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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
相続放棄申述受理証明書は、相続放棄したことを証明するための書類です。相続放棄した人だけでなく、相続人等も請求できる書類です。 この記事では、相続放棄申述受理証明書の概要や取得方法等について解説します。
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相続放棄申述受理証明書は、相続放棄が完了したことを証明する書類をいいます。 相続放棄を申し立てて、裁判所より相続放棄が受理された後で、家庭裁判所へ申請を行えば取得ができます。 ただし、相続放棄が受理されれば「相続放棄申述受理通知書」が申立人に自動的に発行されるようになっています。多くの手続きでは「相続放棄申述受理通知書」があればできるので、相続放棄申述受理証明書が必要となるのは「通知書」を紛失してしまった場合等に限られています。 ご自身が本当に「証明書」まで必要なケースにあたるのかどうかは、事前に確認をして申請手続きをとっても良いでしょう。 相続放棄の手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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相続放棄申述受理証明書とは、相続放棄を申し立てて受理されたことを証明する書類です。 また、相続放棄申述受理通知書とは、家庭裁判所が相続放棄を受理したことを通知する書類です。 どちらの書類であっても、第三者に対して、相続放棄をしたことの証明書として使えます。しかし、証明書は請求しなければ発行してもらえないのに対して、通知書は請求しなくても自動的に送られてきます。 また、受け取ることのできる者や、再発行できるか、手数料がかかるか等の違いがあります。 2つの書類の違いを、表にまとめたのでご確認ください。
相続放棄申述受理証明書 | 相続放棄申述受理通知書 | |
---|---|---|
受け取れる人 | 申述人、その他の相続人、債権者などの利害関係人 | 相続放棄した本人 |
いつ届くか | 相続放棄申述受理証明書の申請後 | 相続放棄後自動的に郵送 |
再発行 | 可能 | 不可 |
取得手数料 | 1通150円 | 不要 |
相続登記 | 用いることができる | 用いることができる |
相続放棄申述受理証明書は、相続放棄の情報が保管されている30年以内であれば、150円の手数料を支払って何度でも再発行してもらうことが可能です。 しかし、相続放棄申述受理通知書は、再発行してもらうことができません。そのため、通知書を紛失したら、相続放棄したことを証明するために、証明書を発行してもらう必要があります。
相続放棄申述受理証明書は、申請者によって手続きが異なります。
それぞれの場合について、次項より解説します。
相続放棄申述受理証明書は、相続放棄を申し立てたのと同じ裁判所である、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で申請することによって発行されます。費用は、交付手数料として1通あたり150円かかります。 必要書類については、次項をご覧ください。
相続放棄申述受理証明書を発行してもらうためには、窓口で申請するか、郵送によって申請するかで必要書類が変わります。 それぞれの申請方法における必要書類を表にまとめたのでご覧ください。
必要書類など | 窓口申請 | 郵送申請 |
---|---|---|
相続放棄申述受理証明申請書 | ○ | ○ |
相続放棄申述受理通知書 | ○ | ○ |
150円分の収入印紙 | ○ | ○ |
申述人本人(元相続人)の本人確認書類(免許証など) | ○ | ‐ |
返信用の切手・封筒(返信先を記載) | ‐ | ○ |
本人確認書類のコピー | ‐ | ○ |
相続放棄申述受理証明書は、元相続人だけでなく、他の相続人や被相続人の債権者等、利害関係人であれば取得することができます。 取得するためには、本人の場合と同じ家庭裁判所に申請します。費用も同じで、1通あたり150円の交付手数料がかかります。 ただし、元相続人ではない者が申請する場合には、前もって事件番号を確認しておかなければなりません。また、利害関係を証明するための書類等を提出する必要があります。
相続放棄申述受理証明書を放棄した相続人以外の「利害関係人」が取得するためには、窓口で申請するか、郵送によって申請するかで必要書類が変わります。 それぞれの申請方法における必要書類を表にまとめたのでご覧ください。
必要書類など | 窓口申請 | 郵送申請 |
---|---|---|
相続放棄申述受理証明申請書 | ○ | ○ |
利害関係を証明する書類(申述人との相続関係が分かる戸籍謄本類、ローン契約書など) | ○ | ○ |
資格証明書の原本(申請者が法人の場合) | ○ | ○ |
手数料150円分の収入印紙 | ○ | ○ |
請求者の本人確認書類 | ○ | ‐ |
返信用の切手・封筒(返信先を記載) | ‐ | ○ |
請求者の本人確認書類のコピー | ‐ | ○ |
相続放棄申述受理証明書の申請書は、相続放棄申述受理通知書が送られてくるときに同封されています。もしも、その申請書を紛失したとしても、家庭裁判所に行けば改めて取得することができます。 申請書に記載する事件番号は、通知書に記載されています。 申請書の書式は、以下の裁判所のサイトでダウンロードできます。
裁判手続きの案内-その他(裁判所)相続放棄申述受理証明書は、主に以下のような場合に必要となります。
これらの場合について、次項より解説します。
被相続人の債権者から、相続放棄を行った証明書の提出を求められるケースがあります。このとき、相続放棄申述受理「通知書」で足りる場合が多いですが、相続放棄申述受理「証明書」の提出を求められる場合もあります。 また、債権者が自分で相続放棄申述受理証明書の交付を申請することも可能です。相続放棄申述受理証明書は「利害関係人」が申請できる書類であり、ここでいう「利害関係人」には相続人や被相続人の債権者等が含まれているからです。 なお、相続放棄申述受理証明書を交付してもらうためには、申請書に家庭裁判所での「事件番号」を記載しなければなりません。事件番号は相続放棄申述受理通知書で確認できます。
相続登記とは、被相続人が所有していた土地や建物といった不動産の名義を、相続人に移転する手続きです。 遺産分割協議によって不動産の相続人を決めた場合、相続放棄した者は協議に参加しません。遺産分割協議には相続人の全員が参加しなければならないので、全員が参加したことを証明するために、相続放棄したことを証明する書類を提出する必要が生じます。 相続放棄を証明する書類として、相続放棄申述受理通知書でも受け付けてもらえる法務局が多いですが、通知書を紛失したケース等では相続放棄申述受理証明書が必要となります。 相続登記の義務化について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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相続放棄をしていない相続人が、被相続人の名義になっている預貯金口座を解約したり、名義変更したりするときには、相続放棄を証明する書類を提出しなければなりません。 これは、相続放棄をした者が、遺産分割協議に参加しなかった理由を証明する必要があるからです。 金融機関に提出する書類として、相続放棄申述受理通知書ではなく、相続放棄申述受理証明書を求められることがあります。
相続放棄申述受理証明書を発行してもらうためには、申請書に「事件番号」を記載する必要があります。そして、事件番号は相続放棄申述受理通知書に記載されているため、発行してもらうためには通知書が必要となります。 しかし、相続放棄申述受理通知書を紛失したために相続放棄申述受理証明書を取得しようとしている場合には、通知書で事件番号を確認することができません。そこで、相続放棄の申述の有無についての照会をすることによって事件番号を確認することができます。
裁判所が相続放棄の情報を保管するのは30年間です。そのため、30年を経過してしまうと、相続放棄したことを確認できなくなると考えられるため、「相続放棄申述受理証明書」は発行できなくなるおそれがあります。 しかし、債権は通常であれば10年以内に消滅時効が完成するので、30年が経過してから債権者に対して相続放棄申述受理証明書を提示する必要が生じるリスクは低いでしょう。 ただし、他の相続人等が不動産の相続登記を忘れて放置してしまった場合には、30年以上が経過してから相続放棄を行った証明書が必要となるおそれがあります。
同じ被相続人について相続放棄した人が複数いる場合であっても、全員の相続放棄申述受理証明書を1枚にまとめてもらうことはできません。 そのため、相続放棄した人が何人もいるケースでは、全員について1枚ずつ相続放棄申述受理証明書を発行してもらう必要があります。
相続放棄した本人が相続放棄申述受理証明書を請求した場合には、1週間から2週間程度で発行されます。しかし、利害関係人が請求した場合には、利害関係があることを証明するための書類を確認してから発行されるので1ヶ月程度かかります。
相続放棄申述受理証明書に有効期限はありません。しかし、発行してもらえる期限は相続放棄から30年以内とされています。不安のある方は、相続放棄申述受理証明書を発行してもらい、相続放棄申述受理通知書とともに保管すると良いでしょう。
相続放棄するためには、必要書類を集めて家庭裁判所に申し出しなければなりません。また、相続放棄できなくなるような行為をしてもいけません。 そのため、自分だけで手続きをするのには手間がかかり、リスクを伴います。そこで、相続放棄について悩んでいる方は弁護士にご相談ください。 弁護士であれば、有効に相続放棄するためのアドバイスをすることが可能です。他の手続きについても、弁護士が丁寧にお伝えいたします。