これを理由に、「被相続人は、療養費の負担を免れ、遺産を維持することができたと考えられるから、遺産の維持に特別の寄与貢献があったものと評価するのが相当である」と判断しました。そして、「相続人Xの妻の被相続人に対する看護は、相続人Xの妻として、相続人Xと協力しあい、相続人Xの補助者または代行者としてなされたものであるから、相続人Xの寄与分として考慮すべきである」と、相続人Xの妻が行った寄与を、相続人Xの寄与分として考慮することを認めました。

内縁の妻(夫)やパートナーでも認められる?

内縁の妻(夫)や同性のパートナーは、法律的に婚姻関係があるわけではないため、相続人にはなれません。そのため、被相続人の内縁の妻(夫)や同性のパートナーが寄与していたとしても、寄与分は主張できません。なお、被相続人と内縁の妻の間に子(非嫡出子)がいる場合、被相続人が認知をしていれば、法律上の親子関係が成立しているため、その子は相続人になることができ、寄与分を主張することができます。

そもそも相続人がいない場合

内縁の妻(夫)や同性のパートナーは相続人にはなれないため、寄与分を主張することも、遺産を相続することもできません。しかし、被相続人にそもそも相続人がいない場合、特別縁故者と認められれば、寄与分としてではありませんが、遺産の全部または一部を受け取ることができます。 特別縁故者と認められるためには、まず、相続財産管理人(財産を管理・処分・精算する人で、弁護士や司法書士等が選ばれることが多いです。)が相続人を捜索したものの不在であると確定してから、3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。そして、「被相続人と生計を同じくしていた者」「被相続人の療養看護に努めた者」「その他被相続人と特別の縁故があった者」という法律上の条件に基づき、特別縁故者と認められるかどうか、判断されることになります。

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被相続人が生前にできる対策は?

これまで、相続人以外の者が寄与した場合の寄与分について説明してきましたが、遺言書がない等、被相続人が生前に遺産について何も定めていなかった場合を前提にしていました。相続人以外の者が寄与してくれたことに対して考慮したい、つまり、相続人以外の者にも遺産を与えたいと被相続人が考えている場合に、被相続人が生前にできる対策としては、「遺贈をする(遺言によって遺産を与える)」や、「養子縁組をして相続人とする」といったものがあります。

遺贈をする

遺贈とは、遺言によって行う財産処分のことで、相続人以外の者にも遺産を与えることができます。 “寄与した分の遺産を与える”というよりは、“遺産そのものや遺産の割合を指定して与える”といった内容で遺贈する方が、確実に相続人以外の者に対して遺産を与えることができるでしょう。 なお、必ずしも遺言で指定した内容のすべてが認められるわけではありません。相続人の遺留分(相続人に最低限残さなければならない遺産)を侵害している場合には、遺贈の金額が制限される可能性もありますので、ご注意ください。 遺贈について、詳しい内容は下記の記事をご覧ください。

遺贈について

養子縁組をする

相続人以外の者と被相続人が養子縁組をすれば、法律上の親子関係が成立するため、その者(養子)は相続人になることができ、寄与分を主張することもできるようになります。また、養子には、実子(血縁関係のある子)と同じ相続分が認められます。そのため、実子がいる場合、養子縁組をして相続人が増えることで、実子が受け取ることができる遺産が減ってしまうので、遺産分割協議においてもめてしまう可能性があります。実子がいる場合に養子縁組をする際には、被相続人がきちんと実子に説明をした方が良いでしょう。

被相続人の死後、相続人に対して主張する方法は?

先に述べたとおり、相続人の配偶者や子が寄与した場合、相続人の寄与分として考慮してもらえることがあります。しかし、相続人がすでに亡くなっており、子がいない場合は、子が代襲相続(親の相続分を受け継ぐ)をすることはありませんし、相続人の寄与分として考慮してもらえることもありませんので、すでに亡くなっている相続人の配偶者にとっては、とても不公平に思えます。 被相続人が、遺贈や養子縁組といった生前にできる対策をしていれば、すでに亡くなっている相続人の配偶者も遺産を受け取ることができます。では、被相続人が生前にできる対策をしていなかった場合、相続人以外の者の寄与分を、他の相続人に対して主張する方法はあるのでしょうか。 基本的に、寄与分を主張することができるのは相続人のみです。しかし、寄与した者が相続人以外の者であるため、寄与分を主張できない場合でも、別の方法で請求できる可能性があります。請求できる可能性のある方法は、以下のとおりです。

  • ・不当利得の返還請求
  • ・看護契約による報酬請求
  • ・特別寄与料の請求(2019年7月1日施行予定)

生前から準備をすることで相続人以外の方への遺産分割がスムーズになります

寄与分が認められるためには、被相続人の財産の維持・増加に対してどのような貢献をしてきたのか、貢献した内容は要件を満たしているのかを適切に立証し、主張する必要があります。また、相続人全員の合意が得られない場合、調停や審判にまで至ってしまうこともあります。このように、認めてもらうことが難しい寄与分ですが、基本的には、相続人のみが寄与分を受け取ることができます。そのため、相続人以外の者の寄与分を認めてもらうことは、さらに難しいでしょう。 そこで、遺贈や養子縁組といった、被相続人が生前にできる対策をすることで、相続人以外の者が遺産を受け取ることができるようになり、遺産分割についての争いの長期化を防ぐことにも繋げることができます。 しかし、個別の事情によって、どのような内容の遺言書を作成すべきかは異なり、不備があると無効になるおそれもあります。また、そもそも生前にできる対策がわからない方も、多くいらっしゃるかと思います。そこで、弁護士に相談・依頼することで、遺贈や養子縁組の手続を代わりに行ってもらうことや、生前にできる対策についてアドバイスをしてもらうことができます。寄与してくれている者に対して遺産を与えたいと考えているものの、相続人以外の者の寄与であるため、ご不安や疑問を抱かれている場合には、ぜひ弁護士に相談・依頼することをご検討ください。 また、弁護士に相談することで、寄与した方自身について、どのような状況であれば寄与分を認めてもらいやすいのか、寄与分を主張するための証拠の残し方等に対しアドバイスをしてもらうこともできます。寄与した方で、ご自身が相続人ではないためにお困りの場合にも、まずは弁護士にご相談ください。