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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
相続登記の手続きはどの程度難しいのか、自分でできるのかについて気になる方もいらっしゃるでしょう。 相続登記の手続きは法務局で行います。手続きの難易度が高くないケースもありますが、専門家に任せた方が良いと考えられる難しい事例も存在します。その判断には、いくつかのポイントがあります。 ここでは、相続登記の手続きについて、自分でできるのか、どのような流れで行うのか、費用はどの程度かかるのか等について解説します。
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ご自身で相続登記を行うことは、制度上可能です。
自ら相続登記を行うと、次のようなメリットがあります。
・専門家に依頼料を支払う必要がないので、費用を抑えられる
一方で、自ら相続登記を行うと、次のようなデメリットがあります。
・平日に法務局で手続きを行うため、手間や時間がかかる
・ミスをすると修正が必要になり、登記が完了するまでの期間が延びる
なお、自分で相続登記がやりやすいのは、相続人が自身と子供だけであるといった、法定相続分に従った登記です。よりイレギュラーな要素が増えることによって手続きも複雑化するので、専門家に依頼するべきでしょう。
次のような事情がある場合には、相続登記は難しいものになりますので、特に専門家に手続きを任せるべきだと言えます。
土地や家屋等の不動産の相続登記は、以下のような流れで手続きを行います。
相続登記をするために、まずは、相続の対象となる不動産の状況を調べる必要があります。 具体的には、不動産の登記事項証明書を取得します。登記事項証明書とは、所有者の氏名や住所等、不動産に関する詳細な情報が記載されている書類です。登記事項証明書を取得して、相続の対象となる不動産が本当に被相続人名義のものかどうか確認します。 登記事項証明書は、最寄りの法務局の窓口で取得することができます。また、郵送やオンラインでの請求も可能です。 不動産の相続登記が何代も前になってしまっているときには、相続登記をする前に、登記を正しい状態にする必要があるため、行うべき手続きが増えることになります。 また、固定資産評価証明書も取得しておく必要があります。固定資産評価証明書は、対象の不動産の所在地が東京23区の場合は都税事務所で、対象の不動産の所在地が東京23区以外の場合は所在地の市区町村の役所で取得できます。
不動産の調査を終えたら、相続登記の手続きで必要な書類を集めます。 法定相続分で相続登記するなら、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍除籍謄本が必要です。 また、遺言による相続登記をするなら、遺言書や、不動産を取得する相続人の戸籍謄本、住民票等も必要です。 詳細は、こちらの記事で解説しておりますのでご覧ください。
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遺言がない場合等、必要があれば遺産分割協議を行って遺産分割協議書を作成します。 遺産分割協議を行うためには、相続人が全員、協議に参加する必要があります。協議を行う前には、被相続人の全財産を調査しなければなりません。 遺産分割協議において、不動産を共有する方法で合意すると、後で相続した不動産を売却するとき等に意見が対立し、話が進まなくなるおそれがあるので望ましくありません。なるべく、不動産は共有しないようにしましょう。 遺産分割協議について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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遺産分割協議により相続登記を行う場合には、役所等から必要な書類を集めることに加えて、相続登記申請書などの書類を作成しなければなりません。 相続登記申請書は、厳密な書き方が定められているわけではないため、相続人が自ら作成することも可能です。しかし、法務局のサイトにある申請書の様式を利用すると、簡単に作成できるでしょう。 法務局の様式を利用するときには、法定相続分による登記と遺産分割による登記、遺言による登記で利用するものが異なるため注意しましょう。 不動産登記の申請書の様式がある法務局のサイトはこちらです。記載例も入手できるのでご利用ください。
不動産登記の申請書様式について(法務局)必要書類 | 内容 | 取得場所 |
---|---|---|
所有権移転登記申請書 | 相続登記を申請するための書類 | 法務局 |
対象不動産の固定資産評価証明書 | 登録免許税の算出のために必要な書類 | 不動産がある市区町村役場 または市税事務所 |
対象不動産の登記事項証明書 | 土地の面積や所有者等を証明する書類 | 法務局 |
不動産取得者の戸籍謄本 | 不動産の相続人が生きていることを証明する書類 | 本籍地の市区町村役場 またはコンビニ |
不動産取得者の住民票 | 不動産の相続人の住所を証明するために必要な書類 | 市区町村役場 またはコンビニ |
被相続人の出生から死亡までの戸籍除籍謄本 | 被相続人の家族関係を証明するための書類 | 出生から死亡までの居住地の市区町村役場 |
被相続人の住民票の除票 | 登記簿上の名義人と被相続人が同一人物であることを証明するための書類 | 被相続人が最後に住んでいた地の市区町村役場 |
これらの書類だけでなく、遺産分割協議を行った場合や遺言による相続の場合には、追加で必要になる書類があります。 追加する書類として、次のものが挙げられます。
●遺産分割協議を行った場合
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
・相続人全員の戸籍謄本
●遺言による相続の場合
・遺言書
相続登記申請に必要な書類について詳細を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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登記の申請をする方法は、以下の3つがあります。
これらのうち、オンライン申請は専門家でない方が利用するのは難しいので、自分で相続登記をする場合には、窓口申請か郵送申請を行うのが一般的でしょう。 相続登記を行うときには登録免許税が必要であり、現金で支払うか、登記申請書に収入印紙を貼り付けることにより支払います。申請に問題がなければ、10日程度で手続きが終わります。
相続登記が完了したら、「登記完了証」と「登記識別情報」が発行されます。 登記完了証は、登記手続きが終わったことを知らせる書類です。 登記識別情報とは、12桁の英数字によるパスワードのようなものであり、次に登記を行う機会に用います。
相続登記のためだけに用いる書類(委任状等)以外の書類については、原本還付を受けることができます。 原本還付を受ければ、通常は1通しか存在しない書類(遺言書等)の原本を返してもらえます。また、役所等において、同じ書類を何通も発行してもらうための手間や費用をかけずに済みます。 原本還付を受けられるのは、以下のような書類です。
これらの書類の原本還付を受けるためには、法務局に書類を受け取りに行くか、郵送してもらいます。郵送を希望する場合には、登記の際に、切手を貼り付けた封筒を返信用として提出する必要があります。
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相続登記の手続きには、次のような費用がかかります。
費用 | 金額の目安 |
---|---|
登録免許税 | 不動産の課税標準金額×0.4% |
申請に必要な書類の取得費用 | 戸籍謄本 450円(1通) |
住民票 300円程度 (1通) | |
印鑑証明書 450円程度 (1通)等 | |
専門家へ依頼した場合の報酬 | 10万~15万円程度 |
これらの費用のうち、登録免許税については次項で解説します。
登録免許税は、相続登記の手続きで支払う税金であり、不動産の「課税標準金額」の0.4%です。 課税標準金額とは、不動産の評価額のことであり、納税通知書や固定資産評価証明書に記載されている金額であり、実際に不動産を売買したときの金額とは異なります。 登録免許税の計算についてのより詳しい解説をご覧になりたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。
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相続登記は、法改正によって2024年4月から義務化される予定となっており、期限は「相続により不動産の所有者になったことを知ってから3年」です。 書類の収集等の手続きにかかる時間を考えて、なるべく早く取りかかるようにしましょう。 相続登記を放置してしまうと、次のようなデメリットがあります。
これらのデメリットについて、こちらの記事で詳しく解説しておりますので、併せてご覧ください。
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基本的に大多数のマンションは、土地の権利が建物の権利と一体化した状態にされており、相続したマンションの部屋(専有部分)だけに相続登記を行います。このように、マンションの各部屋に一体化している土地の所有権のことを敷地権といいます。 マンションの敷地権が設定されている土地の登記記録には、マンション名や所在が記載され、敷地権の登記がなされています。そして、マンションの部屋について相続登記を行えば、敷地権も相続されたことになります。 なお、敷地権の割合は、基本的に相続した部屋の広さによって決められることになります。
農地は農業において極めて重要であるため、国は農地法という法律によって売買等を規制しており、農業委員会の許可を求めています。しかし、相続は所有者の死亡によって発生するため、農業委員会の許可を必要としません。 ただし、相続した土地を放置する相続人が増えてきたこと等から、相続を知ったときから10ヶ月以内に、農業委員会に対して以下の届出が必要とされるようになりました。
登記の申請から完了までの申請自体にかかる日数は10日程度です。しかし、必要書類の収集や作成に時間がかかるため、その分の日数が加算されます。また、不動産が多く、登記管轄がばらばらな場合には、登記管轄ごとに10日間ほどの日数がかかります。
相続登記の手続きは、本人以外の人が代理で行うことができます。知り合いに依頼することも可能ですが、登記は大変な手続きであるケースが多く、ミスが発生しやすいためおすすめできません。また、弁護士や司法書士でない者に報酬を支払って代理してもらう行為は違法である可能性があります。本人以外の人に登記手続きの代理を依頼する場合には、基本的に委任状が必要とされています。これは、弁護士や司法書士に依頼する場合についても同様です。ただし、親権者等の法定代理人が代理するときには委任状は不要です。
相続登記について不安がある、あるいは面倒に感じていらっしゃる場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。 相続登記を行わないことによる不利益は大きいので、行っておくべきです。しかし、相続登記の申請のための書類を集めたり作成したりするだけでも大変な労力が必要であり、書類の不備があれば、訂正のためにさらに時間がとられます。 弁護士は、法律のプロで相続の手続きに精通しています。そのため、相続登記の手続きを一括して任せることができます。さらに、弁護士であれば相続の他のトラブルにも対応可能なので、相続人間の問題等にも対処できます。まずはお電話でご相談ください。