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相続放棄申述受理証明書とは?利用場面や必要書類などの基礎知識

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

相続放棄申述受理証明書は、相続放棄したことを証明するための書類です。相続放棄した人だけでなく、相続人等も請求できる書類です。 この記事では、相続放棄申述受理証明書の概要や取得方法等について解説します。

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相続放棄申述受理証明書とは

相続放棄申述受理証明書のイメージ

相続放棄申述受理証明書は、相続放棄が完了したことを証明する書類をいいます。 相続放棄を申し立てて、裁判所より相続放棄が受理された後で、家庭裁判所へ申請を行えば取得ができます。 ただし、相続放棄が受理されれば「相続放棄申述受理通知書」が申立人に自動的に発行されるようになっています。多くの手続きでは「相続放棄申述受理通知書」があればできるので、相続放棄申述受理証明書が必要となるのは「通知書」を紛失してしまった場合等に限られています。 ご自身が本当に「証明書」まで必要なケースにあたるのかどうかは、事前に確認をして申請手続きをとっても良いでしょう。 相続放棄の手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

相続放棄申述受理通知書との違い

相続放棄申述受理通知書のイメージ

相続放棄申述受理「通知書」は、相続放棄が無事に完了した事実を裁判所から知らせるための書類です。一方で、相続放棄申述受理「証明書」は、相続放棄したことを第三者に証明するために使用する書類です。 以前は、相続放棄申述受理通知書では相続登記ができなかったため、多くの場合で相続放棄申述受理証明書が必要となりました。しかし、現在は相続放棄申述受理通知書によって相続登記ができるようになったため、「証明書」まで取得しなくても良いケースが増えています。 ただし、相続放棄した人が相続登記に協力してくれない場合等では、相続登記をしたい人が相続放棄申述受理証明書を発行してもらい、手続きを進めることができます。

相続放棄申述受理証明書 相続放棄申述受理通知書
受け取れる人 申述人、その他の相続人、債権者などの利害関係人 相続放棄した本人
いつ届くか 相続放棄申述受理証明書の申請後 相続放棄後自動的に郵送
再発行 可能 不可
取得手数料 1通150円 不要
相続登記 用いることができる 用いることができる

相続放棄申述受理証明書が必要になる主なケース

相続放棄申述受理証明書は、主に以下のような場合に必要となります。

①預金口座などの相続手続きをする場合
②相続放棄したことを債権者に証明する場合

これらの場合について、次項より解説します。

預金口座などの相続手続きをする場合

相続人になる予定だった人が相続放棄を行うと、相続放棄をしない相続人が相続手続きをするときに、すでに相続放棄をした人がいる事実を証明する書類が必要となってきます。 このとき、相続放棄申述受理通知書によって手続きができるケースも多いですが、「証明書」を求められるケースもあります。また、相続放棄申述受理通知書を紛失した場合等では、相続放棄申述受理証明書が必要となります。

●相続人が被相続人の銀行口座を名義変更または解約する場合
●不動産の相続登記をする場合

相続放棄したことを債権者に証明する場合

被相続人の債権者から、相続放棄を行った証明書の提出を求められるケースがあります。このとき、相続放棄申述受理「通知書」で足りる場合が多いですが、相続放棄申述受理「証明書」の提出を求められる場合もあります。 また、債権者が自分で相続放棄申述受理証明書の交付を申請することも可能です。相続放棄申述受理証明書は「利害関係人」が申請できる書類であり、ここでいう「利害関係人」には相続人や被相続人の債権者等が含まれているからです。 なお、相続放棄申述受理証明書を交付してもらうためには、申請書に家庭裁判所での「事件番号」を記載しなければなりません。事件番号は相続放棄申述受理通知書で確認できます。

相続放棄申述受理証明書の取得方法

相続放棄申述受理証明書は、相続放棄した本人が申請する場合と、利害関係人が行う場合とでは必要書類が異なります。 それぞれの場合について、次項より解説します。

相続放棄をした本人(元相続人)が手続きする場合

相続放棄申述受理証明書は、相続放棄を申し立てたのと同じ裁判所である、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で申請することによって発行されます。 裁判所の窓口で申請する場合には、申請書に手数料分の収入印紙を貼付して、身分証明書を提示します。 一方で、郵送により申請する場合には、申請書に手数料分の収入印紙を貼付するとともに、身分証明書のコピーや返信用の封筒・切手を同封します。

必要書類

相続放棄申述受理証明書を発行してもらうためには、窓口で申請するか、郵送によって申請するかで必要書類が変わります。 それぞれの申請方法における必要書類を表にまとめたのでご覧ください。

必要書類など 窓口申請 郵送申請
相続放棄申述受理証明申請書
相続放棄申述受理通知書
150円分の収入印紙
申述人本人(元相続人)の本人確認書類(免許証など)
返信用の切手・封筒(返信先を記載)
本人確認書類のコピー

なお、これらの書類のうち「相続放棄申述受理証明申請書」については、書式を裁判所のサイトからダウンロードして利用することができます。

他の相続人や債権者などの利害関係人が手続きする場合

相続放棄申述受理証明書は、相続放棄した本人だけでなく、他の相続人や被相続人の債権者等、利害関係人であれば申請して取得することができます。発行を申請する裁判所は、相続放棄した本人の場合と同じであり、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。 利害関係人が申請を行う場合であっても、窓口で申請することも、郵送で申請することも可能です。ただし、利害関係があることを証明するための書類が別途必要となります。

必要書類

相続放棄申述受理証明書を放棄した相続人以外の「利害関係人」が取得するためには、窓口で申請するか、郵送によって申請するかで必要書類が変わります。 それぞれの申請方法における必要書類を表にまとめたのでご覧ください。

必要書類など 窓口申請 郵送申請
相続放棄申述受理証明申請書
利害関係を証明する書類(申述人との相続関係が分かる戸籍謄本類、ローン契約書など)
資格証明書の原本(申請者が法人の場合)
手数料150円分の収入印紙
請求者の本人確認書類
返信用の切手・封筒(返信先を記載)
請求者の本人確認書類のコピー

相続放棄申述受理証明書を取得する時の3つの注意点

相続放棄をした人ごとに申請が必要

同じ被相続人について相続放棄した人が複数いる場合であっても、全員の相続放棄申述受理証明書を1枚にまとめてもらうことはできません。 そのため、相続放棄した人が何人もいるケースでは、全員について1枚ずつ相続放棄申述受理証明書を発行してもらう必要があります。

相続放棄申述受理通知書が必要

相続放棄申述受理証明書を発行してもらうためには、申請書に「事件番号」を記載する必要があります。そして、事件番号は相続放棄申述受理通知書に記載されているため、発行してもらうためには通知書が必要となります。 しかし、相続放棄申述受理通知書を紛失したために相続放棄申述受理証明書を取得しようとしている場合には、通知書で事件番号を確認することができません。そこで、相続放棄の申述の有無についての照会をすることによって事件番号を確認することができます。

相続放棄申述受理証明書の申請期限は30年

裁判所が相続放棄の情報を保管するのは30年間です。そのため、30年を経過してしまうと、相続放棄したことを確認できなくなると考えられるため、「相続放棄申述受理証明書」は発行できなくなるおそれがあります。 しかし、債権は通常であれば10年以内に消滅時効が完成するので、30年が経過してから債権者に対して相続放棄申述受理証明書を提示する必要が生じるリスクは低いでしょう。 ただし、他の相続人等が不動産の相続登記を忘れて放置してしまった場合には、30年以上が経過してから相続放棄を行った証明書が必要となるおそれがあります。

相続放棄申述受理証明書に関するQ&A

相続放棄申述受理証明書に有効期限はありますか?

相続放棄申述受理証明書に有効期限はありません。しかし、発行してもらえる期限は相続放棄から30年以内とされています。不安のある方は、相続放棄申述受理証明書を発行してもらい、相続放棄申述受理通知書とともに保管すると良いでしょう。

相続放棄申述受理証明書は再発行が可能ですか?

相続放棄申述受理証明書は、相続放棄の情報が保管されている30年以内であれば何度でも再発行してもらうことが可能です。ただし、発行するたびに150円の手数料等がかかります。

相続放棄申述受理証明書はいつ届くのでしょうか?

相続放棄した本人が相続放棄申述受理証明書を請求した場合には、1週間から2週間程度で発行されます。しかし、利害関係人が請求した場合には、利害関係があることを証明するための書類を確認してから発行されるので1ヶ月程度かかります。

相続放棄についてのお悩みは弁護士にご相談ください

相続放棄するためには、必要書類を集めて家庭裁判所に申し出しなければなりません。また、相続放棄できなくなるような行為をしてもいけません。 そのため、自分だけで手続きをするのには手間がかかり、リスクを伴います。そこで、相続放棄について悩んでいる方は弁護士にご相談ください。 弁護士であれば、有効に相続放棄するためのアドバイスをすることが可能です。他の手続きについても、弁護士が丁寧にお伝えいたします。

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