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弁護士と学ぶ相続Q&A
相談者
父が亡くなってしまいました。相続税が変わったと聞いたのですが・・・。
弁護士
相続税法が変更され、平成27年1月1日以降に亡くなられた方には、新しい相続税法が適用されます。
相談者
新しい相続税法は、どの点が変わったのでしょうか。
弁護士
大きく言うと、違うところは4つです。
①遺産にかかる基礎控除額
②税率
③税額控除の控除額
④小規模宅地の特例が適用される宅地の条件
です。
相談者
私に何か関係するものがあるでしょうか
弁護士
相続税の計算は、相続税の課税価格(原則として、相続によって各相続人が取得した財産の総額)を求めます。次に、各相続人の課税価格を全て足し合わせたものから、基礎控除額を引くのです。
この基礎控除額が、以前は「5000万円+1000万円×法定相続人の数」だったのですが、今年からは「3000万円+600万円×法定相続人の数」と変わりました。
相談者
うちの家族は、母と私と弟だけです。父の残した財産は、家・土地や預貯金等を合わせて、6000万円ぐらいかと思います。負債は特にないようです。
弁護士
お母様も弟さんもあなたも法定相続人です。
不動産の課税価格としての評価を考慮せずに、単純に6000万円の相続財産を前提とすると、6000万円-(3000万円+600万円×3)=1200万円が課税価格となります。
また、課税価格の合計額が基礎控除額を上回ると、相続税の申告書を提出しなければいけません。期限は、相続があったことを知った日の翌日から起算して10か月です。この期限内に、相続税の申告と納付を両方行う必要があります。
相談者
わかりました。バタバタしていますが、忘れないようにしないといけませんね。
弁護士
そうですね。申告すべき時までに申告しないと、無申告加算税といって、追加の税が課されてしまいます。申告したけれども納付しないときには、延滞税が課されます。
相談者
追加で課されるのですか!わからないからと放っておいて、大変なことになるところでした。
弁護士
また、土地については、申告をしておくことによって、小規模宅地の特例という、土地評価を50~80%減額する制度を利用できる可能性があります(面積等いくつか条件があります。今回の法改正ではこの条件も変わりました。)。
その結果、課税価格が基礎控除額を下回り、納付すべき税額が0円になることもあります。特例の適用を受けるためには、申告することが必要ですので、その点でも、申告はとても重要ですね。
相談者
ところで、課税価格が1200万円だとすると、相続税はどのぐらいかかるのでしょうか。
弁護士
まず、課税価格を、各相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定して各取得額を求め、各取得額に税率を掛け算します。
法定相続分は、お母様が1/2、あなたと弟さんがそれぞれ1/4ずつです。そのため、あなたは1200万円×1/4=300万円を取得したものと仮定して、税率を掛けます。
相談者
この税率も変わったのですよね?
弁護士
そうです。相続人の取得額が2億円より多く3億円以下の場合の税率が40%から45%になり、6億円超の場合の税率が50%から55%に変わりました。その金額以下であれば税率の変更はありません。取得額が1000万円以下であれば、適用される税率は10%ですから、取得額300万円の場合は30万円です。
相談者
ということは、私は相続税として30万円を納めればいいのですか?
弁護士
いいえ。最後に、全員の取得額を足し合わせて、相続税額の総額を決めます。
その後、実際に財産が相続人間でどのように分けられたのかに応じて、各相続人の負担すべき相続税額が決まるのです。法定相続分どおりに遺産が分けられるとは限りませんからね。
相談者
なるほど。まだ父は亡くなったばかりですから、遺産分割協議も何もできていません。
弁護士
すると、まだ誰が何円の相続税を支払わないといけないのかは具体的にはわかりません。ただし、小規模宅地の点をおいておくと、あなたの30万円と弟さんの30万円とお母様の60万円とを合算した120万円が相続税の総額です。
相談者
仮に誰かに全部の財産を渡すような遺産分割にすると、最大で120万円の相続税がかかるということですか?
弁護士
お母様が受け取る場合には、さらに1億6000万円までの配偶者控除がありますので、結局納付すべき税額が0になる可能性もあります。
相談者
相続税法のほかの変更点で、私に関係するところはありますか?
弁護士
相続人の方に未成年者や障害者の方がおられる場合には一定の税額控除が受けられます。
遺贈や贈与があるともう少し複雑になりますし、わからないときは弁護士にご相談くださいね。
相続Q&Aは、具体的な案件についての法的助言を行うものではなく、一般的な情報提供を目的とするものです。
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