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遺言書がある場合の相続手続きはどうなる?遺留分などの注意点も解説

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

亡くなった方が生前に遺言書を作成していた場合、基本的には遺産分割協議を行わず、遺言書の内容に従って遺産の分配を行います。 ただし、遺言書があれば自動的に手続きが行われるわけではないので、相続人が手続きを行うか、指定された遺言執行者に手続きを進めてもらう必要があります。 また、遺言書のとおりに相続財産が分割されないケースもあります。 この記事では、遺言書がある場合の相続の進め方について、必要な手続きや遺言書に納得できないときの対処法、遺言書に記載のない相続財産の扱い、遺言書があっても相続放棄できるのか等について解説します。

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遺言書がある場合の相続の進め方

遺言書があった場合の流れ 遺言書があった場合の流れ

遺言書がある場合の相続においては、基本的に遺言書で指定されたとおりに遺産を分配します。 遺言書の効力は強いため、有効な遺言書の記載内容は基本的に優先されます。有効な遺言書と異なる割合や内容で相続財産を分配するためには、相続人全員の同意等が必要となります。 遺言書に従って相続を行う場合の手続きは、比較的容易です。たとえば、相続登記の手続き等の際、必要書類として遺言書を提出します。 遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行って合意を証する書面に署名捺印し、印鑑証明書を添付して提出しなければ相続登記を行うことができない等、遺言書があるときよりも手間のかかるケースが多いです。 遺言書についての基礎知識を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

①遺言書の種類を確認する

遺言書の種類によって、必要な手続きが加わることがあるので、相続手続きの流れは異なります。 遺言書は3種類あります。それぞれの違いについて、表にまとめたのでご覧ください。

自筆証書遺言 基本的に全文を自筆する遺言書
秘密証書遺言 自筆またはパソコン等を用いて作成し、その内容を秘密にしたままで、遺言書が存在することを公証役場に記録してもらう遺言書
公正証書遺言 遺言者の依頼によって公証人が作成した遺言書

3種類の遺言書の特徴等について、以下の表にまとめたのでご覧ください。

自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
特徴 財産目録以外の全文を自筆して署名押印する 内容の原案を公証人に伝えて作成してもらう 自筆または代筆、パソコン等によって作成して署名押印し、同じ印によって封印して、公証人に存在を証明してもらう
秘密性 内容を秘密にできる 少なくとも、公証人と2人以上の証人には内容を知られる 代筆でなければ内容を秘密にできる
偽造・改ざんの危険性 リスクが高い リスクは低い リスクは低い
保管方法 自分で保管するか、法務局に保管してもらう 公証役場で保管される 自分で保管する
検認手続き 法務局で保管されていたもの以外は必要 不要 必要

②遺言書の検認手続きを行う

遺言書が、法務局以外の場所で保管されていた自筆証書遺言であった場合や、秘密証書遺言であった場合には、家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。 検認手続きの申立て方法等について、表にまとめたのでご覧ください。

申立先 被相続人が亡くなったときの住所地を管轄する家庭裁判所
提出書類 ●申立書
●被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本
●相続人全員の戸籍謄本
費用 ●収入印紙:800円分
●連絡用の郵便切手:裁判所によって異なる

もしも、検認手続きの前に誤って開封してしまっても、そのままの状態で検認を受けましょう。5万円以下の過料に処せられるおそれはありますが、自筆証書遺言を開封しても遺言書が無効になるわけではありません。 なお、公正証書遺言や、法務局に保管されている自筆証書遺言については、検認は不要です。 遺言書の検認手続きについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

③遺言執行者が指定されている場合は手続きを任せる

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために選任される者のことです。遺言書で遺言執行者が指定されていたら、指定された人が拒否しない限りはその人に相続手続きを一任することになります。 遺言執行者は、下記のような手順で遺言を執行します。

  1. ①相続人と相続財産について調査する
  2. ②相続財産の財産目録を作成する
  3. ③遺産分割方法の指定を執行し、実際に相続財産を分配する
  4. ④遺贈を受ける人がいれば、遺産を引き渡す

遺言書で遺言執行者に指定された人が就任を拒否した場合や、そもそも遺言執行者が指定されていなかった場合、相続人は自分たちで遺言を執行するか、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうことになります。 遺言執行者に指定されたものの、手続きの負担が重い場合や、相続人とのトラブルが発生した場合には、弁護士に相談すると良いでしょう。 遺言執行者の役割等について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

遺言書がある場合の銀行・相続登記・相続税の手続き

遺言書どおりに相続財産を分割する場合でも、実際に財産を取得するための手続きが必要です。 特に重要な手続きとして、次のものが挙げられます。

  • 銀行等での名義変更
  • 不動産の相続登記
  • 相続税の申告

これら以外にも、年金や健康保険に関する手続き等、期限のあるものが多いため、遅れないように注意しましょう。 相続手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

銀行等での名義変更

相続が開始したら、銀行や郵便局等において、預貯金口座の払い戻しや名義変更の手続きが必要になります。 銀行での手続きは、遺言書の有無によって必要書類が異なります。遺言書があるときには、手続きのときに遺言書の原本と検認調書等が必要です。遺言書がない場合には、遺産分割協議書を提出します。 銀行での手続きにおいては、被相続人や相続人の戸籍謄本など、様々な書類が必要となります。手続きの負担は軽くないので、弁護士に代行してもらうことを検討すると良いでしょう。 銀行における相続手続の流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

不動産の相続登記

遺言書があっても、相続登記の方法は変わりません。 相続登記とは、相続によって権利を取得した人に不動産登記記録の名義を変更する手続きです。必要書類を作成・収集し、登記申請書と併せて、不動産の所在地を管轄する法務局へ提出することで申請します。また、郵送やオンラインで申請することも可能です。 令和6年4月1日より相続登記は義務化されており、相続開始から3年以内に申請しなければなりません。また、令和6年4月1日より前に相続した不動産も、相続登記がされていないものについては、相続登記を行う必要があります。 詳しい申請の流れや必要書類など、より詳しく知りたい方は、下記の記事も併せてご覧ください。

相続税の申告

相続税とは、遺産を受け取った者にかけられる税金です。あらゆる遺産にかけられるわけではなく、遺族の生活を保障すること等を目的として「基礎控除」が設けられており、基礎控除の金額を上回る遺産を受け取った場合にのみ相続税がかけられます。 相続税は、相続の開始を知ってから10ヶ月以内に納付しなければならないので注意しましょう。相続税の申告は、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に行います。納税については、税務署の窓口だけでなく、金融機関等においても可能です。

遺言書の内容に納得できないときの対処法はある?

遺言書に納得できなくても、他の共同相続人は遺言書に基づく相続手続きを進めることができます。 しかし、相続人全員の同意があれば、遺言書とは異なる分配を行えます。また、相続財産の分配が偏っている場合には、遺留分侵害額請求を行うことができます。 遺言書に納得できないときに、相続人同士で解決する方法について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

相続人全員の同意があれば遺言書と異なる分割が可能

遺言書があっても、遺産分割協議を行って相続人全員が合意すれば、遺言書と異なる方法で遺産を分けることができます。ただし、遺言執行者の指定があるときには、遺言執行者の同意も得ておくのが望ましいでしょう。 一部の相続人だけが遺言書の内容に不満があるという場合には、不満のある相続人が反対しても遺言書は有効です。遺言書の内容に不満を持っていない相続人が遺産分割協議に応じるとは考えにくいため、通常であれば遺言書の内容に従って遺産は分配されます。 遺産分割協議について詳しく知りたい方は、こちらの記事を併せてご覧ください。

遺留分侵害額請求ができる場合がある

遺言書が指定した遺産の分配方法が「遺留分」を侵害している場合には、侵害された分を請求することが考えられます。この請求を「遺留分侵害額請求」といいます。 遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人が最低限もらえる相続財産の取り分です。遺言に従って遺産を分けると、取り分が遺留分より少なくなってしまうときは、他の相続人に対して、遺留分に相当する金銭を支払うよう求めることができます。 被相続人の生前に、誰かが多額の贈与を受けていたために遺留分が侵害されていた場合には、遺留分侵害額請求ができる可能性があります。なお、請求の対象となる贈与には次のような期間制限が設けられています。

  • 生前贈与の当事者双方が遺留分を侵害する事実を知っていた場合、時間的な制限はない
  • 相続人への生前贈与の場合、相続開始までの10年以内であった場合
  • 相続人ではない第三者への生前贈与の場合、相続開始までの1年以内であった場合

遺留分侵害額請求について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

遺言書が無効であれば従わなくて良い

遺言書には、民法で厳格な作成要件が定められており、要件を満たしていない場合は無効となります。 遺言書が無効であれば、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。 無効となる遺言書は、主に次のようなものです。

  • ①民法で定められたルールに則って作成されていない
  • ②遺言書が作成されたときに、被相続人に遺言能力がなかった

①については、自筆証書遺言や秘密証書遺言で問題となることが多いです。 具体的には、以下のケースが挙げられます。 遺言書が無効になる例1

②については、公正証書遺言であっても問題となることがあります。 具体的には、以下のケースが挙げられます。 遺言書が無効になる例2

遺言の効力についてもっと詳しく知りたい方は、以下のページをご参照ください。

遺言書に記載のない財産がある場合はどうなる?

遺言書に記載されていない相続財産は、相続人全員で遺産分割協議を行い、分配方法を決める必要があります。 遺産分割協議で決められない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立て、調停でも合意できなければ、最終的に遺産分割審判で家庭裁判所に決めてもらうことになります。 せっかく遺言書を作成しても、分配方法を指定しなかった遺産があると、相続人間でトラブルになるおそれがあります。念のために、「その他一切の財産」の相続人を指定しておく方法もありますが、金額の大きな財産を書き漏らしたときにはトラブルになるかもしれません。 心配であれば、弁護士に財産調査を依頼することをおすすめします。

遺言書がある場合でも相続放棄できるか?

遺言があっても、相続開始を知ってから3ヶ月以内であれば相続放棄をすることができます。 遺産には、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれるため、遺言書があっても相続放棄は可能になっています。 また、相続すれば金銭的なメリットがある状況であっても、親族関係が悪い等の事情があるときには、相続人間の争いに巻き込まれることを回避したい方もいらっしゃるでしょう。このような場合にも、相続放棄を選択できます。 相続放棄の具体的な手続きの方法や期限など、詳しい説明をご覧になりたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。

受遺者は遺贈を放棄することも可能

遺贈とは、遺言によって相続財産を贈与することです。遺贈の受取りを拒否することは可能ですが、そのための手続きは「包括遺贈」と「特定遺贈」で違いがあります。

●包括遺贈
包括遺贈とは、相続財産のすべて、または一定の割合を遺贈することです。包括遺贈された者が受取りを拒否するためには、包括遺贈があったことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所において相続放棄の手続きを行う必要があります。
●特定遺贈
特定遺贈とは、特定の相続財産を指定して遺贈することです。遺贈された者は、その遺贈を放棄する旨を相続人または遺言執行者に伝えることによって、受取を拒否することが可能です。特定遺贈を拒否することに期限はありません。
遺贈について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

遺言書がある場合の相続に関するQ&A

遺言書があれば遺産分割協議書はいりませんか?

有効な遺言書にすべての財産の相続人が記載されており、その内容に従うのであれば、遺産分割協議は必要ありません。 ただし、以下のようなケースでは、遺産分割協議が必要となります。

  • 遺言書が無効であった
  • 遺言書に記載されていない相続財産があった
  • 遺言書に相続割合しか書いていなかった
  • 相続人全員が遺言書と異なる相続をすることで合意し、受遺者や遺言執行者も同意した

遺言書が複数ある場合、どの遺言書が有効ですか?

遺言書が複数ある場合には、日付が最も新しいものが有効となります。ただし、より新しい遺言書の内容と矛盾しない部分については、古い遺言書であっても有効となります。

遺言書の日付が古い場合でも有効ですか?遺言書に有効期限はありますか?

遺言書に有効期限はないため、どれほど古い遺言書であっても有効となる可能性があります。ただし、時間が経ちすぎると、相続人の構成が変わる等、作成した遺言書の効力がほとんど失われてしまうおそれがあります。 相続財産が変動すること等も考えられるので、遺言書は、なるべく定期的に作り直すようにしましょう。 なお、遺言書で指定した相続人が亡くなってしまうと、基本的にその部分の効力は失われてしまいます。自動的に代襲相続が発生することはないので、指定した相続人が亡くなってしまった場合の相続人は、なるべく指定しておくのが望ましいでしょう。

遺言書に関するトラブルは、弁護士が間に入ることで解決できる場合があります

遺言は、亡くなった方の最後の意思表示ではありますが、トラブルを生む原因となってしまうこともあります。そこで、遺言書が見つかった、または遺言書の存在が予想される場合には、弁護士への相談をおすすめします。 弁護士は、遺言書の方式や内容の不備を確認し、その有効性を判断することができます。また、遺言書が本当に亡くなった方の意思で作成されたのか疑わしいといった場合にも、亡くなった方の筆跡や当時の意思能力がわかる診断書などの資料を用意し、裁判になっても論理的な主張ができるようにサポートすることが可能です。 遺言書によるトラブルを防ぎ、精神的なストレスを軽減するためにも、ぜひ弁護士への相談をご検討ください。