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遺言書につける財産目録とは?書き方やパソコンでの作成、注意点など

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

ご自身が亡くなられた後のことを考え、ご親族のために遺言書を残そうと考えられている方も多いと思います。どの財産を誰に相続させるかという内容が重要であることはもちろんですが、ご自身が所持している財産を一覧にした財産目録を作成しておけば、遺産相続でトラブルを防ぐことができ、また、残されたご親族が財産調査を行う手間も省けます。 このページでは、遺言書とともに作成しておくべき財産目録について、詳しく解説していきます。

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遺言書につける財産目録とは?

財産目録とは、遺言者(=遺言を残す人)が所有している財産を一覧にまとめたものです。預貯金や土地・建物などの不動産、株式、美術品といった資産だけでなく、借金などの負債も含まれます。 財産目録を作成すると、自分の財産の総額や内訳がわかり、どの相続人にどの財産を渡すのかを決めやすくなります。また、遺言の内容が特定の相続人に偏っていないかを確認することもできます。 財産目録の作成は義務ではありませんが、作っておくことで相続人が遺産を把握しやすくなり、遺産分割のトラブルを防ぐのに役立ちます。特に財産が多い場合や複雑な場合には、財産目録を作成するのが望ましいでしょう。 遺言書の種類や書き方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

財産目録なしの遺言書のリスク

遺言書は財産目録がなくても有効ですが、目録を付けないと大きなリスクがあります。 相続人は遺産の全体像がわからないため、自分で金融機関や法務局に問い合わせて調べる必要があり、時間と手間がかかります。 また、財産がはっきりしないと「まだ他に財産があるのでは?」という疑いが生じ、相続人同士のトラブルにつながりかねません。遺産分割が終わった後に新しい財産が見つかれば、再度話し合いや相続税の修正申告が必要になるなど、手続きが複雑になります。 さらに、包括遺贈の場合、負債に気づかないまま3ヶ月の相続放棄期限を過ぎてしまい、思わぬ借金を背負う危険もあるため注意が必要です。こうした問題を防ぐために、遺言書には財産目録を添付することをおすすめします。

遺言書と併せて財産目録を作成するメリット

相続人が被相続人の財産をすべて把握しているとは限らず、亡くなった後に財産調査をすることになれば大変な労力を要します。遺言書とともに財産目録を作成しておくことは、遺言者が遺言を作成するときにも、相続人が遺産を相続する手続をするときにも有用となります。ご親族のためにも、ぜひ財産目録の作成をご検討ください。 以下で、財産目録を作成することの主なメリットを解説します。

相続税対策ができる

財産目録を作ることで、自身で財産を把握でき、相続税対策にも役立ちます。 遺言書を作成する前に財産目録を用意しておけば、自分がどのような財産をどれだけ持っているかを明確に把握できます。これにより、相続が発生した際に相続税がどの程度かかるか試算でき、場合によっては相続するより生前贈与を選んだほうが税負担を軽減できるかどうか検討することが可能です。 生前贈与には贈与税がかかりますが、一定の控除があるため、相続税対策として有効な方法です。さらに、実際に相続が始まった際にも、財産目録があることで相続税申告の手間を大幅に減らせます。 ただし、相続税対策の結果、財産内容が変わった場合には、財産目録を作り直す必要があるため注意が必要です。 相続税について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

相続放棄の検討材料にもなる

財産目録でマイナスの財産も把握できれば、相続人が相続放棄や限定承認をするか検討できます。 相続人は、相続放棄や限定承認をしない限り、プラスの財産だけでなく借金やローンなどの負債もすべて引き継ぐことになります。もし負債の存在を知らずに相続してしまうと、後から借金が発覚しても、相続を取り消して相続放棄し直すことはできません。 財産目録にマイナスの財産が記載されていれば、相続人は「相続するべきか」「相続放棄を選ぶべきか」「プラスの財産の範囲で負債を引き継ぐ限定承認をするべきか」を事前に判断することが可能です。 相続放棄や限定承認について詳しく知りたい方は、以下の各ページをご覧ください。

相続トラブルを回避できる

財産目録を作成すると、預貯金や不動産など、遺言者が持っている財産の全体像がはっきりわかります。その結果、相続人が「まだ隠された財産があるのでは?」と疑う心配がなくなり、不信感を解消することが可能です。 こうした不安を取り除くことで、相続人同士の争いを防ぎ、遺言の内容をスムーズに実行できるというメリットがあります。 さらに、遺言者が財産目録を作り、すべての財産を事前に明らかにしておくことで、一部の相続人が預貯金などの財産をこっそり隠すことを防ぎやすくなる利点もあります。

遺産分割協議がスムーズになる

遺言書に財産目録を付けることで、遺産分割協議がスムーズになります。 遺言書が残されていた場合、基本的にはその内容に従って遺産分割を行います。しかし、遺言書が残されていても、相続人全員が合意すれば、遺産分割協議を行って、遺言書の内容とは異なる分割方法をとることも可能です。こうしたケースでも、遺言書とともに財産目録が残されていれば、相続人で分割する財産のすべてが明らかになっているため、協議がスムーズに進むでしょう。 遺産分割協議の流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

遺言書につける財産目録の書き方・記載例

財産目録には決まった書式はありません。パソコンで作成しても、第三者が代筆しても問題ありません。ただし、遺言書の本文と同じく、財産目録を加除訂正する際には法律で定められた方式に従う必要がありますのでご注意ください。 財産目録には、プラス・マイナス問わず、ご自身が所有されているすべての財産を記載します。不動産、預貯金、株式・投資信託、負債等に分けて表を作ると、わかりやすいでしょう。財産目録の記載例は以下のとおりです。

財産目録の記載内容

以下では、財産目録に記載する、プラスの財産とマイナスの財産の書き方について説明します。

プラスの財産(預貯金や現金・有価証券・不動産など)

財産目録には、遺言者が持っているプラスの財産を漏れなく書きましょう。 代表的な財産と記載方法は、以下のとおりです。

  • 預貯金・現金
    銀行名、支店名、口座の種類、通帳や現金の保管場所などを明記します。
  • 有価証券
    株式や投資信託などがある場合は、証券会社名、銘柄、保有数、評価額などを記載しましょう。
  • 不動産
    土地と建物を分けて書くのが基本です。土地なら所在や地番、地目、地積、評価額、建物なら所在や家屋番号、種類、床面積、評価額などを記載します。
  • 生命保険
    生命保険は、受取人が被相続人なら相続財産として、相続人の場合もみなし相続財産として課税対象になるため、保険会社名や保険金額などを記載してください。
  • その他の財産
    自動車や骨董品、美術品、宝石、貴金属などがある場合は、種類、評価額、保管場所などを明記します。

マイナスの財産(借入金)

財産目録には、プラスの財産だけでなく、借入金などマイナスの財産も正確に記載することが大切です。 マイナスの財産には消費者金融からの借金だけでなく、住宅ローンの残債や未納の家賃、税金、医療費、クレジットカードの利用額、さらに葬儀費用も含まれます。葬儀費用を遺産から支払う場合は負債として記載し、相続税の計算時に控除できます。 借入金を記載する際は、借入先の情報や残高、返済月額などを明記しましょう。また、金銭消費貸借契約書や返済予定表などの関連書類がある場合は、そのコピーを目録に添付しておくと、負債の詳細がより分かりやすくなります。

遺言書に財産目録を添付する方法

遺言書に財産目録を添付する方法について、法律で決まったルールはありません。しかし、遺言書と財産目録が別々に保管されていると、「本当に一体のものなのか?」と疑われる可能性があります。そのため、両方をしっかり一緒に保管することが重要です。 たとえば、遺言書と財産目録をホチキスで留める、同じ封筒に入れる、または契印(ページのつなぎ目に割り印)を押して、一体の書類であることを示す方法がおすすめです。

自筆証書遺言の財産目録ならパソコンでの作成も可能

以前は、自筆証書遺言を作成する際、遺言書の本文だけでなく財産目録もすべて手書きでなければ無効とされていました。しかし、民法改正により緩和され、財産目録は自筆でなくとも認められるようになりました。 パソコンで財産目録を作成することや、遺言者以外の人が代筆することも可能になっています。不動産の登記事項証明書や、預貯金通帳などのコピーを添付することも認められています。 ただし、遺言書の本文と財産目録は必ず別ページに分けて作成しなければなりません。同じページに遺言書本文を手書きし、目録部分をパソコンで作成する方法は認められないためご注意ください。 自筆証書遺言の書き方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

財産目録を作成するときの注意点

財産が特定できるように記載する

財産目録を作成する際には、財産の種類や数量が特定できるように正確に記載することが大切です。 例えば、「預金あり」「不動産あり」といった曖昧な記載では、どの金融機関の口座なのか、どの土地や建物なのかがわからず、遺産分割協議の際に相続人が困る原因になります。

財産の記載漏れがないようにする

財産目録を作成する際は、遺言者が所有しているすべての財産を漏れなく記載することが重要です。記載漏れがあると、その財産について相続人同士で改めて遺産分割協議を行う必要があり、手続きが複雑になり負担が増えてしまいます。

すべてのページに署名押印する

財産目録をパソコンなど自筆以外で作成した場合は、すべてのページに署名と押印が必要です。両面に記載している場合も、表裏それぞれに署名押印を行いましょう。通帳のコピー等を添付する場合も同様です。印鑑は遺言書本文と同一である必要はなく認印も使えますが、本人作成を証明するため実印の使用がおすすめです。

財産目録に関するQ&A

財産目録の内容を後から変更できますか?

遺言書に添付した財産目録は、後から変更することが可能です。 遺言書を書いた後、時間がたつと状況が変わることがあります。例えば、持っていた財産を売ったり、新しく財産を手に入れたりすることはよくあることです。そのため、遺言書を作成した後も、定期的に自身の財産状況を確認し、遺言者や財産目録の内容を見直すことが大切です。 遺言書の本文を変更する場合は、法律で定められた方式に従って修正を行うか、新しい遺言書を作成する必要があります。そして、遺言書を変更するのに合わせて、財産目録も修正するか、新たに作り直すべきでしょう。

遺言書や財産目録を自分で作成するのは不安です。誰に依頼できますか?

遺言書や財産目録の作成は、弁護士や司法書士、税理士などの専門家に依頼することが可能です。 遺言書は、法律で定められた方式に従っていないと無効になる可能性があります。また、財産目録については、自筆でなくてもよいという改正がありましたが、訂正方法などは厳しく決められています。 ご自身で苦労して遺言書を作成されても、形式の不備で無効になってしまっては元も子もありません。失敗を防ぐためには、法律のプロである弁護士に相談するのが安全です。 弁護士なら、定められた方式に沿った有効な遺言書や財産目録の作成をサポートし、適切なアドバイスを行います。安心して相続準備を進めたい方は、ぜひ弁護士への相談をご検討ください。

遺言書や財産目録について不明点があれば一度弁護士にご相談ください。

遺言書はご自身の意思を正しく伝えるために欠かせないものです。また、財産目録は残されたご親族間の相続トラブルを防ぐためにも非常に有用です。しかし、ご自身で作成方法がよくわからない、作成したものの正しく作成できているか不安という方もいらっしゃるかと思います。 法律の専門家である弁護士なら、定められた方式に沿った有効な遺言書や財産目録の作成をサポートし、アドバイスさせていただきます。また、財産目録を代わりに作成させていただくことも可能です。 弁護士法人ALGには、相続問題に精通した弁護士が多く在籍しています。ご自身とご家族のために遺言書や財産目録の作成をお考えの方は、ぜひ弁護士法人ALGにご相談ください。