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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
相続登記とは、亡くなった方が所有していた土地や家屋等の不動産の名義を、その不動産を相続した方に移転する手続きです。 相続登記を行うときに必要となる書類は、遺言書があるか、遺産分割協議を行うかといった、相続のパターンによって異なります。ご自身の状況にあわせて書類を準備し、漏れがないように注意しなければなりません。 この記事では、相続登記の際に添付する書類について、必要な書類や取得方法、期限、綴じ方、原本の返却等を解説します。
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相続登記では、主に以下のような書類が必要となります。
これらの書類や、代わりに用いることができる書類について次項より解説します。
相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を提出します。戸籍謄本は、被相続人の家族関係を証明し、相続人を明らかにするための書類です。 2024年3月1日から、戸籍謄本を取得しようとする者は、最寄りの市区町村役場の窓口において取得できるようになりました。また、マイナンバーカードを利用すれば、コンビニでも取得できる自治体が多いです。 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を確認することによって、遺産分割協議に相続人の全員が参加したことを確認できます。
相続登記の手続きをする際には、被相続人の住民票の除票を提出することになります。 住民票の除票とは、登記簿上の名義人と被相続人が同一人物であるということを証明するための書類です。 登記簿に記載されている登記名義人の住所地から複数回住所を移転しているなどの理由で、住民票の除票で住所がつながらないときは、戸籍(除籍)の附票を取得して、同一人物であることを証明します。
相続人全員の戸籍謄本とは、被相続人が亡くなったときに相続人全員が生きていたことを証明するために必要な書類です。 被相続人が亡くなった時点で、既に死亡していた者は相続人になれず、相続登記では相続人全員の戸籍謄本を提出することがあります。
相続登記では、相続登記申請書を作成して提出します。 相続登記申請書には厳密な書式は定められていません。しかし、必要な記入事項が多く、上部には空欄を作らなければならない等、守らなければならない決まりもあります。 そのため、法務局より公開されている申請書のひな形を用いると良いでしょう。 遺産分割協議によって相続登記をする場合には、次の申請書のひな形を利用できます。
登記申請書|遺産分割協議(法務局)法定相続分によって相続登記をする場合には、次の申請書のひな形を利用できます。
登記申請書|法定相続分(法務局)遺言によって相続登記をする場合には、次の申請書のひな形を利用できます。
登記申請書|自筆証書遺言(法務局) 登記申請書|公正証書遺言(法務局)登記事項証明書とは、土地の面積や所在地、所有者などを証明する書類です。以前は「登記簿謄本」と呼ばれていた書類と、内容はほとんど変わりません。 相続登記では、登記事項証明書を提出する必要はありません。 しかし、不動産の所在地は通常の住所とは異なるものである場合が多いため、正確な所在を申請書に記載するために、取得しておくことが望ましいでしょう。
相続登記では、不動産の固定資産評価証明書を提出する必要があります。 証明書は相続登記の申請を行う年度のものである必要があります。 固定資産評価証明書は、登記をするときに支払う税金である「登録免許税」の算出のために必要な書類です。
相続関係説明図とは、被相続人と相続人の関係をまとめた家系図のような書類です。各々の生年月日や住所等の情報を記載することによって、被相続人との関係性などが分かるようになっています。 相続関係説明図を添付すれば、戸籍謄本をコピーしなくても原本還付を受けられるため、作業の負担が軽くなり、コピー費用もほとんどかからなくなります。 なお、法務局で法定相続情報一覧図の認証を受ければ、戸籍謄本の原本も提出せずに相続登記を行うことが可能となります。相続登記などの手続きを行う場所が多いケースでは、認証を受けることも検討しましょう。
相続登記は、ケースごとに必要な書類が異なります。主なケースは、次の4つに分けられます。
ケースによって、必要書類は異なります。 相続登記で必ず用意しなければならない書類と、どこでもらえるかを表にまとめたのでご確認ください。
必要書類 | 取得場所 |
---|---|
相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村役場の窓口等 |
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | |
被相続人の住民票の除票 | |
不動産取得者の住民票 | |
相続する不動産の固定資産評価証明書 | 不動産の所在地の市区町村役場 |
収入印紙 | 郵便局、コンビニ等 |
登記申請書 | 様式をダウンロードして自分で作成する |
返信用封筒 | コンビニ等 |
相続登記について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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遺産分割協議とは、相続人の全員が遺産の分け方などを決めるための話し合いです。協議は全員が合意すれば成立します。 協議が成立したら遺産分割協議書を作成します。作成した書面には法定相続人全員の実印による捺印が必要で、印鑑証明書の提出も求められます。 こうして作成した遺産分割協議書を提出することによって、相続登記を行うことが可能となります。
必要書類 | 取得場所 |
---|---|
所有権移転登記申請書 | 法務局 |
対象不動産の固定資産評価証明書 | 不動産がある市区町村役場または市税事務所 |
対象不動産の登記事項証明書 | 法務局 |
不動産取得者の戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場(コンビニ) |
不動産取得者の住民票 | 市区町村役場(コンビニ) |
被相続人の出生から死亡までの戸籍除籍謄本 | 出生から死亡までの居住地の市区町村役場 |
被相続人の住民票の除票 | 被相続人が最後に住んでいた地の市区町村役場 |
遺産分割協議書 | 相続人が全員で協議を行い作成する |
相続人全員の印鑑証明書 | 各相続人の住民票のある市区町村役場(コンビニ) |
相続人全員の戸籍謄本 | 各相続人の本籍地の市区町村役場(コンビニ) |
遺産分割協議について詳しく知りたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。
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法定相続分とは、相続人が遺産を相続するときについて、民法で定められた相続割合のことです。法定相続人であれば、そのうちの1人だけでも、法定相続人全員の名義で、それぞれの法定相続分による相続登記を申請できます。 法定相続分による登記であれば、特別な書類は必要ありません。しかし、不動産が共有状態になるため、賃貸物件としての利用や売却等のときに、支障が生じるおそれがあることに注意しましょう。
必要書類 | 取得場所 |
---|---|
所有権移転登記申請書 | 法務局 |
対象不動産の固定資産評価証明書 | 不動産がある市区町村役場または市税事務所 |
対象不動産の登記事項証明書 | 法務局 |
不動産取得者の戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場(コンビニ) |
不動産取得者の住民票 | 市区町村役場(コンビニ) |
被相続人の出生から死亡までの戸籍除籍謄本 | 出生から死亡までの居住地の市区町村役場 |
被相続人の住民票の除票 | 被相続人が最後に住んでいた地の市区町村役場 |
法定相続人、法定相続分について詳しく知りたい方は、以下の各記事をご覧ください。
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被相続人が遺言書を作成していた場合には、基本的にその内容に従って相続登記を行います。このとき、通常の相続登記に必要な書類に加えて、遺言書が必要となります。 なお、遺言書が、法務局での自筆証書遺言保管制度を利用していない自筆証書遺言書、または秘密証書遺言であった場合には、家庭裁判所による検認手続きが必要です。
必要書類 | 取得場所 |
---|---|
所有権移転登記申請書 | 法務局 |
対象不動産の固定資産評価証明書 | 不動産がある市区町村役場または市税事務所 |
対象不動産の登記事項証明書 | 法務局 |
遺言書 | 遺言者自らが作成するか、公証役場で作成してもらう |
被相続人の死亡時の戸籍除籍謄本 | 死亡時の居住地の市区町村役場 |
被相続人の住民票の除票 | 被相続人が最後に住んでいた地の市区町村役場 |
不動産取得者の戸籍謄本 | 相続人の本籍地の市区町村役場(コンビニ) |
不動産取得者の住民票 | 市区町村役場(コンビニ) |
遺言書について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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遺贈とは、遺言書による贈与のことです。遺贈の場合には、相続登記はできず、遺贈による所有権移転登記を行います。 遺言書によって遺言執行者が指定されていた場合には、その者の印鑑証明書が必要となります。また、遺言執行者が家庭裁判所の審判によって選任されていた場合には、遺言執行者選任審判書謄本も追加で必要となります。 遺言執行者がいなかった場合には、相続人全員の印鑑証明書が必要となります。
必要書類 | 取得場所 |
---|---|
遺言書 | 遺言者自らが作成するか、公証役場で作成してもらう |
被相続人の死亡時の戸籍謄本 | 市区町村役場 |
登記済証または登記識別情報 | 被相続人が不動産を取得したときに発行してもらったもの |
遺言執行者の印鑑証明書 | 市区町村役場(コンビニ) |
受遺者の住民票 | 市区町村役場(コンビニ) |
対象不動産の固定資産評価証明書 | 不動産がある市区町村役場または市税事務所 |
被相続人の住民票の除票 | 市区町村役場(コンビニ) |
受遺者の戸籍謄本 | 市区町村役場(コンビニ) |
遺言執行者選任審判書謄本(遺言執行者が家庭裁判所の審判によって選任されていた場合) | 選任された遺言執行者に送付される |
遺言執行者の印鑑証明書 | 市区町村役場(コンビニ) |
相続登記の必要書類は、その多くについて有効期限がありません。そのため、古い書類であっても有効に用いることが可能である場合が多いです。 ただし、次の書類が発行された時期には注意しましょう。
相続人の戸籍謄本は、被相続人が死亡した後のものでなければなりません。 なぜなら、被相続人が死亡したときに生きていた者でなければ、不動産を相続することができないからです。
固定資産評価証明書は、不動産の価額を証明するための書類です。これは、最新の年度のものが必要です。 なぜなら、登記の際に支払う「登録免許税」という税金を徴収するために、最新の価額を用いて課税するからです。
相続登記申請書に貼付する書類には、厳密な順番の定めはありません。 しかし、登記申請書の後ろにホチキスどめするのが一般的です。 また、添付書類は登記申請書に記載したのと同じ順番に並べておくと良いでしょう。
上記の相続または遺贈のパターンに加えて、様々な要因によって必要書類が発生することがあります。 特別なケースの必要書類について、以下で解説します。
相続人の中に相続放棄をした人がいる場合、相続登記を行うときに「相続放棄申述受理証明書」が必要になります。 また、以前は認められていませんでしたが、「相続放棄申述受理通知書」で代用することも可能となりました。ただし、記載内容次第では代用できない場合もあります。また、「相続放棄申述受理通知書」は再発行できないので、なるべく手元に残しておく方が良いです。
相続人が1人であれば、遺産分割協議をする必要がないため、遺産分割協議書や印鑑証明書の提出が不要となります。相続人が1人しかいないことは戸籍謄本で証明する必要があるので、被相続人の戸籍謄本を提出する必要はあります。 また、他にも相続人がいたものの相続放棄した結果、相続人が1人だけになった場合には、相続放棄の証明書として「相続放棄申述受理通知書」または「相続放棄申述受理証明書」が必要です。
相続登記を行う前に相続人が亡くなってしまった場合には、亡くなった相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本が必要となります。 また、新たな相続の遺産分割協議書や、新たな相続人の戸籍謄本および印鑑証明書も必要です。 当初の被相続人の書類については、新たな相続のために用意する必要はないため、枚数を増やすことはありません。 手続が複雑になってミスを犯しやすくなるため、数次相続の相続登記を行う場合には、専門家に相談することが望ましいでしょう。
相続人が海外に住んでいる場合には、住民票や印鑑証明書を取得できないことが多いです。そのため、住民票の代わりとして在留証明書、印鑑証明書の代わりとして署名証明書(サイン証明書)を発行してもらい提出します。
被相続人が外国人である場合には、相続は被相続人の本国法に従って取り行われます。 そのため、被相続人の本国法を確認したうえ法律を調べて、誰に相続する権利があるのかを確認しなければなりません。 また、相続人が日本人であったとしても、相続手続きに戸籍謄本を利用できない場合が多いです。戸籍が利用できないケースでは、宣誓供述書に相続関係などを記載して、外国の公証人の認証を受ける等の対応を求められます。
相続人が外国人であっても、日本に在住している者については日本人と同様の書類を用います。 日本に住んでいない外国人が相続人になるケースでは、在留証明書や署名証明書(サイン証明書)といった書類を用います。
相続登記のために提出した書類の多くは、原本還付を受けることができます。 原本還付が受けられる書類として、戸籍謄本や住民票、印鑑証明書等が挙げられます。これらの書類は、亡くなった方が複数の土地や口座を所有していた場合には、多数の法務局や金融機関等に提出する必要があるため、還付を受けることで手数料や手間がかからずに済みます。 また、遺言書や遺産分割協議書も還付を受けられるため、原本を失わずに済みます。ただし、原本還付を受けられるのは相続登記が終わった後ですので、遺言書等については、念のためコピーを手元に置いておくなどすると良いでしょう。 原本を還付してもらうためには、還付してほしい書類をコピーして、余白部分に「原本と相違ありません」と記載し、署名捺印して原本と共に提出します。
相続登記を行う際には、ぜひ弁護士にご相談ください。 相続登記は、パターンによって必要書類が異なる等、慣れない方にとってはミスをしやすい手続きです。書類を集めるだけでも、自分で行うのはかなりの労力がかかるでしょう。 また、平日の日中に登記所に行かなければならないため、自由に動ける方でなければ負担が大きくなります。 特に、相続人が多い場合や相続人の仲が悪い場合、被相続人が繰り返し転居している場合、相続登記を行わないまま長年に渡って放置していた場合等、専門家に任せた方が良い状況が考えられます。相続登記が負担だと感じた方は、まずはお電話をいただければ幸いです。