花火職人の父が五條市で亡くなりましたが、後を継げないため相続放棄を検討しています。

私の実家は五條市で花火師をしています。多くの職人さんは誇り高く自分の仕事に自信を持っています。私も幼い頃から父の背中を見て育ってきました。大人になったら、自分も花火師になることを当たり前のように考えていました。

しかし、父は稼業を私には継がせたくはなかったのです。どちらかというと、大学に行き、普通の仕事に就かせたかったのです。父は祖父から花火師の仕事を受け継ぐ前、本当は建築関係の仕事をしたかったようです。しかし、半ば強制的に祖父に花火の世界を叩き込まれたことから、自分の子供にはそんな想いをさせたくはないと思ったようです。そこで、私の花火師の夢は潰えたのです。

大学に行かせてくれたことから、私自身、情報系の仕事にも関心が高まり、今はIT系の会社でシステムエンジニアの仕事をしています。これも楽しい仕事で、五條市に戻らず、こちらに腰を落ち着けてもいいかと思っているくらいでした。

そんな思いを持ち始めていた矢先に、父が交通事故で亡くなりました。搬送先の五條市内の病院で亡くなったという事です。突然の出来事で理由も分からないことで、気が動転したまま、葬儀を済ませました。そして、遺産の相続のことがすぐにクローズアップ。残された母と職人さん達との話し合いが続いたのです。

その結果、私が稼業を相続することになりました。昔憧れていた花火師の仕事ができるということを考えると、とてもうれしいことではあるのですが、今はまったく畑違いのエンジニアの仕事をしていますし、その仕事を辞めるつもりがありません。ある意味、父が私に人生の選択肢の与えてくれたおかげでもあるのです。

しかし、私を子供の頃から可愛がり接してくれた職人さん達が私を推すのです。気持ちはとてもうれしいのですが、花火師としてのキャリアはゼロ。現職もやりがいを感じる仕事。これらを考えてやはり、相続を辞退しようかと心の中で決めているのです。

ただ、せっかく気をつかってくれている職人さん達の気持ちを、あしらうことができないことから、きちんと弁護士を立てて、相続放棄をすると同時に父の意思を継いでくれる職人さんの中から、後継者をお願いすることで、後の道筋を示したいと思うのです。