相続に強い法律事務所へ弁護士相談|弁護士法人ALG

メール相談受付

お電話でのご相談受付全国対応

0120-979-039

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

来所法律相談
30無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

財産管理型の寄与分とは | 必要な要件

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

まずは専任の受付スタッフが丁寧にお話をお伺いいたします

メールお問い合わせ

来所法律相談30分無料・24時間予約受付・年中無休・通話無料

※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

専任の受付スタッフが丁寧に承ります

来所法律相談30分無料・通話無料24時間予約受付・年中無休

今すぐ電話相談

メールお問い合わせ

※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

財産管理型の寄与分とはどんなもの?

財産管理型の寄与分とは、相続人が被相続人の財産を管理することで管理費用の支出を免れる等、被相続人の財産の維持・増加に貢献した場合に認められる寄与分のことをいいます。平易な言い方をすると、被相続人の財産を管理することによって財産の維持形成に寄与した場合です。 寄与分が認められる類型の一つで、要件や寄与分の計算方法が他の類型(金銭出資型、療養看護型、家事従事型、扶養型)と異なります。財産管理型の寄与分の特徴は、相続人が被相続人の財産の管理等を行ったことにより被相続人の財産が維持・増加したといえるか、当該について必要性があったのか、無償性、継続性があったといえるのかがポイントになります。 以下、財産管理型の寄与分について詳しく解説します。

財産管理型の寄与分の具体例

相続人が以下のような貢献をした場合に、財産管理型の寄与分が認められる可能性があります。

  • ・被相続人所有の賃貸不動産の管理をした場合
  • ・被相続人所有の土地を売却するにあたり、売買契約の締結や占有者の立退き交渉をした場合
  • ・被相続人所有の不動産の公租公課(例:固定資産税、火災保険料)を負担した場合

財産管理型の寄与分を認めてもらう要件

寄与分が認められるための基本的な要件は、

  • ・共同相続人であること
  • ・特別の寄与(被相続人と相続人の身分関係から通常期待されるような程度を超える貢献)があること
  • ・被相続人の財産が維持・増加していること
  • ・特別の寄与と被相続人の財産が維持・増加していることに因果関係があること としています。

寄与分の要件については、以下のリンクページにて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

その他財産管理型で必要な要件

財産管理型の寄与分の場合、上記に加えて

  • ・財産管理の必要性があること
  • ・特別の寄与行為に、無償性、継続性があること

を要件としています。 先にあげた賃貸不動産の管理を例に説明すると、管理会社等に依頼して管理している場合や、相続人が管理するにあたって報酬を受けている場合、管理期間が短期間である場合等には、要件を満たしていないことになり、寄与分は認められないということになります。

被相続人の自宅の掃除等は寄与分となるか?

被相続人の自宅の掃除が、特別の寄与にあたるかについて考えてみましょう。被相続人と相続人の関係性は多くの場合親と子であり、扶養義務があるため、子が親の自宅を掃除することが「被相続人と相続人の身分関係から通常期待されるような程度を超える貢献」にあたる行為とは認められにくいといえます。 寄与分が認められるのは、被相続人の財産を専門業者等に管理してもらう必要があるにもかかわらず、相続人が無償で、長期間管理している場合に限られます。 では、具体的にどのような場合に寄与分が認められるのか、裁判例をみてみましょう。

財産管理型の寄与分が認められた裁判例

【長崎家庭裁判所諫早出張所 昭和62年9月1日審判】

相続人Aが被相続人の遺産について適正な分割を求めた申立てにおいて、相続人Bが寄与分を定めることを求めた事案です。 相続人Bは、被相続人所有の土地を解体更地とするため、借家人の立退き交渉や建物の解体および滅失登記手続を行い、被相続人の売却依頼に基づき、当該土地の買手を探して売買契約を締結しました。なお、契約の際、相続人Bは隣接地権者との交渉を重ね、公簿面積ではなく実測面積にて売却することで売買面積を増加させたことも主張しています。 裁判所は、売買面積の増加は、土地自体が有する経済的価値が顕現したものにすぎないものの、土地売却にあたり、相続人Bが借家人の立退き交渉や建物の解体および滅失登記手続、売買契約の締結等に努力した事実につき、売却価格の増加に対する寄与はあると認めました 最終的に、寄与の程度については不動産仲介手数料基準をも考慮され、相続人Bには300万円の寄与分が認められました。

財産管理型の寄与分が認められなかった裁判例

【大阪家庭裁判所 平成13年12月25日審判】

遺産分割において、相続人Cが寄与分を定めることを求めた事案です。 相続人Cは、被相続人所有の不動産について、賃料の管理、賃貸物件の修理、賃借人からの苦情の処理、賃料の督促、賃貸契約の交渉等の管理を行い、被相続人の遺産の維持に寄与したと主張しています。 裁判所は、賃貸物件の管理を行っていたのが相続人Cだけではなかったこと、賃料はほとんど口座振り込みであり、賃貸契約の業務は業者に任せていたこと、管理を手伝っていた相続人Cの妻は被相続人Cから給料として毎月5万円を受領していたこと、賃貸物件を管理している期間、相続人Cの家族の生活費が賃貸物件からの収入や被相続人の預金口座から支出されていた、つまり賃料から利益を得ていたと推認できること等をふまえ、賃貸物件の管理に対する報酬を得ていたと判断し、相続人Cの寄与を認めませんでした

被相続人の成年後見人だった場合の寄与分

被相続人が認知症、精神障害等により判断能力がなくなってしまった場合には、成年後見制度が適用され、成年後見人が被相続人の代わりに被相続人の預貯金や不動産といった財産の管理等を行うことになります。成年後見人には、親族のほか、法律・福祉の専門家、法人等が選ばれる可能性がありますが、寄与分が認められるのは相続人に限られています。したがって、相続人が被相続人の成年後見人として財産の管理をしていた場合には、寄与分が認められる可能性がないとはいえません。 ただし、相続人が後見人報酬を受領せず、遺産分割協議にてその他の相続人全員から同意を得られる場合等に限られるばかりか、そもそも公的な職務として財産管理をしたことが特別の寄与にあたるのかどうかという懸念もあり、実際に認められるのは難しいといえるでしょう。

後見人報酬をもらっていた場合に寄与分は認められる?

後見人報酬とは、家庭裁判所に申し立てた場合に、審判により認められた金額を、被後見人本人の財産の中から受領するものをいいます。通常の後見事務を行ったことに対する基本報酬のほか、特別の寄与に対する付加報酬が、家庭裁判所の裁量により認められることもあります。 相続人である親族が後見人となる場合には、申立てをしない、つまり無報酬となる場合が多いですが、親族でも申立てをすれば、後見人報酬を受領することが可能です。しかし、その場合には「特別の寄与行為に無償性があること」という要件を欠くことになるうえに、特別の寄与行為に対しては付加報酬を受領することになるため、遺産分割において寄与分が認められることは難しいでしょう。 しかし、報酬が低額であると主張する場合には、遺産分割協議にてその他の相続人全員から同意を得ることができれば、不足分を請求できる可能性はあるでしょう。

財産管理型はどのように評価される?

財産管理型の寄与分は、基本的に、財産管理を第三者に委託した場合の報酬額を基準に算出します。 具体的には、賃貸不動産の管理や修繕、土地占有者の立退き交渉、売買契約の締結等を専門業者に委託した場合にかかる標準的な報酬額を基準に、個々の事案に応じて裁量的割合を掛けて、最終的な寄与分を算出することになります。 寄与分の計算方法については、以下のリンクページにて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

不動産の修繕に掛かった費用だけでも取り返したい

財産管理型の寄与分の算出には、財産管理を第三者に委託した場合の報酬額を基準とする旨を説明しましたが、相続人が被相続人所有の不動産の修繕費や公租公課を負担した等の場合には、実際に負担した金額を基準とすることもあります。賃貸不動産の管理をした等の行為を金銭換算することは難しいですが、実費として掛かった分の主張については、それを立証することができれば、比較的請求しやすいといえます。ただし、修繕費の全額が認定されるかは別であるため、きちんと主張・立証する必要があります。

財産管理型の寄与分はどう主張すれば良い?

寄与分は、寄与分を主張する相続人自ら主張・立証する必要があります。遺産分割協議で認められない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをしたうえで、寄与分を定める処分調停の申立てをすることになります。

主張するために必要なポイント

財産管理型の特別の寄与行為について、寄与分を主張するために特に重要なポイントは、「本来専門の業者に委託する必要がある被相続人の財産を、相続人が無報酬で管理したことにより、被相続人の財産の維持・増加に貢献している」ということを証明できるかどうかであり、そのために日頃から証拠となる書類、記録を残してしておかなければなりません。

財産管理型の寄与分主張に有効な証拠は?

例えば、①被相続人所有の賃貸不動産の管理をしたのであれば賃貸借契約書、口座管理の記録、賃借人とのやり取りに関する記録、②被相続人所有の土地を売却したのであれば売買契約書、交渉記録というように、財産管理の内容とその結果を示す資料を用意する必要があります。 また、③被相続人所有の不動産の修繕費や公租公課等を負担した場合には、修繕前後の写真、預貯金通帳のコピーやカード決済の記録、領収書等、財産の推移を示す資料を用意する必要があります。

弁護士への依頼で寄与分の話し合いがスムーズにいく場合があります

利害関係のある相続人間で行う遺産分割協議の場で、特定の相続人に多めの相続分が認められるのは難しいことです。協議が進まなかったり、調停・審判に発展したりして問題が長期化することや、結局泣き寝入りするようなことにもなりかねません。精神的な負担はもとより、問題が長期化することで相続財産の取得時期も遅くなり、経済的な負担を強いられることもあります。

弁護士に依頼することで、ご依頼者様の寄与分を正当に評価し、的確な寄与分の主張ができるため、スムーズな問題解決が期待できます。

こんな場合は寄与分になる?

それでは、以下のような場合には寄与分が認められるのか、いくつか例をあげて解説したいと思います。

母が介護施設に入っていた間、実家の掃除等を定期的に行っていた

<2-2 被相続人の自宅の掃除等は寄与分となるか?>でも説明したように、親子間には扶養義務があるため、子が実家の掃除をすることが「被相続人と相続人の身分関係から通常期待されるような程度を超える貢献」にあたる行為とは認められにくいと考えられます。寄与分が認められるためには、専門業者等に委託しなければならない必要性や、当該寄与行為が、専門業者等が行う作業と同等の水準のものである必要があるでしょう。

したがって、単に掃除をしていたことをもって寄与分が認められることは難しいでしょう。

認知症の父の後見人となり、財産を増やすことが出来た

後見人として被後見人の財産を増やしたことが特別の寄与行為として認められるかどうかは、遺産分割協議にて他の相続人全員の同意が得られるかどうかがポイントとなるでしょう。 ただし、後見人報酬を受けていた場合には、<3-1 後見人報酬をもらっていた場合に寄与分は認められる?>でも説明したように、「無償性」の要件を欠くこととなるため、寄与分は認められにくいでしょう。また、家庭裁判所は特別の寄与行為を勘案した付加報酬を含めて最終的な後見人報酬額を算定しているため、相続人が、増やした財産に対して報酬が少ないと感じている場合でも、他の相続人全員の同意が得られる場合を除き、寄与分が認められることはありません。 したがって、この場合も、基本的に寄与分が認められることは難しいでしょう。

父の資産を株取引で倍増させた

被相続人にあたる父の財産を資金として株取引をした場合、本事例では結果として財産が倍増していますが、財産を損失していたおそれもあります。相続人が損失に対して責任を負うことなく、利益に対してのみ寄与分が認められるようなことがあれば、相続人間で公平さを欠きます(大阪家庭裁判所 平成19年2月26日審判参照)。 したがって、株取引のような資産運用をして財産を増加させた場合においても、基本的に寄与分は認められないでしょう。

被相続人の所有するマンションの一室に住みながら、管理人としてマンションの修繕等を行った

相続人が無報酬で被相続人の所有するマンションの管理をしていたことが要件となりますが、その場合でも、マンションの一室を無償で借りていたのであれば注意が必要です。なぜなら相続人は、管理人の仕事に対しての報酬はないものの、賃料を払わずに居住地を確保できている点において、被相続人の財産(マンション)から利益を受けていると考えることができるからです。 したがって、マンションの一室を無償で借りていた場合には、寄与分が認められたとしても、マンションの賃料に相当する金額を控除されることがあります。

これまで尽くした分を寄与分として請求するために、弁護士へご相談ください

寄与分は、自身の行為が「特別の寄与」にあたるのかどうか、さらにはどの類型に当てはまるのか、要件と照らし合わせたうえで有効な証拠を収集する等して、ポイントを押さえて主張していく必要があります。これだけでも大変な作業ではありますが、寄与分を主張する相手方は今後もかかわっていく親族であることが多いため、心労も大きいことと思います。 弁護士は、ご依頼者様のお悩みに対し適切なアドバイスをし、問題解決に導くために尽力します。これまでの貢献に対し適切な評価を受けるためにも、ぜひ弁護士にご相談ください。