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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
遺産整理とは、相続に伴う手続き全般を表す一般用語です。遺産整理は、期限のある手続きを数多くこなす必要があるため、相続人が自分で行うのは負担が小さくありません。 また、遺産整理の途中で相続トラブルが発生することは珍しくないことから、弁護士等の専門家に依頼する必要が生じるケースも少なくありません。 この記事では、遺産整理の流れや費用の相場、特に弁護士に相談する必要のあるケース等について解説します。
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遺産整理は、主に以下のような流れで進めます。
①遺言書の有無を確認
②相続人の調査
③相続財産の調査
④協議後に遺産分割協議書の作成
⑤名義変更手続き
⑥相続税の申告
この流れについて、次項より解説します。
最初に、遺言書の有無を確認します。これは、遺言書があるときは、基本的に遺言書の内容を実現するために相続手続きを行う必要があるからです。 もしも遺言書があれば、その遺言書の種類に注意します。遺言書が「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」であれば、開封は家庭裁判所での検認手続きの際に行うことが民法上要求されています。 一方で、被相続人の自宅等にあった遺言書が「公正証書遺言」であれば、被相続人が保管している遺言書は原本ではないため、すぐに開封してしまっても問題ありません。 遺言書がある場合の相続について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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遺産整理を進めるために、相続人が誰であるかを確認する必要があります。なぜなら、相続人が1人でも欠けた遺産分割協議は無効となってしまうからです。 仮に、被相続人の配偶者と子供の全員を把握できていると思っている場合でも、相続人は調査しなければなりません。これは、被相続人の親族等であっても存在を知らなかった子供等がいるケースもあるからです。 そこで、相続人は次のような流れで調査します。
相続人の調査について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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遺産整理のために、相続財産を漏れなく調査しなければなりません。なぜなら、相続財産の調査に漏れがあると、相続財産の分配や相続税の申告に影響するからです。また、相続財産のうち借金等に見落としがあると、相続放棄の判断が正しくできなくなるおそれもあります。 なお、被相続人の財産には、相続財産に含まれる財産と含まれないものがあります。それぞれを表にまとめたのでご覧ください。
相続財産に含まれるもの | 相続財産に含まれないもの |
---|---|
【プラスの財産】
【マイナスの資産】
|
【祭祀財産】
【一身専属権】
【受取人固有の財産】
|
遺産分割協議書とは、遺産分割協議の合意事項をまとめた書面です。 遺産分割協議とは、相続人全員による相続財産の分配方法等を決めるための話し合いであり、参加していない相続人が1人でもいると無効になってしまいます。 遺産分割協議が成立したら、相続人全員が署名して実印により捺印し、印鑑証明書を1通ずつ添付することによって合意内容を反故にできないようにします。
なお、遺産分割協議書は合意内容を証明するだけでなく、相続登記等の手続きにも利用することができます。 そのため、遺言書がある場合や相続人が1人である場合等を除いて、税務署や法務局等の相続手続きの申請先に協議成立を証明するために作成する必要があります。 遺産分割協議書の作成方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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被相続人が名義人になっている財産は、相続人等の名義にしなければなりません。 名義を相続人にしなければならない財産として、主に以下のようなものが挙げられます。
相続税とは、人が亡くなって相続が発生したときに、相続財産にかかる税金です。一定の資産を国民に再分配することと、生まれた家庭の経済状況による差を縮小させ、格差の固定化を防止することを目的として設けられています。 相続財産は、評価額が基礎控除額以下であれば相続税がかかりません。しかし、相続税がかかるのに申告しなかった場合には、無申告加算税や延滞税等の余計な税金を支払うことになるおそれがあります。 相続税の基礎控除額は、以下の式によって計算できます。
相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
なお、相続税の金額を抑えるためには、生前贈与によって相続財産を減らしておく方法があります。ただし、生前贈与額が多すぎると「贈与税」がかかるため注意しましょう。 また、親族等と養子縁組すれば、法定相続人を増やして相続税額を抑えられる可能性があります。ただし、法定相続人としてカウントされる人数には上限があります。また、養子縁組によって、相続トラブルが発生するリスク等があることに注意しなければなりません。
遺産整理業務は、弁護士や司法書士、行政書士といった法律の専門家や、信託銀行等に依頼することができます。 しかし、相続人間でトラブルになった場合等に対応できるのは基本的に弁護士だけです。弁護士以外の専門家等に依頼しても、トラブルになってから弁護士に依頼すると、結果的に合計した費用が高額になるおそれがあります。
費用の相場 | |
---|---|
弁護士 | ●相談料1万円程度 ●着手金30万円程度 ●諸経費3万円程度 ●終了報酬30万円程度+相続財産の2%程度 |
司法書士 | 30万円程度+相続財産の1%程度 |
行政書士 | 30万円程度+相続財産の0.5%程度 |
信託銀行 | 100万円程度+相続財産の1~2%程度 |
遺産整理受任者とは、相続人から遺産整理を任せられた人です。役所や銀行等に、平日の日中に行くのが難しい人や、相続財産が多いために自分では手続きを終わらせられない人等は、特に活用するべきでしょう。
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遺産整理について、トラブルが発生しやすいケースでは弁護士に相談する必要性が高いです。例えば、被相続人に隠し子がいたケース等です。 他にも弁護士に相談すべきケースとして、以下のようなものが挙げられます。
これらのケースについて次項より解説します。
相続財産に多額の借金等が含まれている場合、相続人が互いに押しつけ合ってトラブルになるリスクが高いです。 また、借金等は遺産分割協議によって決めた相続人に影響されず、法定相続分によって請求されるおそれがあるため注意しましょう。
もしも、借金等のマイナスの財産がプラスの財産を上回っているのであれば、相続放棄することも検討しましょう。 このとき、相続放棄は各自で行う必要があります。また、後順位の相続人がいる場合、債務の存在及び相続放棄の事実を伝えなかったために、親族間トラブルになってしまうこともありますので注意しましょう。 高額な借金等を、トラブル等を防止しながら相続または相続放棄するためには、弁護士に相談するべきだといえます。 借金の相続放棄について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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遺産分割協議にあたっては、生前贈与など被相続人から特別の利益を受けている相続人がいる場合、その特別の利益を相続分の前渡しとみて、相続財産に持ち戻し、これを基礎として相続分の協議が行われます。また、相続財産の金額と生前贈与した金額のバランスによっては、遺留分侵害額請求が行われるおそれもあります。 このように、生前贈与が特別受益にあたるかどうかは、相続に大きな影響を及ぼす可能性があり、そのため、生前贈与があった場合には弁護士に相談するべきだといえます。
相続財産が土地だけだと、分配するのが難しくなります。 ここで、相続人に公平な分配を求める人がいると、なるべく同額になるような分配をしなければなりません。 そのため、より妥当な分配方法を決めて争いを収めるために、弁護士に相談するべきだといえます。
相続手続きは手間がかかるうえ、期限内に行わなければなりません。しかし、相続手続きを経験した人は少ないので、何をすれば良いのかがわからなくなってしまうのも無理はありません。 また、相続人間でトラブルになってしまった場合に、そのトラブルを解決するためにも大変な労力がかかってしまうことが多いです。 そこで、遺産整理は弁護士にご相談ください。弁護士であれば、相続人間でトラブルになってしまっても対応可能です。 なお、遺産整理を少しでも簡単にするためには、生前に遺言書を作成しておくことが有効です。遺言書の作成についても、ぜひ弁護士にご相談ください。