相続に強い法律事務所へ弁護士相談|弁護士法人ALG

メール相談受付

お電話でのご相談受付全国対応

0120-979-039

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

来所法律相談
30無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

葬儀後に被相続人の借金が発覚した場合、相続放棄は出来るのか?

遺産相続コラム

父の葬儀が済んだ後に内容証明郵便が届いた…

先日父が亡くなりました。 父は母に先立たれており、私には弟がいるだけですので、父の相続人は私と弟、ということになると思います。 父とは離れて暮らしており、父の生活がどのようなものであったかは、正直なところ、全く分からない状態でした。 父が危篤との連絡を病院から受け、急いで父の下に駆け付けましたが、最期には残念ながら間に合うことができませんでした。 父が亡くなった後、弟と二人で遺品の整理をしたところ、父が遺していたのは、わずか30万円の貯金だけであることが分かりました。 兄弟でこの貯金について揉めるのもいかがなものかと思ったので、30万円については、父のささやかな葬儀に使い、父を先祖の墓に埋葬することにしました。 父の葬儀がすんでから半年ほどたったタイミングで、私のところに内容証明郵便が届きました。その内容によると、父は1000万円の借金をその人物からしており、その返済を父が亡くなったので私と弟にしてほしい、という内容でした。 我々としては正直、寝耳に水な話であり、非常に戸惑いました。 我々が父の遺品整理をした際に、契約書や借用書はありませんでしたし、そのような話も父から聞いたことがなかったので、父がまさか借金をしているとは思いませんでした。 その後、その人物と連絡を取り、事情を説明したのですが、その人物が言うには、「父親の借金に間違いない。あなた達はお父さんの財産を使って葬儀を行ったのだから、相続放棄もできないので早く1000万円を支払ってほしい。」の一点張りでした。 実際に契約書の写真も見ましたが、残念ながらそこに押されていたのは間違いなく父の印鑑であり、署名も父の字で間違いありませんでした。 私たちは、このような場合でも父の借金について相続しなければならず、支払う義務を負ってしまうのでしょうか。

相続放棄について

法的問題1.被相続人の財産処分について

ご質問の要点としては、このようなケースでも相続放棄をすることができるか、ということですね。大きく分けて、今回のご質問には二つの法的問題が含まれています。 一つ目はそもそもお父様の葬儀をお父様の遺した預貯金を使って行ってしまっている点です。 基本的に、被相続人の財産を「処分」することは、民法921条1号が規定する単純承認事由になってしまいます。そして、単純承認を行えば、それに反する相続放棄は当然にできない、ということになるでしょう。 もっとも、今回のような場合に当然に単純承認になるかというとそうではありません。(ただし、ケースバイケースですので、この場で確実にあなたの場合は大丈夫です、とも、残念ながら支払う必要があります、ともいえません。申し訳ありません。) この点、大阪高等裁判所平成14年7月3日決定は被相続人の死後被相続人名義の預金を解約し墓石購入費に充てた行為が、民法921条1号の「相続財産の処分」に当たるとして、相続放棄の申述を却下した審判に対する抗告事件において、預貯金等の被相続人の財産が残された場合で、相続債務があることが分からないまま、遺族がこれを利用して仏壇や墓石を購入することは自然な行動であり、また、本件において購入した仏壇及び墓石が社会的にみて不相当に高額のものとも断定できない上、それらの購入費用の不足分を遺族が自己負担していることなどからすると、「相続財産の処分」に当たるとは断定できない、としています。 今回の事例に即して言えば、30万円の預貯金を使用したことが「社会的に見て不相当に高額」とは断定されにくいのではないか、と思います。そのため、あなたの場合、この点において相続放棄ができない、という可能性は低いのではないでしょうか。 もっとも、この金額が、お父様が高額の財産を遺されており、それに伴って葬儀費用も不必要に高額な場合であったりするような場合については、やはり、「相続財産の処分」に該当するものとして、単純承認をあなたと弟さんが行ったことになり、その後の相続放棄については認められなくなる可能性が高くなるでしょう。

単純承認について

法的問題2.債権者からの請求が父の死後、半年経過している

次の問題点として、債権者から請求されているのがあなたのお父様の死後、半年が経過している点です。 法的安定性の観点から、相続放棄の申述については、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内でないとすることができない、と定められています(この期間を熟慮期間と言います。)。 あなたの場合、お父様が亡くなって半年後に相続放棄を行おうとしているのですから、ここでこの要件に反するのではないかが問題となりえます。 この点については、最高裁判所昭和59年4月27日判決が、熟慮期間は原則として相続人が相続開始の原因となった事実、及び自己が法律上の相続人となった事実を知った時から起算すべき、とした上で、3か月以内に相続放棄をしなかったのが、「被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があつて、相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認められるときには、相続人が前記の各事実を知つた時から熟慮期間を起算すべきであるとすることは相当でないものというべきであり、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべきものと解するのが相当」との判断をしています。 あなたについていうなら、お父さんとは離れて暮らしており、あまり連絡は取っていなかったこと、遺品整理の際に、お父様の借金を基礎づける資料は何も出てこなかったこと、を加味すれば、熟慮期間の起算点については、債権者の方から1000万円の債権の存在を知らされた当該内容証明があなたに届いた日を起算点とするとの判断になる可能性が高いといえます。 あなたについては、いずれも問題となりうる点についてはクリアできる可能性が高いことから、あなた・弟さんの相続放棄については認められる可能性が高いのではないでしょうか。 もっとも、上記したように、完全にケースバイケースの事案です。実際にこういった問題に直面してしまった際には、専門家である弁護士に相談し、より詳しい状況を話した上で、どうするべきか、あるいはどういった手段があるのかを相談して頂いた方が実践的なリーガルアドバイスをすることができると思います。

熟慮期間について